天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ(上) [Kindle]

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  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 人類が放った大型植民宇宙船シェパード号が50年を経てたどり着いた恒星Har‐βの第3惑星ハーブC。この星に人類が築いた植民地メニー・メニー・シープは、移民当初トラブルに見舞われ、ロボットたちが初期設定のまま甲板長ユレイン(植民地臨時総督)に忠誠を尽くし続けた。やがて政変が起き、ユレインが権力を掌握して独裁体制が敷かれ、その統治が長く続いている。現在の第21代総督は、宇宙船によるハーブC脱出を計画し、そのため人々はエネルギーや様々な物資の供給を制限され、過酷な生活を余儀なくされる。不満が溜まる人々の間に不穏な動きが…。

    この世界観、なかなか魅力的だ。このシリーズ結構はまりそう。

  • 日本SF大賞を受賞したことで本書の存在を知った。地球人が星間移動の手段を手に入れて、幾つもの系外惑星へと移住して300年以上が過ぎた時代、辺境の、不幸にも資源(燃料)不足で発展を遂げられていない星が舞台。愚政で支配する「領主」が何かを企んでいる雰囲気。それに対抗しようとする幾つかの集団。それぞれの中心になりそうな人物に少しずつフォーカスして物語の幕開けとなるのが本書。全10巻シリーズということで、まずは小手調べ。どうなるかと楽しみにしつつ下巻へ。

  • 心理描写が浅く薄い。
    描きたい物語に沿って人物を矛盾なく動かすために、わざと描写を削ったかのような印象。
    そのため小説というより、作品プロット、設定書、歴史書のような淡白さがある。
    恐らくだが、説明のされていない数多くの設定に細かいディティールが仕込まれていて、それを今後少しづつ開示して伏線回収としたいのだろう。
    個人的には各設定はしっかりと説明した上で、複合的な解釈により伏線となるような作品のほうが好みなのでこの評価です。
    まとめ買いしたので今後も読んでいきます。

  • 世界観の説明が多く、まだ物語は始まっていない感じ。下巻に期待。

  • 小川一水の長大なSF大河ドラマシリーズである「天冥の標」のオープニングを飾るのが本作だ。舞台となるのは人類が300年ほど前に開拓した”ことになっている”ハーブCと呼ばれる星だ。

    この星では領主(レクター)と呼ばれる存在が、地球から伝えられたと言われる技術を使い、まるで王のように星全体を収めている。そしてその力の根源は、この地に電力(動力)を提供しているかつての宇宙船シェパード号であり、代々領主一族のみがこのシェパード号をコントロールする権限を保有しているのだ。

    シリーズ10作、17巻になもる大作のオープニング作品ということで どうしても読者でもあるこちら側は身構えてしまっていたのだが、 魅力的な登場人物が序盤から物語はぐいぐいと引っ張っていってくれる。何か大きな仕掛けが張り巡らされていることは 展開の端々から想像がつくのだが、この上巻の段階ではまだほとんどその全貌は姿を表さない。

    欧米のハードSFとは異なり、描写がかなり視覚的なために日本のSF漫画に親しんでいる人であればスムーズに世界観に入り込むことができると思う。 上巻の段階ではまだ物語の 材料がちりばめられているだけなので、下巻ではその材料がどのように一気に纏めあげられるのかを楽しみたい。

  • nfm

  • 宇宙の植民惑星に移り住んだ後、人類はどのような生活を送るのか。本書では、独裁状態の世界が繰り広げられる。今から1000年後ぐらいの世界だけど、あまりハイテクを感じることはないかな。アンドロイドは人間と区別つかないけど。

  • 日本のSFの最高傑作だと思っています。
    これだけ長いのに全く飽きなかった。ベーステーマの人類と疫病も時代の先取り感があります。この小説を読みながら、ウイルス・生物起源・宗教などに思いを寄せ、思いつく書籍を読み返したりしていました。
    とても印象に残る一冊です。
    ただ終わり方が若干無理やりだけど・・・

  • 一昨年最終巻まで読破したが、無性に読み返したくなって再読を開始。1冊目は状況説明が多いが、そこかしこに漂う不穏な空気に引っ張られて止まらない。終盤で明らかになる謎の事態は、結末のスケールの大きさを予感させ、ワクワクさせてくれる。

  • 人類が地球から旅立ち植民星メニーメニーシープに入植したというSF世界でのお話です。
    すべてのキャラクターが生き生きと書かれていて感情移入がしやすく読みやすいお話です。特に医者のカドムの人間性は正直であり誠実で惹かれるものがあります。
    カドム関連、アクリラの冒険方面、臨時総督の怪しい動き、メイスンであるクレヴの今後の動向、エランカ植民地議会委員の今後、ラバーズのラゴスの今後、将軍の今後の動向と、複数の話が並行的に動くので、次が気になるとともに、どのように今後収束していくのかとても気になります。
    続刊もまだまだあるのでこれから明らかになっていくのでしょう。
    一番心に残ったシーンとしてはベンクトがエランカにヴァイオリンを弾きに来たシーン。旅立ちが題材としているが最後まで書けないベンクト。それが音として他者に伝えられることを喜ぶシーン。

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著者プロフィール

’75年岐阜県生まれ。’96年、河出智紀名義『まずは一報ポプラパレスより』でデビュー。’04年『第六大陸』で、’14年『コロロギ岳から木星トロヤへ』で星雲賞日本長編部門、’06年「漂った男」で、’11年「アリスマ王の愛した魔物」で星雲賞日本短編部門、’20年『天冥の標』で日本SF大賞を受賞。最新作は『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ2』。

「2022年 『ifの世界線  改変歴史SFアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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