ファスト&スロー (上) [Kindle]

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制作 : 村井 章子 
  • 早川書房 (2012年11月22日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (370ページ)

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ファスト&スロー (上)の感想・レビュー・書評

  • これは面白い!
    普段何となく考え、決定し行動している事というのは、大きく分けて①直感的な部分、②論理的な部分、の力関係・バランスで為されている。その決定というものは置かれた場面、状況、イメージ、インプットの順番、先入観等によって、如何に左右され得、如何に曖昧であるかを書かれており、大変興味深い。
    それはある紹介文の形容詞の順番を入れ替えるだけでイメージがガラッと変わるほどに。
    各巻400ページ程度ありなかなかのボリュームであるが、深層心理、行動科学あたりに興味のある方は是非読んで後悔することは無いとおススメします。

    少し頭を休めて下巻に突入します。

  • もう一回読み直したい。良書。

  • いまのところ今年読んだ本のベスト 1。今日もう一回ざっと読み返して、マインドマップ・ノートにちゃんとまとめておこう。心理学者として初めてノーベル記念経済学賞を受賞した Daniel Kahneman の2011年の著作。上下巻の大作だが、親しみやすい実験例や実例が豊富に紹介されているので楽しく読める。

    上巻から下巻の最初までは認知バイアスに関する様々な話題を、システム1とシステム2 という 2システムの相互作用として説明する。システム1 は直感的でほとんどの問題に対して瞬時に正しい対応をする一方、論理的な推論や確率の計算が苦手。システム2 は論理的な推論や確率の計算はできるが、しかし稀にしか動かず、しかもシステム1 のバイアスからは完全に逃れられない。もちろん、タイトルのThinking, Fast & Slow は、この 2システムを表したものだ。アンカリング、利用可能性ヒューリスティック、平均への回帰の無視、直観とアルゴリズムの対比についても言及される。

    下巻は(ノーベル記念経済学賞の受賞理由でもある)プロスペクト理論について概説する。人間は完全に合理的(確率の期待値に基づいて最良の選択をし続ける)ではなく、損失には利得よりも約 2倍の価値を置き(つまり損失を実質以上に恐れ)、利得に対してはリスク回避的に、損失に対してはリスク追及的になる(損失を逃れる可能性が少しでもあれば、より大きな損失をする可能性が高いギャンブルにも打って出る)という特性が様々な実験と考察によって明らかにされる。また、フレーミング(問題の提示の仕方)により選好が大きく左右されることも示される。

    最後の数章では、「幸せとは何か」という問題が論じられる。「辛いプロジェクトでも終わってみると楽しいことしか覚えていない」という経験は誰しもが持っているもので、どうやら人間は幸せを快楽や苦痛の積分ではなく、ピークの状態や最後の状態でしか記憶しないらしい。そして、将来の行動を決めるのはいつも記憶であるわけだから、それはときとして不合理な判断を下すことがある。また幸せには生活満足度(純粋に収入に比例しやすい)と幸福度(最初の期待や逓減、そのときの気分の影響を受ける)という2つの基準が(少なくとも)あり、幸せを追い求めるのは言うほど単純な問題ではないことが示される。

    その業績が世界中で高く評価されている Daniel Kahneman と Amos Tversky が生涯にわたって取り組んできた様々な研究を概説する一冊となっており、自らの認知と判断がいかに危ういものであるかを繰り返し認識させられる。人生をより豊かなものにするために、全ての人に読んで欲しい一冊。

  • 無意識にも意識が隠れていると思える内容。内容の理解が深まるに連れハマる

  • 読書効率を考えた時。
    「古典を読みなさい。なぜなら現代に残っている本は、淘汰の波を越えてきたから」というのがあるが、ごく稀に新書でも、「これは後世に残るだろう!」と思わせる本があり、本著もまさにそのクラス。

    これはスゴイ!有難い!

