特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録 [Kindle]

著者 :
  • ディスカヴァー・トゥエンティワン
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感想・レビュー・書評

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  •  特殊清掃とは、事故や自殺など遺体が関係する現場やゴミ屋敷などを清掃することで、著者が作った造語らしい。シンプルだがなんとなく伝わってくる言葉だ。

     本書は著者が経験した現場のエピソードを綴ったブログの記事をまとめたもの。本業は物書きではないので文章はややこなれていない印象もある。本人が書くよりジャーナリストが取材してまとめた方が読みやすいものになったと思われるが、やはり本人ならではの迫力もあり、どちらが良いとも言いがたい。

     遺体そのものは警察などが運び去るので、彼らが行うのはいわば痕跡の除去だが、遺体は燃やせても建物を燃やすわけにはいかないのだから、むしろ大変だろう。その様子は淡々と語られているが、想像するとすさまじい。

  • ニュースや特番でもたまに見かける特殊清掃
    孤独死や自殺等、いろんな人がいろんな事情で亡くなった後に全てを片付ける
    20年以上特殊清掃の仕事をしている人の本。
    人が忌み嫌う清掃の仕事だけど、自分が見知った人の跡を片付ける気持ちは
    何とも言えない気持ちになった。
    理由はそれぞれにせよ、部屋から虫が湧いたりごみが散乱していたり
    言葉絵では言い表せない壮絶な清掃をしないといけない場面があったり
    亡くなった人間の体液の痕跡など
    遺族やその周りの人から見ると、この痕跡も亡くなった人の一部なんだという見方があるのかと感慨深いなと思う
    今は死がちょっと遠く、出来るだけ普段の生活圏内から目に触れないようにという環境が多い
    昔は各家庭で家でそのまま最期を看取るというのが普通だったのが
    今では延命だとか医療が発達したからこそ、もちろんいいことも多々あるけれど
    それでも誰でもいつかは早かれ遅かれ死ぬし
    死んだ途端、体は人間ではなくモノになってしまうという事実。
    いつかは来るであろう、自分の理性を保つために必要な考えではないかと思う

  • Kindle Unlimitedで購入。

    特殊清掃。人が亡くなった現場や、ゴミ屋敷など、普通でない掃除を請け負うこと。

    その特殊清掃を生業としている著者のブログの書籍化、ということである。言葉はシンプルで非常に読みやすい。

    読後感が良いのは、等身大で人間として共感できるところが多いことに加え、いつも死を間近に考えている著者の言葉だからこそ、重く、説得力があるから、なのだろう。

    自分もこういったブログが書けるといいな、と思う。

  • 死体現場の清掃業務をおこなう会社の従業員が、その仕事内容をブログに綴ったものをまとめたのが本書。

    淡々とした書き方だからこそ、いずれは向き合わなければならない死を、まじまじと見せつけられる。

  • 風呂場でぶよぶよに膨らんだ水死体画像は見たことあるが、それは辛うじて人の形を留めているものであった。それはまだ画像を通してるが故に、緩衝されている部分があるが、現実にそのものと対峙することを考えると著者の経験には頭が下がります。
    平易な文章で読み易く、書かれることは意外とおどろおどろしくない。寧ろこざっぱりとしていると言える。
    著者の人柄の善人ではないが悪い人でもない日々の仕事に対して憤りや不平を感じたり、悩んだり、故人または遺族に対して想うことを想い時には涙する。
    対峙することで見えて来るもの、感じるものを請け負わずに打ち明ける様は人間らしさ、人間味が親しさをもって綴られる等身大の姿だ。
    文章で語られる死の現場から見えるのは、ありきたりではあるが人の有限性である。
    人の有限性をもってして愛しさを覚え、人生の歯がゆさ、儚さと人と人が紡ぐ慈しみが沁みる。
    人の逃れられない死に際して何を学ぶか。死を考えることで生も浮かび上がってくる。

  • 自分が死んだ後のことで考えているのは、荷物の整理です。もし自分が死んだ時に、残された人がいれば、その人達に自分の死による煩雑な事務の迷惑をかけたくないので、死が近づいてきたら荷物は軽くしておきたいです。

    日頃から物を持たない生活を心がけています。単純に物を持たない生活が心地いいからです。一方で、先を見越した死への準備とも言えるかもしれません。

  • 人の死に触れる仕事をしているからこそ、人の死を身近に感じる。
    多くの死に接する中で、きれいな心でいるために人の痛みに共感することが必要と考える。

  • ルポとかノンフィクションとか解説が好きな私にはこの文学ちっくな文体が最初しっくり来なかったけど、読んでいくうちに沁みた。マジで泣いた。忘れた頃にもう一回読み返したい。

  • 特殊清掃にとどまらず、葬儀屋がやるような納棺やご遺体の移動もしている著者。
    内容はさまざまなケースの紹介とそのとき思ったこと、感じたことの記録。どれを読んでも故人と遺族への思いやりとプロ意識を感じる。
    大変良い本だった。

  • 少し前に『火葬場で働く僕の日常』という漫画を読んだ。
    人の死に対峙する仕事をする人の死生観って、やっぱりすごく心にくるものがある。

    私は看護師だが最近、訪問看護の世界に飛び込んだ。
    働く場所は、医療機関ではなくその方のご家庭である。
    病院にいた時よりも、その人のリアルがすごく伝わってくる。
    家の中には、その人の人生が詰まっていると、訪問しながら感じる。

    著者はベテランであるとはいえもちろん生身の人間。
    人の死を著者なりに受け止めながら仕事をこなしているのがすごく伝わってきた。

    普通の人じゃ耐えられない現場に仕事と割り切って集中してやり切ることもあれば、依頼者の話を聞きながら一緒に故人に寄り添い、時には依頼者の人生を後押しもする。

    死体とはナマモノで、当然放置すれば腐る。
    当たり前のことだけど、本当の意味でわかってなかったと気付いたし、その場に直面するまでは一生わからないんだと思う。
    人が亡くなる瞬間には仕事柄何度か立ち会ったことはあるが、その時ご遺体が人でなくなったとは思えないし、私はご遺体にもその人の名前で呼ぶ。
    でも、世の中には孤独死で発見が遅れて、人の形ではなくなってしまうご遺体もいる。もし対面したとして、私は人として接することはできるのだろうか。
    亡くなってからも、人には尊厳があるのだなと思った。
    (ちょっと感想がまとまらない)

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