99%の誘拐 (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    特に終わり方。ミステリの場合、事件の真相を複雑にしすぎて登場人物の心理という面で不自然さが感じられることもあるが、この作品はそういうことがない。
    西澤保彦の解説にもあるように、内面描写を抑えることでかえって登場人物の心理を読者に想像させ、なんというか共感できるようになっている。
    心理面での不自然さがない、というのはミステリとしての完成度の高さを測る重要な指標だと思う。
    「読者に真相を悟らせないように、無理に真相を複雑にしてみました、その結果、かえって登場人物の心理に不自然さが出てしまいました」、こういうミステリはありがち、よくない。この作品の場合はそういうことがなく、いわば「腑に落ちる」、読後に充実した余韻さえ感じられる。
    巧みな構成、スピーディな展開、まさしく巻置く能わざる、誘拐ミステリの傑作だといえる。

  • まだインターネット、スマホのない時代、いちぶのマニアによるパソコン通信しかなかった時に書かれたミステリー。公衆電話から音響カプラーを使って通信を試みるなんて今ではありえない時代だった。主人公の執念とも言える壮大な仕掛けはよく思いついたものだ。そのうち、AIを駆使した犯罪もでてくるのだろう。
    Kindle unlimited

  • あらすじ

    物語は、慎吾の誘拐を振り返る父の手記から始まる。
    非常に綿密に練られた誘拐計画により、父は当時の会社運営資産である5000万円を身代金として失ってしまう。
    そして、その誘拐の実行犯は実は間宮という同じ会社の男だった。
    この身代金の強奪により、父の会社は別の会社への吸収合併を余儀なくされる。


    時は流れ、慎吾は大人になり同じく父の会社の研究員として働いている。
    彼は、とても優秀な研究者で、AIシステムの開発に成功。
    現社長の孫である謙介を誘拐し、10億円の身代金を要求する。また、慎吾は自信を身代金の受け渡し者として指定し、最終的に10億相当のダイヤを手に入れることに。
    全ての指示はAIによって行われ、警察も結局慎吾の元に辿り着くことはできなかった。
    慎吾にとって誤算だったのは、間宮が事件の捜査に関わっていたこと、間宮は真相に最後には気づくが、慎吾を警察に突き出すようなことはせず最後は2人で昔の誘拐事件で金塊を投げ捨てた海の上で話をする。

    感想
    最初の誘拐事件は、巧みに犯人に操られて捜査が撹乱される様が面白かった。
    また、慎吾による犯行パートも次はどのように警察を出し抜くのか、というドキドキがあって面白かった。
    基本的に慎吾の計画が完璧なので、あまり追い詰められるような状況が無かったのが少し残念。
    なんとなく、トリックの手口を淡々となぞっていく感じがあった。
    AIによる犯行というのがテーマとしては面白かった

  • 過去の誘拐事件を解決。
    パソコン通信の時代が懐かしい。
    トリックはよく出来ている。

著者プロフィール

岡嶋 二人(おかじま・ふたり)
徳山諄一(とくやま・じゅんいち 1943年生まれ)と井上泉(いのうえ・いずみ 1950年生まれ。現在は井上夢人)の共作ペンネーム。
1982年『焦茶色のパステル』で江戸川乱歩賞を受賞しデビュー。86年『チョコレートゲーム』で日本推理作家協会賞を受賞。89年『99%の誘拐』で吉川英治文学新人賞を受賞。同年『クラインの壺』が刊行された際、共作を解消する。井上夢人氏の著作に『魔法使いの弟子たち(上・下)』『ラバー・ソウル』などがある。

「2021年 『そして扉が閉ざされた  新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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