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感想・レビュー・書評
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「各国のモノやサービスの値段を比較すれば、それぞれの『真の姿』が見えてこないだろうか?」という考えから、「世界20か国に住む日本人ライターにそれぞれが暮らす国の物価について執筆してもらった」本。
価格は需要と供給の関係で決まるので、モノの価格は、それぞれの国民が何を欲し、何が不足しているのかを示すシグナルである。したがい、各国の価格を調べれば「真の姿」は見えないまでも、各国の事情は分かるはず。この発想は面白く、読みやくストレスを感じない読み物になっている。
印象に残ったのは、
・オーストラリアのフードコートなどで一番安いランチは日本食。これは日本人の生産性向上の努力に関連している。
・「女の子はきれいじゃないと価値がない」という類のことばをたくさん耳にする韓国では、赤ちゃんのころから「この子は生まれつき二重まぶただ。整形費がかからないね」と枕元でささやかれる。
・ケニアでは多く買うほど単価が高くなる値段設定。これは「まとめ買い」ができるというのは、経済力の大きさを表すから。
20か国の中にはたまたまインドネシアは含まれていない。自分なりの印象を紹介すると。
・2012年、13年にインドネシアの最低賃金は6割上がり、所得が3000ドルを超える中間所得層も激増している。一方、インフレ率は、昨年燃料の補助金削減で8%を記録したが、2012年は4%。国民の購買力は確実に上がっている。
・これにより、国民が欲しいモノも広がりを見せている。例えば、マンダムの男性化粧品、ユニ・チャームの製品が爆発的に売れるようになってきた。
・一方、最低賃金の上昇は会社勤めの人々をカバーするだけであり、この恩恵を受けていない層も多い。また、この層は高等教育を受けられず、なおもインドネシアは貧富の差が縮まらない構造を有する。
・インドネシアでは昨年自動車が123万台売れた。服の色によって、その日の車を選ぶという人がいる一方で、1日2ドル以下で生活している人々は5割。米国型の貧富のピラミッドがインドネシアにも存在する。
・以上のような社会を反映して、インドネシアでは同じ物でも、安く買う手段が発達している。例えば、野菜はマーケットで買うのと、行商人から買うのとでは値段が大きく違う。また、ばら売りを利用している人も多く、洗剤なら一袋5円で買える。
娯楽に目を向けると、映画館では、ゴージャスな設備で、話題の映画を日本より早く見ることができる。入場料はたった450円。しかし、最低賃金が2万5千円の人々には、この入場料は決して安くはない。
先週の日曜日の午後、米国で記録的な大ヒットとなった「ゴジラ」を見に行ったが、映画館は(予想通り)ガラガラ。多くの人は、海賊版のDVDを家庭で楽しむ。DVDの海賊版は1枚50円が相場。これなら、映画館から足が遠のくのもうなづける。DVDの海賊版は映画館で隠し撮りされているのが売られているので、映画館の雰囲気も同時に楽しめる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
世界各国で生活をしている方からのレポートから、その国の実情を詳しく知ることができた。特に、実際に生活されているからからのものなので、より詳細に、知ることができた。
自分は、ニュース等でその国の表面上のイメージしか知らなかったり、この本によって、イメージとして持っていたものが間違っていたり、裏があることを知ったりと大変参考になった。
いろんな国のいろんな事情を知ることによって、もっともっと深堀りして知りたくなった。
この本で良いきっかけをいただいた。 -
場所が変われば生活が変わる。日々の生活を支える様々なモノの値段からその国の実情が見えてくる。お金で計ることができる価値も国によって大きく変わることの発見。