小さいおうち [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • 映画の方を先に観、原作では謎がわかるかしらと読んでみたが、むしろ原作の方がより謎を残したままのように感じられ、映画は一解釈を示したもののように思えた。穏やかで淡々とした語り口、謎の部分を読者の想像に委ねているところなど、ふわふわとしたところが魅力。

  • 色んな意味で作品の予備知識や先入観なく読む方がいい作品だと思います。
    ウィキペディア等も参照しない方がよろしいかと。

    戦時中でも庶民、特に作中に登場するようなアッパーミドルの家庭では東京大空襲までは平和に暮らしていたことに驚かされました。
    浮世離れして美しい時子奥様の一番の庇護者は女中のタキさんだったのだろうな、と思います。

  • 老女の古き良き時代の思い出話…
    戦争の足音が近づく中で庶民は意外とのんびり過ごしてたのか、と読み進めていくと、
    あらあらビックリのミステリー⁉️

  • たぶん2度目。
    戦前の東京の生活を女中の目で語る内容。太平洋戦争開戦後も東京大空襲までは、普通の生活が続いていたことに少々驚く。
    戦前の東京は活況で、現在のバブルと同じくらい浮足立った世の中であったことも興味深い。

  • タキの淡々とした語り口調や、効果的なひらがな使い、婉曲的な表現がいい具合に挿入されることで、柔らかく優しい文体。
    一方で、淡々とした語りの向こうでの個人個人の感情がリアルに感じられ、まるで自分がタキになったような気持にさえなる。
    また、戦前・戦時下では戦争という非日常によりブレンドされる特異な感情も垣間見える。

    最後の100ページ程度はページをめくる手が止まらなかった。
    "だいじなことを、何も知らずに、わたしの日々は続いた。
    いつのまにか、私の毎日は、たいせつなことを追い越した
    (中略)
    わたしの毎日は、変わらず続いていて、終戦もあり、ジープも見たのに、奥様の毎日はもうとうの昔に終わっていて、私はそれに気づかず過ごしていた。"

    甥の視点で語られる最終章もとても素晴らしい。

    是非他の本も読んでみたいと思う。

著者プロフィール

1964 年東京都杉並生まれ。小説家、エッセイスト。出版社勤務、フリーライターを経て、2003 年『FUTON』でデビュー。2010 年『小さいおうち』で第143 回直木三十五賞受賞。同作品は山田洋次監督により映画化。『かたづの!』で第3 回河合隼雄物語賞・第4 回歴史時代作家クラブ作品賞・第28 回柴田錬三郎賞を、『長いお別れ』で第10 回中央公論文芸賞・第5 回日本医療小説大賞を、『夢見る帝国図書館』で第30 回紫式部文学賞を受賞。

「2022年 『手塚マンガで学ぶ 憲法・環境・共生 全3巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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