その夜の侍 [DVD]

監督 : 赤堀雅秋 
出演 : 堺雅人  山田孝之  綾野剛  谷村美月  高橋努  山田キヌヲ  坂井真紀  安藤サクラ 
  • キングレコード (2013年5月7日発売)
3.06
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感想 : 107
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988003817688

感想・レビュー・書評

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  • 緊急事態宣言も東京アラートも解除されて、徐々に外で人と会うことができるようになった。
    映画好きの友人と、自粛中に観た映画について話している時にわたしが「観る映画に意図せず新井さんが出てくることが多くて…」と話したところ、この作品を勧められた。彼女は言った、「この映画はね、珍しく新井さんがいい奴役なんだよ!」と。なるほど。

    出演者は、堺雅人、山田孝之、新井浩文、綾野剛。
    うん、何か不穏なことが起こる気満々な感じ。
    加えて、安藤サクラとでんでんも出演している。漂う園子温感。
    (※監督は園子温ではありません。)

    自粛中は、意図せず新井さんが出てくることが多かったけれど、
    自粛後、わたしは自分から新井さんへ当たりにいくことにしたのだ。キラーン!

    「凶悪」では、事件を追及して悪を焙り出す、善の役として主演を張っていた山田孝之。今回は、「凶悪」で悪の側にいたリリー・フランキーやピエール瀧のような、暴力で人をどうにかさせようとする側、悪の役だ。それに逆らえない綾野剛、彼らに殺されかける新井浩文。
    山田孝之演じる木島は堺雅人演じる健一の妻をひき逃げする。この時、綾野剛演じる小林も助手席に乗っていた。妻のことを忘れられない健一は、木島への復讐を誓う。それを心配している健一の妻の兄(健一にとって義兄)にあたる青木役を演じているのが新井浩文。なんと学校の先生!健一の身体を気遣って「タバコやめろよ」とか言っちゃういい奴。それでも、妹をひき逃げされている過去があるわけで、心に抱えた傷は深い。だから、時折声を荒げたりするシーンは狂気じみていて、新井さんの不穏さがうまく活かされている。

    作中で小林(綾野剛)が「平凡でいたい」と言う。
    それに対して青木(新井浩文)が「平凡ていうのは、全力で築きあげるもの」だと言う。
    この作品は言うなれば「平凡じゃない人たちが、平凡を追い求めるお話」なのかもしれない。
    でも実際に平凡が訪れれば、人は退屈になって、自分から平凡じゃないものを作り上げてしまうか、平凡じゃない世界に行きたくなってしまうのではないか。
    わたしも、平凡な日常を送っているつもりだった。結婚して、子どもも何人かいて、そんな平凡な生活を送っているつもりだった。誰もがそれを平凡だと思っていたし、誰もが手に入れられる平凡だと信じていた。みんなとっくにその平凡を手に入れた。それがいつのまにか平凡は、自分の手の届かないところにいっていた。その平凡を手に入れた人たちはきっと、全力で築き上げ、全力で守り抜いているのだろう。わたしはいつからか、平凡じゃない生活の方が、どうしてか居心地がよくなってしまった。そして思う、平凡、とは。

    無性にプッチンプリンが食べたくなって、けれどあいにく冷蔵庫には入っておらず、
    代わりにKALDIで買ってきたベトナム風練乳プリンを食べた。めちゃめちゃ美味しかった。

  • ★ケンちゃ~ん!また隠れてプリン食べているんでしょ!★

    堺雅人が演ずる中村ケンちゃんは妻を轢き逃げされ
    妻の死を受け入れられず、弔い方もわからない、
    妻が残した留守電メッセージを5年も呪文のように聴く男。

    一方、ケンちゃんの妻を轢き逃げした木島(山田孝之)は
    人を撥ねた直後に
    ”あ、サバ味噌の匂いがする・・・どこかで今夜はサバ味噌だな”
    という状況判断に乏しい頭のおかしな男。

    この2人の男が5年後の大雨の中で対峙するが、
    こんばんは、と互いに挨拶を交わしてから取っ組み合う。

    おかしいのはこの2人だけでなく登場人物全員がズレズレ。

    案外、あたしも周りの知人達も一見、
    正常のような気がしているだけなのかもしれないと思った。

    ラスト、ケンちゃんがプリンを頭や顔に塗りたくり
    留守電を消去するシーンが印象的でした。

    山田孝之、もっと凶暴さがほしかったな。

  • 救いようのない人間性のひき逃げ犯を演じるのが、
    山田孝之さんがうまい!

