カラーひよことコーヒー豆 [Kindle]

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  • 小学館
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感想・レビュー・書評

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  • 小川洋子さんの小説は
    独特の静けさと鋭さと切なさがあって好きなんだけど
    エッセイは初めて
    小川さんは同い年なので、子供の頃の出来事や思い出など
    わかるわぁと、すごく同感してしまう
    宮本輝さんの『錦繍』を秋になると毎年読み返すというエッセイもあり
    いい時間を過ごしている人なんだなぁと、自分を省みて反省
    楽しくあっという間に帰りの飛行機の中で読んでしまった

  • 【引用】
    さっきまで身体の下敷きになっていた耳の縁が、ほんの少しめくれ、寝癖がついていた。
    相変わらず惚れ惚れするコーヒー豆は、くっ付いたままだった。

    【内容】
    平凡な日常のできごとに対して、素直な目線で、やさしい洞察を交えて描かれたエッセイ集。
    小説同様美しい文章が読みやすい。

    【感想】
    小川洋子さんは作家として成功しているにも関わらず、謙遜し、他者を尊敬する習慣が根付いていることを強く感じていることにとても好感を持ちました。
    特に、「働く人」に対して敬う考えが多々伺えます。

    個人的には、「世界の周縁に身を置く人」「理想の一日」の2つが大好きです。
    前者では、「はじっこにいる人間」つまり脇役に惹かれるという内容ですが、書く人によっては、「人と違う見方」とか「鋭い目線」を演出しているかのようになってしまいがちですが、小川洋子さんは、自身が世界の縁をうろうろさ迷っていると謙遜し、初めて小説を書いたテーマを選んだ理由などを交えて、働く人に対する尊敬と愛情を感じさせる表現をしています。

    また、後者「理想の一日」では、小川洋子さんが理想とする一日の過ごし方を空想しているのですが、それが全然他愛のない、平坦すぎる一日なのです。そしてそれが今日の一日とそう変わりがないことに気付き、安堵して眠るという内容です。
    自分も何となく、今の生活がそれほど悪くないものの様に思い、気持ちがすぅーっと軽くなる気がしました。

    優しい甘さがありリラックスできるMellowブレンドをお薦めします。

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著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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