    我々は日々数々の意思決定を行ない時に間違いを犯す。また、正しい決定は必ずしも良い結果となるわけでもない事はさらに話をややこしくしている。
    著書で取り扱う示唆に富んだ様々な「誤認」の事例は、まさにその誤りを犯しまくる我々への警句となりえるだろう。

  • 2013 6/29読了。Kindleで購入したものをiPhoneで読んだ。

    京都マイニング探検会で清田先生が紹介していた、ものが直後に馴染みの書評ブログでも紹介されていたのを見て、これは買うしかあるまいと思い購入。
    Kindleで漫画でも小説でもないものを買うのはこれが初かも? 案の定、引用はしにくいが、読むぶんには全然ふつうに読めた。

    人には直感的に、すぐに判断を下せるかわりに色々な外部要因や内的要因に左右されやすくだまされやすいシステム1と、材料に基づいて判断でき、だまされにくい替わりに時間のかかるシステム2という、二つの思考があるとした上で、システム1がどうやって物事を判断しているか、それがうまくはたらく場合とまったくうまくいかない場合は、さらにシステム1がいかにシステム2に影響しているか、といったことを、ノーベル経済学賞受賞者である著者が、自身および行動経済学や心理学分野の他の研究者の成果も抱負に引きながら解説していく本。
    これはとんでもなく面白く、研究者を名乗って活動している自分がどんだけここで指摘されている過ちを犯しているかとか考えて青ざめたりもする本。
    これはいいものだ・・・たぶん何度も読み返すことになりそう+関連諸分野もみてみるか・・・。

  • 行動経済学の元祖カーネマンがその実績を解り易く説明している。
    下巻が主軸となるプロペクト理論・フレーミングの説明となるが、
    上巻においてもアンカリングやメンタルショットガンなど相対変化に敏感な人間の性質を多側面から詳述している。
    特に各特徴において実際の日常生活・ビジネスシーンでの事例を枚挙していてくれているので、そこから本書の内容を参照しにいく読み方もできる点でよく作りこまれていると思う。

  • 良書。



    人間の意思決定について。

    普段から「なんとなく」もしくは、まったく何も考えずに選択しているように

    思えることでも、その選択には理由があって、説明も出来るということ。



    言われてもなかなかわからないもんです。

    興味がなくても、toCの事業をやってるひとなら読んで損は無い。

  • 著者はノーベル経済学賞をとった心理学者。似た様なテーマの選択の科学、錯覚の科学も良かったが1冊だけ読むならこちらがおすすめです。ただしボリュームはあるけど。

    まずはシステム1(fast)とシステム2(slow)という本書の主人公?の紹介から。

    システム1は自動で働き直感的な判断を支配する。話をしながら歩いても前から来た人とぶつからないのも、人の顔をぱっと見て感情を読み取るのも簡単な計算に即答するのもシステム1。難しいことができないと言うのではなく訓練によって高度な技能もシステム1が支配できるようになる。例えば羽生さんが一目で指し手が見えたり、イチローが瞬間的に打球の行方を判断したりといったこともできる。ただしシステム1は注意深くなく簡単な結論に飛びつきがちである。自信満々の政治家は頼もしく見えるが統計的には自信たっぷりの態度と成果にはなんら関係がない。

    システム2は注意力を要する雑音の中で特定の人の声を聞き分ける、2桁のかけ算をするなど。例えば歩きながら1桁のかけ算は問題なくできる。しかし多くの人は歩きながら2桁のかけ算をしようとするとリソースがシステム2に集中するため足が止まってしまう。難しいことをするかどうかではなく集中力を振り向けることに関連する。面白いことにシステム2が働くときには瞳孔が開くらしい。
    人の話を注意して聞いているか、聞き流してるかは目を見りゃわかると言うことですな。しかしシステム2は怠け者で疲れてくるとシステム1の直感的な答えを受け入れるようになる。

    問題1
    バットとボールは合わせて1ドル10セントです。
    バットはボールより1ドル高いです。
    ではボールはいくらでしょう。
    直感的に浮かんだ答えが間違っていたとしたらそれはシステム2が怠けてシステム1に判断を任せてしまったからだ。

    プライミング 先行刺激
    ある実験では高齢者を連想させる文字を含めた群と、含めなかった群ではその後の教室間の移動速度に差が出た。逆に部屋の中をゆっくり歩かせたあとでは、高齢者に関わる文字の認識立が高まった。
    行動や文字と意識は双方向の連想ネットワークでつながっている。
    別の実験ではオーディオの音質チェックと称して、ヘッドホンをつけてうなづく群と首を振る群に分けてラジオの論説を聞かせたところうなづく群では賛成意見が首を振る群では反対意見が多かった。
    これらはシステム1の働きで、笑顔を作ると幸せな気分になりもするし、システム2の監視の目が緩む。しかめ面をつくるとシステム2が働きやすくなる。怪しい儲け話や投資はしかめ面で聞くべきだろう。