    それに恐怖感もあって
    なんとなくくっついていってしまっている
    綾野剛さんも演技がうまい。

    この映画のテーマは
    なんでこんなこと(=反社会的な行動)やってるの?/したの?
    という問いに対する複数の
    「なんか、、、暇だから」
    という答えにある。

    「暇だから」とてつもなく「暇だから」
    恐喝するし、その共犯するし、売春もする。


    それってある意味、真実なんだろうなって思う。

    悪いことをしないのは道徳を守っているというよりもそんなことするほど暇じゃないから。

    そういう側面はこの世界のどこかに絶対にあると思った。


    そして、
    主人公のいう「話をする」「ただ日常の話をする」という行為が
    無辜の人々を犯罪加担から救うこともほんとうにあるのだろう、と思った。

  • 《演技の上手い役者ばかり集めると映画はこうなる》

    山田孝之が観たくて、たまたま見つけた映画。主演堺雅人と言うだけで期待が持てます。

    内容はともかく、演技が出来る俳優女優しか出ていないので、観てて飽きない。名演技が名演技を呼ぶ様なそんな掛け合いを感じる事が出来る。

    それもそのはず、こちらの映画の原作が舞台劇であり、その舞台劇の作者演出の方が映画の監督を務めているので、まるで舞台演劇を見ている様な感覚に陥るのだ。

    この映画は好き嫌いが分かれる映画だと思うが、圧巻の演技を見るだけでも一見の価値はあるのでは無いでしょうか?

  • 演技派の役者陣をそろえてて、それがすごく重くて怖かった。
    山田孝之好きだけど、この役はすごい怖い。
    絶対こんなヤツいるいる!と思えるそれだけリアルな感じが怖い。

    ただ、最後何?
    復讐はきちんとして欲しかったってのがね。
    それだけ山田が憎くなる。
    でも実際問題できないのもわかるんだけど物語だから・・・すっきりして欲しかったってのはある。
    結局弱い者は泣き寝入りなのかと・・・悲しくなった。

  • 妻をひき逃げされた
    (犯人は結局見つかり服役)主人公が
    出所してきた犯人につきまとい、
    食生活をチェック!

    最終的に嵐の中揉み合いになった後、
    「君は…何となく生きている…!」と伝え
    釈然としないまま犯人はカラオケへ、
    主人公は日常に戻る。

    と書くと身も蓋もないのですが、
    主人公が見ていない犯人の生活描写で
    犯人がもう本当にどうしようもなく、
    悪気がないとか根は良いなどの概念を越えて
    底が浅くティッシュペーパーのように人間性が薄く
    最終的に主人公が悟るように
    ただただ何となく生きている動物に近い男なのだと
    視聴者に分かるのです。

    だから主人公が犯人を殺すことを希望し
    仮にそれができたとしても、
    犯人は殺されることに恐怖はするけど
    何で殺されるのか説明されても理解できないだろう。

    犯人的には奥さんを轢いたのは事故だし服役もしたのに
    なんで復讐されなきゃいけないの的な感覚と推測
    =それして意味あるの?

    主人公が犯人を殺さなかった訳としては
    結局犯人の行動(とシミズ推測)が示唆するように
    殺す意味は全くない、と感じたからと思われ
    妻が戻ってこないしもういない、ことが実感を伴ったからと思う。
    留守電消してプリンを破壊してましたしね…ここ泣ける…。

    でもせめて犯人を半殺しくらいにはして欲しかったよね!

    泣けるといえば
    黄色いソファが欲しい警備員さんとトモロヲさん、
    後日談として結ばれて欲しいよね!

  • 「一人じゃないっていいですね。」
    警備員もおっさんもあのお友達?舎弟?もコガネムシだったんだね。
    危ないのに嫌なのに近寄ってく。

    しかし、山田孝之のクズっぷりすごい。似合うなー。すごいゲスい。
    堺雅人のじとーっとした汗まみれのあの感じ、初めて見ました。かっこよく見えないの。凄いね俳優って。(今きらきらしてる役が多いから)
    あと、個人的に安藤サクラ苦手なので、あの役が異常に腹立ったw

    最後、留守電を消してプリンをかぶる意味。
    「お前を殺して、俺は死ぬ」
    殺せなかったから死ぬことは止めたんだなって。
    妻から止められてたプリンを喰いまくる行為や喫煙は緩やかな自殺だったんだね。と解釈。

    この中で一番すごく感心したのは、木島(山田孝之)がタイタニックを借りに行かせるところ。
    リアルだと思った。居るんだよ。映画と言えばタイタニックという類の人。(いやタイタニックを否定してるんじゃなくて…)

