死ねばいいのに (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 死んだアサミという女性の関係者を、殺した本人がその素性を聞いてまわるだけのお話。上司、同僚、恋人、母親など様々な関係者が出てくるのだが、どの人もクセ強だし、聞いているワタライという青年がこれまたクセ強なので読んでて凄く疲れたというか、あまり共感できなかった。強烈な言葉のドッジボールを読むだけでこんなに疲れるのか。初の京極作品だったけど、ちょっと肩透かしを食らった感じ。

  • 殺された鹿島アサミを巡って、周囲の人にワタライケンヤと名乗る男が話を聞きに行くという話なんだけど、最初のうちは話が全然進まなくてイライラしてしまった。とにかく建前の部分をワタライが責めて責めて責めまくるので、読んでて少し疲れる。
    私は高校の時の国語の先生に言われた「人は矛盾を孕んでいるもの」という考え方がすごく好きで安心するので、途中でワタライに対して「うるせええ!」ってなってしまった。

  • 京極夏彦先生の本は初読みです。
    新年一冊目が初読み作家さんだなんてなんか素敵w

    アサミが何者かに殺された。
    ケンヤはアサミがどんな人だったのか知りたくて関係者に話を聞きに行く。

    1人目は派遣先の上司。
    家庭や仕事に不満を抱いている一人よがりのアサミの不倫相手。

    2人目はアパートの隣人。
    アサミに男を取られたと思っていた女。

    3人目はアサミの情夫。
    アサミをペットや物のように言うが本当とは大切にしたかった男。

    4人目はアサミの母親。
    悪い事は全部他人なせいにするような女。

    5人目は刑事。

    そして最後は‥。


    どれもこれも心当たりががあり自分に言われてるんじゃないかと思って来る不思議な感じで物語が進んで行く。

    中盤まで面白かったんだけど尻すぼみ感が否めない。

  • 京極夏彦さんの本は初めて読んだけど、個人的には読みやすく面白かったです。
    他のレビューでは京極さんっぽくない的な感想も多かったけど、初めてなのでよくわかりません。

    話は「ケンヤ」と他6人の登場人物との会話と心理描写のみで進んでいく。
    この6人が皆、仕事、家庭、金、人間関係、他者の評価、責任感など、現代人が抱えるストレスに縛られまくっている。
    皆、自分のことばかり喋りまくる。
    対するケンヤは態度は悪いが、思考はシンプル。
    ミステリーがメインではあるが、自己啓発的な一面もあり、なかなか考えさせられる一冊だった。

  • いやー、面白かった。独自のスタイルでストーリーが展開。一見一番まともでなさそうな人間が、一番まともというのは皮肉が効いてる。みんな、日常の中で何かから目を逸らしながら生きている、その何かを目の前に突き付けられる。その後味の悪さ、その先にある結末、、

  • 京極作品を読んだことが無かったが、興味はあり何かしら読みたかった。
    また、友人から本作を勧められ読むことにした。

    内容は、死んだ女(亜佐美)が何故死んだのか、どんな女だったのかを主人公の健也が関係者から話を聞いていく形で進んでいく。

    タイトルの「死ねばいいのに」という言葉はとても重い言葉であり、話を聞いた関係者の全員に健也は投げかける。関係者はそれぞれの思い込みや周りの環境等に対する主観と客観のズレからそれなりに追い込まれているため、関係者の心には刺さったようだ。

    本作を読み思ったが、人生はそんな簡単に割り切れないということだ。
    どうしようもない部分があるから、間違いや判断を誤ったりする。それでも人は生きていく。自分自身の満足を模索したながら、満ちることは無い器を満たすように各々の満足を満たすのが普通の人の在り方だ。

    その螺旋を亜佐美は死というもので超えていく。殺した時に健也が感じた恐怖感ははかりしれないものだったのは間違いと思う。満ちることのない器は完全に満ちており、一方で人として何か放棄してはいけないものを完全に捨てている。

    もう少し作者の作品を読めば色々わかると思うので、機会を見つけて読んでいきたいと思う。

  • ページ数の割には軽くて読みやすかった。
    一人目はなんだか自分のことを言われてるみたいで物凄くドキッとした。でも健也はほんとあんまり頭良くなさそうなのに周りの大人達はなんで上手く言いくるめられちゃってんだろう?
    でも一番最後の辻村さんの解説が一番どきりとさせられたかな。

  • 「一人目」山崎部長
    「二人目」篠宮佳織
    「三人目」佐久間
    「四人目」母親
    「五人目」山科警部補
    「六人目」弁護士

  • 短編集と思って読み始めて最初はどうかなと思ったが、個々の短編が一つの事件、というより人物に関するつながりのある話であると気づいてから俄然面白味が増した。

    個々の話は、京極堂の憑き物落としのような感じで、その話の対象となる人物の考え方、悩み、常識等を、一見軽薄短小な若者だが実は洞察力に優れた名探偵ともいうべき人間が、ひっくり返す展開であり、最後に「死ねばいいのに」という一言で締められている。

    「死ねばいいのに」という言葉は、最後の短編までは、「ぐちゃぐちゃ言うな。そんなの悩みでもなんでもないだろ。」ぐらいの意味なのだが、最後の短編においてある人物に対してのみ、その意味が違ってしまっている。

    それにより本作品通じての最大の謎である、何故その人物が殺されたのかという謎が解けるのだが、残念ながらその人物は彼岸の住人になってしまっているので(魍魎の箱で箱の中を除いてしまった人物のように)、この真相自体にあまり納得感というか爽快感はなかった。

    個々の短編は楽しめただけに、その点だけが少し残念だった。

  • 引き込まれるようにぐんぐん読ませて、ラストシーンではゴゴゴゴーッとさらにぐいぐい惹き付けて、周りの音が何も聞こえなかった。本編と関係ないけど、「自分の感覚を自分の言葉で話そうとする人の言葉が、社会感覚としての言葉になっていないと受け入れられるのに時間がかかるものだ」みたいな一節があって、あるよね〜と思った。めちゃめちゃ頭が疲れているときも普通によめるし、しっかりおちがついているし、誰が読んでも面白いと思う。読書の趣向がわからない人とかにも普通に勧められるような本だと思う。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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