    認知容易性
    中身が全く同じだとしても手書きで字が汚かったり、フォントが小さく改行もなくて読みにくかったりすると印象が悪く、中身自体の評価を落とされてしまう。見た目の悪さがシステム2を呼び起こしてしまうようだ。

    単純接触効果
    繰り返し聞かされた言葉にはなんとなく好意を持ってしまう。コマーシャルや選挙演説もこれを狙っている。好きなコマーシャルを見て笑顔になるとシステム1の働きで何となく商品に好意を覚えるが、名前を連呼するだけのおっさんの話は無意識にしかめ面になり、きちんとシステム2が監視するので好意は持てないということか。ざまあみろ。

    結論に飛びつくマシン
    本文中で時々実験をさせられる。
    ABC,ANN aproached the bank,121314と3つの文字が並んでおり、さあどんな仕掛けだろうと見ていたが気がつかなかった。
    Bと13が全く同じ字だったのだ。システム1は自動連想でBと13をそれぞれ認識してしまった。

    ハロー効果
    アラン:頭がいい、勤勉、直情的、批判的、頑固、嫉妬深い。
    ベン:嫉妬深い、頑固、批判的、直情的、勤勉、頭がいい。
    どちらに良い印象を持ちますか?
    最初の印象にひきづられ易いのだ、人は見た目が全てなどと言う本が売れるわけだ。
    先の大統領選の討論でロムニー指示がオバマを逆転したのもこの効果じゃないか、話を聞く際にうなづくオバマを見て多くの人がロムニー優勢と判断した。どうもこの際の討論の中身は関係なかったらしい。
    外国の政治家の顔写真を政治家とは教えずに好感度、能力などの印象を質問した結果、当選した政治家の70%が写真だけで能力が高いと評価された。がっしりとした顎と微笑の組み合わせは、支配力と信頼性の象徴で「できる男」と見なされる。さらなる調査で政治に疎くテレビが好きな有権者がこのシステム1の影響をうけ安いということがわかった。

    少数の法則
    統計では母数が少ないと極端な例が出やすい。
    「アメリカの三一四一の郡で腎臓ガンの出現率を調べたところ、顕著なパターンが発見された。出現率が低い郡の大半は、中西部、南部、西部の農村部にあり、人口密度が低く、伝統的に共和党の地盤である。」ちなみに出現率が高い郡の大半も同じ地域に属する。母数が小さいと極端な例が出やすいのだ。ここではもっともな理由やストーリーによる説明は受け入れられやすいので説得力を持ってしまう。

    アンカリング効果
    未知の数字を見積もる時にある数字が提示されるとその数字がアンカー(いかり)となって見積もり結果に影響を与える。昔タイに行った時にパッチもんの時計を買ったことがある。3000バーツと言うので一声300バーツと言ったらあっさりOK。ふっかけられるのは分かっているが3000がアンカーで、1/10と見積もったわけだ。ではスタートが5000や1000だったらいくらと答えたのだろうか。あるいは100や30000だったら?多分それ以上相手にしなかったと思うあまりにも外れた数字はアンカーにならない。
    じゃあどうやって交渉するのか?
    「そこで私は交渉術のクラスで、次のように教えている。相手が途方もない値段を吹っかけてきたと感じたら、同じように途方もない安値で応じてはだめだ。値段の差が大きすぎて、交渉で歩み寄るのは難しい。それよりも効果的なのは、大げさに文句を言い、憤然と席を立つか、そうする素振りをすることだ。そうやって、そんな数字をもとにして交渉を続ける気はさらさらないことを、自分にも相手にもはっきりと示す。」

    利用可能性
    身近に見たり聞いたりした事は統計上の事実より判断の際に重みを持ってしまう。
    ・脳卒中による死亡数は事故(あらゆる事故の合計)の死者の二倍に達するにもかかわらず、被験者の八〇%は事故死のほうが多いと答えた。
    ・竜巻で死ぬ人は喘息より多いように見えるが、実際には喘息による死亡数は竜巻の二〇倍に達する。 
    ・雷で死ぬ人は集団食中毒で死ぬ人より少ないと判断されたが、実際には五二倍も多い。 
    ・病死は事故死の一八倍に達するが、両者は同程度と判断された。 
    ・事故死は糖尿病の死亡数の三〇〇倍と判断されたが、実際には糖尿病が事故死の四倍である。
    メディアで報道が繰り返されると単純接触効果もありリスクは強調され、違う話題に移るとリスクに対するケアは疎かになる。また、科学技術などに対するリスク評価の際にそのプラス面を聞かされるとリスク評も甘くなるらしい。本来は効能とリスクは独立しているのに、評価そのものは感情で繋がってしまっている。