  • 2012年。自分の中では裏アカデミー最優秀作品賞。
    (ちなみに表向きは北のカナリアたちでした。)

    ぐるりのことを観たときくらいの衝撃。
    いや、それとはちょっと違うな。

    シリアスなはずなのに、アルゴとは違う意味で笑えて、

    でもラストの堺雅人に激しく感動。

    人が立ち上がるということは、
    理屈やセオリーではないのだ。
    乗り越えるために必要な時間も手段もその人それぞれ。
    それは誰にも無理強いできないし、
    かっこわるくてももがいて、もがいて、
    苦しんで、
    その人自身が納得して初めて、
    乗り越えたと言えるのだ。

    その姿には誰も笑えないし、
    むしろ涙さえ流れる。

  • これは自分史上最高にわからない映画だった
    それはもう時間を返してもらいたくなるほど
    いくらなんでも自分に酔いすぎ

  • アレでしたね。「考えるな!感じろ!!」系の映画でした。うん。いやあ、わからんかったなあ~。サッパリでござった。でも、このヒリヒリする感じの映像、バリ好きです。ざらついてるなあ~、って感じ。「こういう感じ」の映像は、もう本当に好きなんですよねえ。でも話としては、さっぱりワヤ、でしたなあ。

    堺雅人&山田孝之のW主演、ということで良いのかしら?脇を固めるのは新井浩文に綾野剛に、でんでん、田口トモロヲ。チョイ役としては安藤サクラ、坂井真紀。主題歌はUA。うーむ。超豪華やん。「こういうの」が好きな人には、なにしろ堪らないラインナップだと思いますですね。で、俺は「こういうの」は、まあ、大好物なんですよね。なにをもって「こういうの」を指すのか?というのは、なんとも言い難い。ま、とりあえず「こういうの」としかね、言いようがないのだ、、、すまん。

    映画全体に漂う、なんらかの「狂ってる感」は、間違いなくあると思うんですが、、、ちょっと失礼な言いかたをしちゃいますと、エンジョイ系狂ってる感、なんちゃって狂ってる感、かなあ?という気はしましたね。

    うん、失礼な言いかたします。「この、こんな感じの狂ってる感、かっこいいでしょ?こんな雰囲気出せる俺って、結構、いいでしょ?」ってね、正直ね、監督さんが思ってるんじゃねえかなあ?ってね、勝手に感じました。ええ、僕が勝手に。そんな事を意識されてないのかもしれないんですが、僕は思っちゃったんだから、仕方ない。すみません。

    なんだろうなあ。たとえば、北野武監督「その男、凶暴につき」や、黒沢清監督「CURE」や、トビー・フーパー監督「悪魔のいけにえ」とかの狂気も、計算されている、とは思うんですが、あっちの方が、なんらかの剝き出しの「トンでもなさ」がね、あると思うんですよね。

    映画として存在している以上、あれらの作品に焼き付いている狂気は、絶対に計算されている筈、だと思うんですよ。でも、その計算された中にもそれでも、どうしても計算から外れたであろう、マジモンのなんらかの「狂ってる感」が、どうしてもこう焼き付いちゃってて、それに私は、どうしても心動かされる、心ふるわせられる、訳なんですよね。自分が勝手に感じるだけなんですが。

    で、この作品には、そうした「計算の狂気を超えた、なんらかの無自覚の狂気の美しさ」みたいなもんは、すみません。あくまでも僕は、あんま感じませんでした。「あ、狙ってる狂ってる感だけだね」って感じで。めっちゃ生意気なこと言って、ごめんなさい、なのですが。赤堀監督マジごめんなさい、って感じなのですが。でも俺はそう思っちゃったんです、すみません。

    山田孝之が、多分友人の綾野剛の家で田口トモロヲを監禁して、「俺の悪い噂流したのおまえだろ?吐けよ!」って拷問するやないですか。あっこで、狂気演出の手段として、山田孝之が田口トモロヲに灯油をぶっかけて火をつけようとする、みたいなシーンがね、あったんですよ。アレはねえ、実は、個人的には醒めちゃいました。

    「部屋の中で灯油はぶっかけねえだろう。アレをやるとしたら、どう考えても屋外だろう。だってあっこでトモロヲ燃やしたら、家の中でっせ?超迷惑じゃん色んな方面に。あ、ポーズだなコレ」ってね。思っちゃったんだよなあ~俺は。どうしても。ああいう場面は、俺は、なんちゃって狂ってる感、だとね、思ってしまうんですよね。どうしても。

