球体の蛇 (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 道尾作品は本当に読み応えがある。
    ストーリーは重いけど夢中で時間忘れて読んでしまう。

  • 最後で救われた気がしたので全体的に良いなと感じたけど、途中が長いよ。暗いよ。弱いよ。執念深いよ。

  • 意味もなくアリの巣を踏み潰してみたり、バッタの足をひきちぎってみたり、子供の頃の無自覚な残虐性は怖い。
    サヨは虫ではなく、人間で同じことをやっていた。

    サヨの世界は何が起きても雪しか降らない。
    退屈なスノードームの世界。

    その閉塞感を壊したかったのだろうか。
    この物語では、その閉じた世界を羨ましく思っていた人もいたので、やるせない。

  • 一気に読みきった。
    道尾さんらしい展開だったけど、最後は今までよりも余韻を残すものだった。
    ジンワリとくる良さを持った作品でした。

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    *紙の本は所蔵がありません

  • 一気に読めた。少し偶然が重なりすぎ?

  • 両親の離婚をきっかけにシロアリ駆除業を営む隣人の家で暮らすことになった少年。その家には元々年の近い二人の娘がいて、幼い頃からよく遊んでいたが、皆でキャンプに行った夜テントが燃え、その事故が元で姉妹の母が亡くなった。その後姉の方(サヤ)が自殺。残された3人はそのことをそれぞれ引きずって生きてきた。
    事件の真相は? シロアリ駆除のために訪れた豪邸で出会った謎めいたちょっとサヤに似た女性が絡んで話が複雑に。
    なかなかユニークな言葉を使う作家さんのようで、「顎を硬くする」という表現が用いられていたがどういう意味だろう。私の知らない慣用句かと思って調べたが辞書にもwebにも見つからなかった。無根拠なんて言葉も。これはwebにはあったが辞書には見つからない。まぁ意味は明らかだが。「寝臭い」なんて言葉も初めて見た。

  • 幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう―。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。

  • 道尾秀介作品で最初に読み、一番好きかも?な作品。
    この作品の持つ空気感がとても素敵でした。

  • 嘘をついてはいけないよ。
    幼い頃に、大人は子供にそう教える。
    なんで、と子供は聞く。
    大人は答える。
    一つ嘘をつくと、その嘘を保つためにもっとたくさんの嘘をつかなければならなくなる。
    そしてもうどうしようもなくなった時に、嘘は自分自身を苦しめてしまうからだよ。

    しかし成長するにしたがって、子供は嘘をつくことを仕方ないと思うようになってくる。
    嘘をつかなければ生きていけないのだ、ということを学ぶ。
    確かにそれも人生の、また、社会の一つの真実だが、あの日大人が言った言葉にも嘘はなかった。
    小さな嘘が降り積もった時、そこに見えるのはどんな景色だろうか。

    智子に友彦は強く惹かれていた。
    シロアリ駆除のために潜り込んだ家の床下で、彼女の喘ぎ声を聞き、彼は猛烈に興奮していた。
    いけないことだ、そう思いつつも彼は離れられなかった。

    サヨに友彦は惹かれていた。
    しかし彼女は死んだ。
    それを自分のせいだと友彦は思い込んでいる。
    何が原因だったのか。
    かわいそうだったから。きっと、それのせいだ。
    このことを友彦はずっと抱えてきた。
    その重みは年々増え、自分の力では支えきれなくなってきた。
    手放したい、誰かに押し付けてしまいたい、そんな気持ちが悲劇を生んだ。

    小さな嘘が、小さな思い込みが、小さな優しさが、人生をゆっくり狂わせる。
    いや、実は、そもそも狂ってなどいなかったのかもしれない。
    狂い始めた、と思っているのは当事者たちだけで、本当は何もかも正しかったのかもしれない。
    その正しさが自分が思い描いていた方向とは少しずれていただけだったのかもしれない。
    吐き出すこともできず、消化していくしかない、友彦も乙太郎も、智子もナオもそう思っているけれど、吐き出したものは何度でも蘇ってくる。
    消化することでしか解決できないこともあるのだ。

    涙など、ウワバミは流さない。
    だからウワバミなのだと傍観者である私は思わざるをえない。

  • 静かに悲劇が流れていく。
    納得のいかない人生の成り行きが切ない。
    エピソードが何かにつながるのかなと読み進めるが
    そんなドラマチックな現実はない。
    『小説じゃあるまいし』・・・そうか これは小説だった。

    道尾氏をよむといつも登場人物に『幸せになってほしい』と思う。人物の心に引きこまれる。

  • 暗いすごく陰鬱な内容に感じた。
    だがとても面白かった。とても綺麗な文に引き込まれた。
    監督に恵まれたらとてもいい映画になりそう。

  • この人は、少年時代のモヤモヤ感を描写するのが上手すぎる
    すれ違いと、誰もが持ってるずるさとそこからくる罪悪感に苛まれる下りだなんとも言えない

  • 思い込み、欲望、すれ違い…人を傷つける切っ掛けなど誰かと関わっていれば無数に見つかるものですが、それがどう作用しどういう結果になったかなど、普通は知り得る事の方が少ないのでしょう。
    当然物語ですので、それらが偶然か誰かの意志か詳らかにされる所に面白みがある訳ですが、本作では更にもう一つ伝わって来た事が。

    それは単純に「お互い様」という事。

    一方的に他人を傷つけてきたのではなく、自らも同じだけ騙され、傷つけられてきたのだと思うことが、ここではどれだけ救いになった事か。

    案外悪くない読了感。
    氏の作品が好きになります。

  • 幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう―。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。

  • かなり時間がかかってしまいましたが、無事に読了です。 結局誰がいけなかったのか、誰の行動が誰の死に 繋がっているのか、はっきりとは分かりませんでした。 そこが良いのでしょうか・・・

  • ガラス一枚で隔てた雪景色の世界。
    その球体の中に嘘を丸ごと飲み込んで、涙を流すウワバミ。
    雪が溶けるように、ゾウをこなすように、
    いつか嘘も溶けてなくなってしまえばいいのにと、祈りながら読んだ。

  • 10代の時、若さゆえにおかしてしまった嘘と過ち。




    それが連鎖していきながら、物語はどんどん進んでいきます。




    あのひと言があの一つの行動が、自分にとって大切な人たちを傷つけ




    そして命までも奪ってしまったということが分かった時




    主人公同様、読んでいる自分にも激しい悲しみが沸き起こります。




    道夫さんの本を読んだのは「光媒の花」に続いて2つ目で、長編はこれで初めてですが




    人の感情を表す言葉の巧みさ、そして体や行動を比喩する巧みさは




    すごい!のひと言。




    この人の感覚はどこからくるんだろう。




    誰もが甘く切なく感じる青春時代を思い出させるそんな1冊です。




    そして誰もが蛇を持っているのかもしれません。

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著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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