幼年期の終り [Kindle]

  • 早川書房
4.03
  • (78)
  • (85)
  • (46)
  • (5)
  • (5)
本棚登録 : 955
感想 : 82
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (360ページ)

作品紹介・あらすじ

異星人の宇宙船が地球の主要都市上空に停滞してから五十年。その間、異星人は人類にその姿を見せることなく、見事に地球管理を行なった。だが、多くの謎があった。宇宙人の真の目的は? 人類の未来は?――巨匠が異星人とのファースト・コンタクトによって新たな道を歩みはじめる人類の姿を描きあげた傑作!

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 映画「インデペンデス・デー」を彷彿とさせるオーバーロードの登場。他の星系から来たオーバーロードはOver Lordのことで、神を越えた存在を示す。人類はオーバーロードに友好的に支配され、ユートピアを築く。そして、人類は幼年期を終えて次のステージに進む。次への移行期間は80年ほど。生物の進化としては極端に短いが、個々の人類の寿命を考えると、世代交代がおこるほどの長期間である。私は劇的な変化に人類が遭遇したと考えた。とても壮大な物語で、次に進むためのきっかけや、その後の人類の姿がたっぷりと描かれる。将来の事件を予言されたようで、なにやら恐怖まで感じる。

  • 初めてのSF。100分de名著での解説を観ていなかったら、かなり理解が難しかったのでは、と思う。でも人類があらゆる芸術や思想の中で描いてきた共通の概念は、過去の記憶ではなく未来の記憶であるという一つの考え方には、とても興味を覚えた。

  • 読み終わるとタイトルの意味がよくわかります。
    ホラー小説じゃないのに、未知の世界への畏怖の思いでちょっとした恐怖感。
    古い作品とは思えない。今、読んでも十分楽しめます。さすが名作!

  • 後半すごい。ググると某巨大兵器アニメが一緒に出てくる理由がわかった笑。まさかこう展開していとは!想像を遥かに超え行く広大さにめちゃくちゃ興奮したー!
    クラーク最高傑作と謳われている理由にも納得。一つの到達点と言えるくらい凄い。章の序盤は毎度読み進め辛いが後半は毎回めちゃくちゃ面白くなる。序盤を読むからこそ後で活きてくると思えば全然いける。
    幸福とは物質的豊かさか欲求の充実か自意識の満足か、そういう問いを含んだ人間哲学を希望を込めてSFエンタテインメントにして提示したところが本当に凄い。感動した。

  • 1953年に発表された作品。
    「異星人の宇宙船が地球の主要都市上空に停滞してから五十年。その間、異星人は人類にその姿を見せることなく、見事に地球管理を行なった。だが、多くの謎があった。宇宙人の真の目的は? 人類の未来は?――巨匠が異星人とのファースト・コンタクトによって新たな道を歩みはじめる人類の姿を描きあげた傑作!」

    「仮に、人類が考えもしなかったテクノロジーを持つ宇宙人が、地球に来たとする。逆から考えると、地球に来られたというだけで、優れたテクノロジーをもっているはずで、人類から見ると「神」のような超越した存在に見えるかもしれない。その「神」は人類を次のステップに導いてくれるかも・・??1953年に発表された本作は、SFを単なるホラ話から純文学、哲学、詩、もしくはそれ以上の存在に引き上げたとも言える作品で、SF古典の名作中の名作。」
    (『SFはこれを読め!』谷岡一郎著 の紹介より)

  • おもすれーSF。最後の世代の子供たちは盆踊りしつつ上位存在に。

    中盤で神の存在を否定してて「おっ」となったが、宇宙規模の上位存在は示唆してるのでやっぱりキリスト教圏だなと思いました。
    科学で未来過去そして宇宙すらあまねく見通せど、四次元以上の世界とビッグバン以前があるので不在証明は成り立たない。宗教と科学は共存可能、むしろ推進の場合もあるってはっきりわかんだね。SFもそんなん(宗教的世界観を重ねる)ばっかだし。
    どうでもいいけどオーバーロードに渡された過去を覗き見るマシンの場面は、遠方銀河からの光での過去観測はある一定より真っ白になってしまうのを思い出した。
    それから得た描写かと思った。結局オバロの恣意的なものだと判明してたけれど。

    オバロはみんなキャラが理知的でいいですね。
    人類より発達した種族であるのに見届ける役しかできない哀愁。
    見た目は悪魔で、でもやってる事は聖者を天に召す天使。
    でかい図体なのに紳士的で、ちっこい椅子に座って尾を床に垂らしながら本を真面目に読んでたり、初顔見せが両腕に抱えた子供に角や羽根を遊ばれながらだったりとか完全に萌えキャラなんだよな。
    一定の層に人気があると思う。それを損ねないようにデザインラフを描いてみたりとかするけれど、上手くいったものはないです。

    生物として次のステージである〈オーバーマインド〉に昇る人類がオチ。
    集合的無意識を具体化したような存在みたいだけれど、2023年に生きる自分としては、人類は根っこで繋がってるみたいな考え方は腑に落ちない部分もある。
    現代だから、は関係ないか。
    ともかく執筆された時代を考えれば、諸々の描写や上霊の発想はすごい……らしい。雑然とSFを読んでるせいで、比べられるほど同時期の作品が思いうかばないので……

    合一の存在になるというのは象徴的不死を失うような得るような、安心感と恐怖が入り混じる。
    現存する人類の価値観にそぐわないものを喜びとして描かれると(作中ではラストまでそういう描写はないが)、どうしても恐ろしさを感じてしまう。価値観の改変とか怖い。ヤプーとか。
    この作品はそれがSFとしての広がりを持たせ、大作足り得させたのだろう。
    普通に冒険譚やミステリーとしても面白いです。

    80年。世代が変わってしまえば、新たなものに対する恐怖は受け継がれない。
    それが宇宙から飛来し、いつでも空を占め人類を見下ろす存在であっても。
    自己複製のバグでしかない分断された自我の脆弱性――
    〈オーバーマインド〉は、その克服を成し得たのか。
    主題ではないが、そんなことを考えた。

  • 中盤くらいまで淡々と進んでいくが最後の盛り上がりと壮大なラスト。多くのストーリーの元ネタになっているらしいのも納得

  • 中学生の頃に読んだSF名作の再読。
    正直、忘れていたエピソードが多数で驚く。30年前に読んだ本ってそんなもんかな。
    古典SFも面白いよ。名作ばかり。未読の方は読むべし。

  • SFの金字塔であるということが実感できた。人類の進化の先に何があるのか?異種族が宇宙から来た時にどのような形態をしているのか?その主従関係はどのようになるのだろうか?思考の幅が広がる物語だと思う。
    半分くらい読み進めてもなかなか面白くならないなーと思っていたが、最後のまとめ方で全部許した。

  • 宇宙人がやってきた、でも別に植民地にして搾取してくるでもなく。彼らの狙いは?的な話。要所要所で面白いシーンは少しはあるのだが、とにかく登場人物が無駄に多く頻繁に切り替わるので名前を全然覚えられない。2/3くらいカットしてもよかったのではないかと思う。この手のは真相解明に至る瞬間が一番面白いのだけど、そこに至るまでの不要な描写が多すぎて疲れてしまった。

全82件中 1 - 10件を表示

アーサーCクラークの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×