球体の蛇 (角川文庫) [Kindle]

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  • KADOKAWA
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感想・レビュー・書評

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  • 道尾作品は本当に読み応えがある。
    ストーリーは重いけど夢中で時間忘れて読んでしまう。

  • 最後で救われた気がしたので全体的に良いなと感じたけど、途中が長いよ。暗いよ。弱いよ。執念深いよ。

  • 一気に読めた。少し偶然が重なりすぎ?

  • 両親の離婚をきっかけにシロアリ駆除業を営む隣人の家で暮らすことになった少年。その家には元々年の近い二人の娘がいて、幼い頃からよく遊んでいたが、皆でキャンプに行った夜テントが燃え、その事故が元で姉妹の母が亡くなった。その後姉の方(サヤ)が自殺。残された3人はそのことをそれぞれ引きずって生きてきた。
    事件の真相は? シロアリ駆除のために訪れた豪邸で出会った謎めいたちょっとサヤに似た女性が絡んで話が複雑に。
    なかなかユニークな言葉を使う作家さんのようで、「顎を硬くする」という表現が用いられていたがどういう意味だろう。私の知らない慣用句かと思って調べたが辞書にもwebにも見つからなかった。無根拠なんて言葉も。これはwebにはあったが辞書には見つからない。まぁ意味は明らかだが。「寝臭い」なんて言葉も初めて見た。

  • 嘘をついてはいけないよ。
    幼い頃に、大人は子供にそう教える。
    なんで、と子供は聞く。
    大人は答える。
    一つ嘘をつくと、その嘘を保つためにもっとたくさんの嘘をつかなければならなくなる。
    そしてもうどうしようもなくなった時に、嘘は自分自身を苦しめてしまうからだよ。

    しかし成長するにしたがって、子供は嘘をつくことを仕方ないと思うようになってくる。
    嘘をつかなければ生きていけないのだ、ということを学ぶ。
    確かにそれも人生の、また、社会の一つの真実だが、あの日大人が言った言葉にも嘘はなかった。
    小さな嘘が降り積もった時、そこに見えるのはどんな景色だろうか。

    智子に友彦は強く惹かれていた。
    シロアリ駆除のために潜り込んだ家の床下で、彼女の喘ぎ声を聞き、彼は猛烈に興奮していた。
    いけないことだ、そう思いつつも彼は離れられなかった。

    サヨに友彦は惹かれていた。
    しかし彼女は死んだ。
    それを自分のせいだと友彦は思い込んでいる。
    何が原因だったのか。
    かわいそうだったから。きっと、それのせいだ。
    このことを友彦はずっと抱えてきた。
    その重みは年々増え、自分の力では支えきれなくなってきた。
    手放したい、誰かに押し付けてしまいたい、そんな気持ちが悲劇を生んだ。

    小さな嘘が、小さな思い込みが、小さな優しさが、人生をゆっくり狂わせる。
    いや、実は、そもそも狂ってなどいなかったのかもしれない。
    狂い始めた、と思っているのは当事者たちだけで、本当は何もかも正しかったのかもしれない。
    その正しさが自分が思い描いていた方向とは少しずれていただけだったのかもしれない。
    吐き出すこともできず、消化していくしかない、友彦も乙太郎も、智子もナオもそう思っているけれど、吐き出したものは何度でも蘇ってくる。
    消化することでしか解決できないこともあるのだ。

    涙など、ウワバミは流さない。
    だからウワバミなのだと傍観者である私は思わざるをえない。

  • 静かに悲劇が流れていく。
    納得のいかない人生の成り行きが切ない。
    エピソードが何かにつながるのかなと読み進めるが
    そんなドラマチックな現実はない。
    『小説じゃあるまいし』・・・そうか これは小説だった。

    道尾氏をよむといつも登場人物に『幸せになってほしい』と思う。人物の心に引きこまれる。

  • 幼なじみ・サヨの死の秘密を抱えた17歳の私は、ある女性に夢中だった。白い服に身を包み自転車に乗った彼女は、どこかサヨに似ていた。想いを抑えきれなくなった私は、彼女が過ごす家の床下に夜な夜な潜り込むという悪癖を繰り返すようになったが、ある夜、運命を決定的に変える事件が起こってしまう―。幼い嘘と過ちの連鎖が、それぞれの人生を思いもよらない方向へ駆り立ててゆく。最後の一行が深い余韻を残す、傑作長編。

著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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