    あと、最終盤の最終盤、この映画の一番の見せ場であろう、台風の大雨の中での屋外での堺雅人と山田孝之の、とっくみあいの喧嘩も、うーん。正直。コントだな、って。包丁捨てるのとかね、あのコメントとかね。うーん。長回しのコントをとりたかったんだろうな、コメディーだな、ってね、思いましたね正直。

    「その夜」って、どの夜だったんだろう?「侍」って誰?とか思いました。さっぱりまあ、チンプンカンプンですね。フィーリングだけは伝わった!ってところですかね。

    山田孝之はバンバンにクズ人間を演じてましたが、結局、偶然でひき殺しちゃった坂井真紀以外は、結局は殺してないんですよねえ。となると、モンスターまでは行っていない的な?でもあんな人間が世の中に普通に存在するのかもなあ、って思うとマジ困っちゃう。

    田口トモロヲは綾野剛は、なんでアレと友達付き合いできてたんだ?あと新井浩文も、アッコまでボコられたら、普通、警察に通報するだろう、、、あと、最終盤。あの泥まみれのシャツ、普通は着替えるでしょうよ、どう考えても、って思いましたね。

    堺雅人の狂った演技は好みです。ああいうの、好き。でも、なんというかなあ、、、ああなっちゃったのが、妻を轢き逃げされて殺されちゃったから?ではない気がする。妻が生きてる時からプリン中毒だったし、アレで良く工場の部下連中とコミュニケーション取ることできたよなあ。

    あと、山田孝之の朝昼夜ご飯キッチリとメモるほど、あんだけストーカーしててなんで工場は通常営業できてるんだ、、、でんでんが、工場維持、頑張ってたんだね?でんでん、エエ奴やなあ、、、

    監督の赤堀雅秋さんは、映画畑の人ではなくて、演劇畑の人っぽいですね。そうだったのか~。なんというか、「こういう映像」ってのは、どう考えても好みです。で、話としては、ホンマにピンと来なかったんですが、ま、他の作品、ちょっと観てみたいな、って思わせる何かは、間違いなくあるな、って思いました、、、ので、他の作品も、みたいですね。ええ、観たいですね。

  • 2019/4/27
    役者ってイイな。

  • 8月10日
    決行



    憎しみ
    罪悪感
    嫌悪感
    正義感

    悪意

    孤独

    成し遂げたかったことは復讐ではなくて、
    哀しむこと。

    プリンの涙。

  • 妻を轢き逃げで殺された男が、五年経っても尚 犯人への復讐だけを胸に生きる。けれど決して復讐劇ではないのが良かった。
    堺雅人や山田孝之を始め演技派が揃い踏みで素晴らしかったです。重いシーンが淡々と続くので、キャスト目当てで観るには向かないかも。

  • 妻の久子(坂井真紀さん)を轢き逃げされた中村健一(堺雅人さん)は、犯人の木島(山田孝之さん)が檻の中にいる5年間、毎日、命日に久子からかかってきた留守電を聴き、復讐心を忘れない様、努めていた。出所した木島の素行の悪さは相変わらずで次々と問題を起こしていくのだが、久子の命日についに健一と直接対決となるのだが。。。

  • 冒頭のひき逃げシーン、あまりの怒りに観続けることができず、終了。それだけリアリティのある描写だったのかもしれないが…。
    定額制見放題でなく、お金を払っていれば、頑張って最後まで見たかもしれないが、残念。

  • コメディかな?観客を逆なでするようなキャラやセリフ、シーンが何の為に存在しているのかが全くわからず、不協和音をたてていて、ただただ不愉快であった。こういうチグハグな会話や人物って日常に潜んでいますよね、っていう狙いが透けて見えたから余計に辛かった。

  • キャスティングは抜群。堺雅人もいつもの定型的な演技ではなく、「ああ、こういう駄目な男がいるだろうな」という気持ちにさせてくれる。ただ、物語自体はあんまりにも観念的だし、最後の対決のシーンのダイアログは「いったい何なんだ」とがっくり。「平凡がいい」「退屈だから」という伏線が張られているにしても、これはあんまりではないだろうか。個人的には警備員の将来がとっても心配なまま終わった感が強い。それにしても安藤サクラはカラオケがうまいな。

