全国各地で、死んだ人間が生き返るという現象が起きていた。
徹生も3年前に自殺したが、生き返った。
「幸せだったはずなのに、自殺するはずがない。あいつに殺されたに違いない」
自分が死んだ本当の原因を調べ始めた徹生が、辿り着いた真実とは…?
死ぬ直前の空白の記憶を取り戻したい。
物心つく前に死んでしまった父との空白の関係。
妻と子供と、自分の間にできた3年の空白を埋めたい。。
せっかく生き返っても、すぐにまた死ぬかもしれない。愛する妻と子供の心に、再び空白を作らないようにしたい。
家族や友人の理解と協力で、少しずつ空白を埋めていく徹生。
一人の人間の中にはいろんな自分がいる。家族と一緒のときの自分。職場の中での自分。仲の良い友人との自分…。
他者との関わりによって、いくつもの自分(「分人」)が形作られていく。
いくつもの「分人」を認めること。そして、拒絶したくなるような「分人」であっても、「分人」同志で見守りあうことができていれば、徹生も自殺しなくて済んだかもしれない。
これからどうなるの?という感じで、物語は終わっている。
希望を残したいのだろうけれど、なんだかモヤモヤ。