僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想 [Kindle]

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著者 : 荻上チキ
  • 幻冬舎 (2013年1月25日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (65ページ)

僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか 絶望から抜け出す「ポジ出し」の思想の感想・レビュー・書評

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  • ものすごくいい本。

    タイトルから精神論を題材にしたライトな内容を勝手に想像して買ったのだけど、がっつり政治の本で全く想像と違っていた笑

    第一章では近代の日本の政治情勢の変遷が分かりやすく解説されていて、政治に疎い自分にはとても参考になった。

    ・戦後から1993年まで続いた「55年体制」(与党:自民党、野党:社会党という体制)の崩壊が近代日本の政治において大きな転換点だった
    ・55年体制の崩壊には、「族議員」の衰退が大きく影響している
    ・族議員とは、1972年以降、田中角栄が作り上げた官僚操作システム
    ・党内・派閥内議員を各省庁に割り当てる(族議員)ことで、地方の圧力団体と省庁の口利きを行い、票田(組織票)を獲得しようというシステム
    ・族議員システムは、日本経済が高度成長期から安定成長期へ移行し、潤沢な予算を確保することが難しくなった時期において、その効果を発揮し続けた
    ・族議員は地方の圧力団体に対して「自分ならこれだけ予算を取ってこられます」とアピールし、圧力団体の支持を得る。そして、圧力団体の支持を後ろ盾に、族議員は政府・省庁に対してその要望を通すように働きかける
    ・90年代以降は、小選挙区制の導入や、そもそも日本経済が安定成長期から低成長期へと移行して予算の確保が一層困難になったことなどから、族議員システムが効果を発揮できなくなっていった
    ・2000年代に入り、公共事業の予算規模が急激に縮小されたことで、族議員が地方に回すパイがなくなってしまい、自民党はどんどん弱体化していった
    ・そんな中で小泉純一郎が登場し、「自民党をぶっ壊す(=族議員+派閥政治の組み合わせをリセットする)」というスローガンを掲げて熱狂的な支持を得た
    ・これ以降の自民党では、「構造改革」が唱えられ続け、政治の世界は「無駄な予算を削る」ことに主眼を置くようになっていった
    ・その流れの中、2009年に民主党政権が誕生し、2010年に「事業仕分け」が鳴り物入りで実施されたが、蓋を開けてみれば大した財源は確保できずガッカリという結果に
    ・これ以降も「自分ならうまく削れる」というアピール上手な政治家がその都度人気を得るような構図が続いている

    第二章以降も政治をテーマに、どのような観点で政治参加していくべきかといったことが語られている。

    ・増税は「税率増」であり必ずしも「税収増」ではないことに注意が必要
    ・実際、97年の3%→5%の消費増税では、翌年以降日本の税収全体は減ってしまった事実があり、これに対して不況下での増税で消費が落ち込んだのではないかという指摘がある
    ・消費税は弱者からも強者からも同じ税率で徴収するので、弱者ほど重税感が増すという性質があり、そう考えると「消費税を社会保障に充てる」というのは「弱者から巻き上げた税金を弱者に再分配する」というナンセンスな議論と言える
    ・「増税」「歳出削減」「借金」の3つの選択肢が議論されがちだが、「経済成長」「効率化」という選択肢もあるはず
    ・もはや経済成長などありえないという諦観が蔓延しているが、日本以外の先進国は、低成長とはいえ日本よりは高い成長率を維持しており、日本も「今よりマシ」程度の経済成長を前向きに目指す態度は放棄するべきではない
    ・デフレの真の問題は物価の下落ではなく、それにより引き起こされる賃金の下落であり、物価の下落率に比べて賃金の下落率が高いことである
    ・「生産年齢人口の減少がデフレを引き起こしている」という議論が跋扈しているが、他国を見るとそれが全く当てはまっていないばかりか、現役世代が減っている日本以外の国では高いインフレが生じている国の方が多い
    ・「社会保障を充実させる=財源を確保する」と短絡的に考えず、「社会保障制度を適切に設計し、少ない財源で中身を充実させる」という可能性についても検討するべき
    ・生活保護受給者は原則として預貯金をしてはいけないため、生活保護から抜け出すことができないという制度上の問題をはらんでいる
    ・日本では「流通している食品の総カロリーにおける、消費された国産食品のカロリー」という計算式を持って食料自給率を議論しているが、よく考えてみれば、この計算式は我々がイメージする「いざ日本の食料だけで賄おうとした場合に、どれくらい食料不足が起こるのか」という意味を全く表しておらず、こんな式をもとに議論をしても全く意味がない
    ・犯罪をめぐる議論では、どうしても「厳罰化するか否か」に焦点が当てられがちだが、より重要なのは「どうすれば犯罪が起きにくい社会を作れるか」という観点。データを見れば実は厳罰化というのは犯罪抑止効果がイマイチなのだが、犯罪者への社会的報復感情への支持が高いために根強い人気があるという状態

  • 社会問題を考える際に必要な観点が具体的に書いてあった点がとても良かった。(例えば社会制度について考える際には「構造要因」、「制度要因」、「経済要因」の観点が必要、と書籍には記してあった。)
    これまで私は社会問題について考えようと思っても、 こういった観点を持っていなかったので、マイノリティを無視した極論しかアイディアが浮かばなかったが、今後は本書で学んだ観点を軸に、建設的な議論が出来そうな気がしている。

  • 著者の出演されていたテレビ番組を見て,興味をもったので読んでみました.

    本内で述べられている著者の主張はそうだよなあと思うところが多くありました.ただ,タイトルと比較すると内容が弱いかなと途中から思いました.

  • 低成長期に入り、配り合いの時代から削り合いの時代に突入した日本では、
    益のない個人叩きや、意見・提言へのバッシング合戦が続いている。
    私たちがポジ出しをし合い、より良く社会をアップデートしていくには…。

  • 結局、「ポジ出し」とは何なのかが冒頭で少し説明されているだったのが気になったかな。まあ、内容を読んでいけば言わんとしていることはわかるのでいいかもしれないですが。
    荻上さんは累進課税派なのかな?ここら辺小飼弾さんとは違うか。 

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