  • なんの予備知識もなく見た。
    どうしようもなく心が抉られる作品。
    賛否両論で評価が割れてしまう理由もよくわかる。

    元は舞台とのことで、確かに舞台映えするストーリーで、
    演劇界では問題作として普通に受け入れられる作品だったかもしれない。

    兎に角まず、俳優陣の演技力の凄まじさに圧倒されてしまう。

    正直共感出来る登場人物というのはいなくて
    際立っているのは山田孝之さん演じる木島宏のどうしようもなさだ。
    ただ、堺雅人さん演じる中村健一も今ひとつ、一言で言うなら病んでいる訳で。
    新井浩文さんが演じる健一の義兄青木順一にしろ、綾野剛さんが演じる小林英明にしろ、どうしてそれぞれ健一と木島にそこまでしてやるのか
    自分にはどうにも解せなかった。
    人間、必ずしも行動に理由があるわけではなく、理由はないけどどうしてもこうしなければならなかった、ということもあるわけだが。

    本当に演技力が素晴らしく、先が読めない。
    健一が何をしたいのか、何をしようと思っているのか
    最後まで読めないし、多分自分でもわかっていないのだろうと思う。
    インタビューで、堺さんとしては希望を、監督としては何も解決していないことを描写したというのを読んだが
    本当にどうという答えが無いラストなので、そういったものが苦手な人には不向きな映画だろう。

    私は、復讐できないのを悔やんでいるようにも、自暴自棄になっているようにも見えた。そしてまた、川村などと多少なりとも距離を詰める未来もありえないことではないのではないかとも思った。

    健一のキャッチボールの後、思わず高橋努さん演じる久保浩平が涙するシーンは
    地味ながらもぐっときた。
    なんだかわからないけどふと涙が流れて、思わず感情移入したりほっとしたり
    いろんな複雑な思いに囚われることが、時にはあるはずだ。
    とてもリアルな涙だったと思う。

    谷村美月さん演じる関由美子は非常に不思議なキャラ。
    何故木島に惹かれたのか。何か鬱屈したものが彼女の中にもあったのか。
    狭いアパートの部屋にソファを買いたい、雨が好きという彼女にも
    仄暗い怖さと切なさを感じる。

    小林は何故木島とつるむのか。久子をひいてしまったときにも
    ずっと震えながら救急車を、と言っていたし
    星や青木に対しても常識がある風の態度を取る。
    木島が怖いとも言う。木島の暴行行為を止めようとしつつも
    言うばかりで行動にまでは移せず震えている。
    それなのに、木島には自分がいないと駄目なのだとも言う。
    そんな彼が、木島と星が立ち去った後青木に対してどうするか読めなかった。
    助けるのか埋めるのか、どっちでもありえると思った。

    結局助けてくれた小林に対して、冷静に丁寧にいつも通り振る舞うかと思えば
    突然怒りをぶちまけ、言うつもりではなかったと謝るのに
    また小林にあたるという矛盾やギャップもまた人間らしい。

    やりたい放題で怖いもの知らずに見える木島ですら
    健一に復讐されると思い多少なりとも脅え
    待つことを嫌い包丁を隠し持ったまま大声で呼ばわり迎え討とうとする。

    人間のあやふやさ、惰性でも生きていけること、煮え切らなさ、孤独
    様々なことが空恐ろしく感じる映画でもあった。
    一歩間違えば誰でも、この登場人物の誰かになりかねない。

    健一と木島のあの夜の対峙シーンを、監督は決闘と呼んでいた。
    だからこのタイトルなのかもしれない。
    あの瞬間は、2人とも本音でぶつかっていたのかもしれない。
    2人とも自堕落な生活をし、煙草やプリンなど体に悪いものも手放せず
    周りに迷惑をかけつつ助けられて生きているという共通点が図らずもあるのだ。

    映画の宣伝で、堺さんが「見ると気分が悪くなるから見ない方が良い」と言っていたというのを見かけた。
    公開当時この映画のことを知らず、番組も自分で見たわけではないので
    堺さんがどういう思いや意味でおっしゃっていたのか自分にはよくわからない。

    確かに気分が良くなる映画ではない。


    自分の妻を過失であっても殺して、全く反省の色がない男に
    「他愛のない話がしたい」「おまえは何の関係もない」
    「おまえは本当にただ何となく生きている」
    と言う健一。
    もしかしたら微かにでも、この言葉は木島の心を打ったのかもしれない。
    そしてまた、健一に返る諸刃の剣でもあったのかもしれない。

  • 〜2015

  • うーん。。。
    期待しすぎてしまった。

    残忍な山田孝之とイケてない中年 堺雅人。
    作品全体に笑えないシュールさがちりばめられている…けど私は面白く感じなかった。

    人間のクズである山田君の役が、最後の雨のシーンで突然人間味を増すのが理解不能でした。

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