ステップ (中公文庫) [Kindle]

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  • 中央公論新社
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  • 結婚3年目、妻が幼い娘を残して急逝してしまい、シングルファーザーと娘の成長を連作短編風に描く。義父母との関係が素晴らし過ぎる。自分には幸にして起こっていない悲劇だけど、実家・義実家との関係は希薄で、結果として息子には寂しい想いをさせているのではないかと思う。主人公にとっての義父の言葉に自分が重なって胸を抉られる。最終章などは涙が溢れることを抑えきれない。期待を遥かに越えたいい小説だったけど、これを自分で買って読んだ息子は何を思っただろう。

  • ステップ読了。 妻が他界し一歳半の娘との生活が始まる男の話。 私も今同じくらいの娘がいて、もしもしもその状況になったとしたらどうなるのか想像もつかない。 保育園の送り迎え、大きくなるにつれての母がいない寂しさをどう埋めてあげるのか、自分の妻を亡くしたことへの寂しさ。 この物語の主人公はそれを周りの人に支えられなが見事に乗り越えていて芯の強さのようなものを感じた。 あとは周りの人の支えをどのように生かすかはその人次第なのかなとも感じた。 涙なしには読めませんので電車の中で読む人は注意してください。

  • 亡くなった妻の両親と兄夫婦。
    多くが連絡を取り合わなくなってしまうんじゃないだろうか?
    それが娘を鎹にこんなにステキな関係が築けるなんて。
    息子をつらい思い出で失ってしまって、周りからも自分からも相当に責められて…
    それぞれの悲しみや苦しみを、それぞれがきちんと向き合って受け入れて優しくも強くなる。
    凄く良いお花だった。
    是非読んでもらいたい。


  • シングルファーザーが主役の子育てストーリー。
    通じるものがあって、小説では久しぶりの重松清さん。

    期待を裏切らないドラマに、
    何度か泣かされました。
    映画の公開、延期になっちゃってるけど、
    始まったら観に行こうかな。

    “家族はまんまるでなければならないのか”
    そう問いかけられます。

    (本文より)
    一生懸命なひとがいる。
    不器用なひとがいる。
    のんびりしたほうがいいのはわかっていても、それができないタチのひとがいる。
    いいじゃないか。みんなとは違う。
    がんばって、ついに夢中になって、みんなからはずれて、はぐれてしまう。ときどき意地を張り過ぎたり、みんなのもとへ帰るタイミングを逃したりする。それもいいじゃないか。


  • この著者がよく描く親子もの。妻を亡くしてすぐに保育士さんに心ときめくのは早くない?と思いながら、途中までは妻を忘れられないから再婚はしない、と男心がよくわからない。親子関係はまぁ良好だから読みやすい。『流星ワゴン』の方が好きかなぁ

  • とても温かい、優しい物語でした。涙なしには読めないんだけど、希望ももたせてくれるので、心地よさを感じながら読み進めることができました。

    今子育て中なので、ゆっくり大きくなってほしい。という言葉、おじいちゃんがもっともっと我が子との思い出を作っておきたかったという言葉が、身に染みました。

    そして、亡くなったお母さんも、ちゃんと心の中にいて、一緒に子育てをしてきたという感覚も、きっとほんとにそうだよなぁとじーんときました。

    とても温かい物語。読んでよかったです。

  • 泣けた。なんとか涙は堪えたが。一所懸命生きようと思った。

  • 喪失感と共に生きていく、寂しいが決して不幸ではない人達の物語。

    妻を亡くし残された幼い娘と二人で暮らす男。母の記憶のない娘の成長。妻の実家の義理の両親との微妙な関係。新しい恋には踏み出せない。

    重松清の作品はなぜ毎度毎度こんなにも涙を誘うのだろうか。登場人物の誰もが何らかの傷をが抱え、だがその傷を持ったままで一生懸命、精いっぱい生きていく。筆者の何とも暖かい視点。

    中年になると人生の先、自分の限界が見えてくる。重松清の作品を読むとそんな自分の人生もなかなか悪くないように思えてくる。

  • 久々に良本に巡り会えました。
    読んでいる最中に何度、鼻の奥がツンとしたか。
    亡くなった妻の実家の温かいことが、胸にしみます。
    闘病中のおじいちゃんを本書内で亡くなる描写がなかったことが、やっぱり重松さんはいいなと感じました。

  • 同じ重松清の「とんび」とは違って、涙することはなかった。
    でも、読書中、ずっと心地よい同質感に浸っていた。
    亡き妻の実家との付き合いなど、同じ境遇のものとして分かる描写が多かったから。
    それにしても、周りにいい人が多すぎる。
    そういう意味でも幸せな主人公だ。
    考えもしなかった再婚を意識させられた作品でもある。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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