土井英司の「超」ビジネス書講義 これからのビジネスに必要なことはすべてビジネス書が教えてくれる (ディスカヴァー携書) [Kindle]
- ディスカヴァー・トゥエンティワン (2012年5月29日発売)
- Amazon.co.jp ・電子書籍 (292ページ)
感想・レビュー・書評
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この本は、読み終わる前に、挫折する。なぜならば、読んでいる中に、紹介されている本があり、その本をアマゾンで買って、読んでしまうから、継続して読めない状態になる。
そして、昨夜やっと完読したのだ。読み始めたのが、2016年だから、実に5年もかかった。
と言っても、昨日から最初から読んだのだが新鮮だった。黄色いマーカーが引いてあるので、読んだ箇所はよくわかるが、今回もだいたい同じ場所に引きたいと思った。あまり人間って変わらないのだね。
ビジネス書の成り立ちをよく分析しているのがすばらしいのだと思う。それにしても、実にたくさんんの本を読んでいるので、驚くばかりだ。読んだ本が17000冊というからすごい。
ビジネス書で『時代の潮目を読む』というのがいい。①時代の波に逆らわない②人々のニーズを冷静に見極める③誰も提供できていないサービスを『逆ばり』で提供する。
ビジネス書は『生もの=食品』であり、鮮度が命であり、劣化する。その時に売れても、時代が変化すれば売れなくなるのは当たり前で、それは『役割を終えた』からだ。
その時の時代背景によって、売れるビジネス書が生まれるという指摘はなるほどだ。
2011年にビジネス書は、4932点出版された。著者は、1000冊は読んだという。
ビジネス書とは時代の変化に会わせて、仕事のために読まれる。できるだけ具体的に加工されたリアルな事象を、手っ取り早く吸収する。戦略や戦術、仕事の最前線で使える武器を扱っている。
『ひとつの価値観が飽和すると、対極のある価値観へ振り子はふれる』という。
『全体主義』と『個人の自由』に振り子のようにゆり動く。基本原理は自由からの逃走にある。この考え方は、面白いが、全体主義の言葉の定義がちょっと違う感じがする。言葉の扱いが少し乱暴だね。
戦後はつくれば売れる。生産性を高めれば儲かる。生産工場の成功法則。それは松下幸之助だった。
情報化時代がやって来て『注目を集めること』が重要になった。それは佐藤可士和だった。
1990年前までは、ビジネス書がえらい人のものだった。
1990年代、バブル崩壊がもたらした翻訳されたビジネス書ブームが起こった。
1997年三洋証券、山一証券、北海道拓殖銀行の経営破綻で大きく変わった。
岩波新書、中公新書、講談社新書が新書御三家。1994年ちくま新書、1996年PHP新書、1998年文春新書と新書がビジネス書をリードすることになる。ワンテーマのビジネス書となった。
2003年養老孟司のバカの壁、2005年さおだけ屋はなぜ潰れないか。三浦展の下流社会、2006年坂東真理子の女性の品格とビジネス書がベストセラーとなった。
21世紀拝金主義という海賊が現れ、『お金を稼げばいい』『お金はつかうものだ』に変わった。
お金が大好きだけど、何か?お金でなんでも買える。お金を振り回した。
GAFAを、海賊だと定義するのはおもしろい。
「恋バナ」などのケイタイ小説、ONEPIECE、もしドラなど、つながりが流行る。
会社に頼れない。成功も望めない。個人としてのスキルを磨くということで、ビジネス書が必需品となった。2007年は、ビジネス書バブルの1年。ビジネス書があふれる。数字に追いかけられる。時間がない。そんな中で、効率よく仕事をする方法が求められた。ビジネス書は「ツール、スキル、時間活用」がキーワードだった。
2008年9月15日リーマンブラザースが破綻。それで、人々は原点に立ち戻る。その時に売れたのが「悩む力」姜尚中(著)だった。時代の大きな転換に、悩むことが反映する。自由と孤独。
ファンタジーとしてのビジネス書。
2011年被害関東大地震とメルトダウン。大きく時代が変化する。
情報時代、断捨離、そしてモバイル時代を迎える。個人から全体、革新から保守、豊かさから潔さ、大から小、複雑からシンプル、成功から幸せに。
「自分でつくる幸福は決して裏切らない」
そして、コモディティから抜け出すためのキャリアプラン、ライフデザイン、新しいビジネスモデル、ビジネスパーソンとして時間術から、時間戦略への転換が求められている。
2012年の本なので、その後がどう展開しているのか?
「エヴァンゲリオン」「鬼滅の刃」が流行っている時代をビジネスとしてどう見るのか?
そして、このコロナ禍において、何を読み、ポストコロナに何が流行るのか。
この本がいうビジネスの境目としては、大きな転換を迎えていると思う。それを考えることで、ワクワクする。詳細をみるコメント0件をすべて表示