    代表性ともっともらしさ
    昔の大リーグのスカウトは自分の目を信じ速い玉を投げるとか、スイングが早いとか、活躍している選手の特徴を代表するものを基準に評価をしていた。そこに現れたのが A'sのGMビリー・ビーン。詳しい話はマネー・ボールを見ましょう。
    ・1年以内に日本のどこかで震度6の大地震が起きる。
    ・1年以内に南海沖で震度6の大地震が起きる。
    当然ながら上の方が起こり得る確率は高い。しかし、別のグループにそれぞれ起こり得る可能性を予測させたら下の方が高いという様な実験結果が有る。

    平均への回帰
    ノーザントラストオープンの初日の結果はマット・クーチャーが64でトップ、石川遼は71で48位、最下位は80のベンクレーンだった。
    ここで二日目のスコアを予測してみた。クーチャーのアベレージは今年3試合で67.8去年は22試合で70、石川遼は今年同じく3試合で72.1去年は18試合で71.7そしてベン・クレーンは3試合で69.2昨年は23試合で70.7だ。
    クーチャーは今年は調子良さそうでしかも今週はさらに調子のピークかもしれない。しかしあるいは昨日は出来過ぎなのかもしれない。可能性としては明日はスコアを少し落とし67〜70くらいになりそうだ。(73だった)
    石川は平均より少し良い。こういうスコアは次の日の予測には向かない。(73)
    クレーンは故障とかではなければ明日はスコアを上げると予測できる。(71)
    もちろん予測は外れることも有るが平均値に収斂しやすいことは間違いない。
    同じようにスポーツイラストレイテッドのジンクスや2年目のジンクスと言うのも平均への回帰と考えればわかりやすい。

    後知恵バイアスと結果バイアス
    過去を自分の都合のいいように作り変えるのは普通に良くあることのようだ。
     成功した会社のCEOを褒め称える物語は限りなくあるが、同じことをして成功できるわけではない。ビジョナリー・カンパニーやエクセレント・カンパニーで取り上げられた会社の多くはその後平均的な会社に収斂している。

    スキルの錯覚
    ゴルファーで有れば平均スコアと賞金額は高い相関関係を示す。では投資ファンドのマネージャーは?50年間の統計では相関関係はほぼゼロと出ている。ちなみに本書で時々出て来るブラックスワンのタレブは、逆張りを続けた結果、勝率は低いがリーマンショック時には数百万ドルの利益を上げたらしい。
    フィリップ・テトロックの実験結果は専門家の予測はサルにも劣ると言う本になってるみたいだ。こんど読んでみよう。

    直感対アルゴリズム
    プリンストン大学の経済学者でありワイン愛好家のアッシェンフィルターは夏の平均気温、収穫期と前年冬の降雨量という3つの変数だけでワインの将来価格を予測する式を作ったところ、若い時期の専門家の試飲よりも予測制度が高かった。
    この章の結論で面白いのは客観的な事実を確認した後で直感的に判断するのは十分役に立つというところ。
    例えば採用面接に関して、若い頃にイスラエルの軍隊で面接方法を設計した著者のアドバイスはこうだ。6項目の独立した適性(私が中国人を採用するなら?普通に会話ができること、時間を守る、単純な計算能力、学習能力、嘘をつかない、規則を守る。うん、十分や)を5段階なり3段階なりで評価して、面接時の印象ではなく点数で判断しろと。適性を評価する質問は予め準備しておく。
    SPIや学歴が重宝されるのはこういう理由やね。要求する適性と試験方法があわないと上手くいかんのやろうけど。

  • *****
    ヒューリスティックなエラーがいかに起きるか、ということを広範に解釈しうる枠組みだと思う。
    あまりに直感と合わなさすぎて、おそろしく自分が違和感を感じることすら、その違和感自身が解説されている。
    *****

  • きっと上・下とも読むことになる。

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