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- / ISBN・EAN: 4527427810709
感想・レビュー・書評
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私だけの世界を現実に
幼い主人公に次々と訪れる災厄。
父親の死から始まり、耐えられない出来事が降りかかる。
そんな少女が救われるために考えた、自分が居るべき国。
それが本当にあるかどうかはわからない。
誰かから与えられた試練なのか、自分自身を肯定する国に入るために自ら定めた契約なのか。
想像の世界に入り込むために現実にありえないことが起こる、ということは想像の世界は現実なのだろう。
この作品の中で描かれている数々の暴力的なシーンは、ギレルモ・デル・トロ監督が実際に体験したことからインスピレーションを受けたという。
人生で経験する殆どのことは活かすことが可能な出来事であり、どう面白くするかを考え抜いた人にしかできない表現が詰まっている。
父が居て、母が居て、自分が求められる。たったそれだけのことが満たされないのが、この内戦時期のスペインだった。
人はどう生きて、どう死ぬのかだけではなく、
どう死んで、どう生きたのかを表す事もできるのだと思った -
戦争中の少女の話。
母親とともに、新しい父親となる大尉の元へ行き、残酷な現実と向き合わねばならない少女は、お伽話に夢中になる。
グロテスクな現実と、少女の夢見るお伽話の世界の対比が、現実のキツさをアピールしてくる。
血がブシャーとかはあまりないけど、痛々しいグロが多いので苦手な方は注意。
あと女性にはきついシーンがあるかも…
最後は少女にとってはハッピーだったのかもしれないが、視聴者にとってはなんとも言えない気分にさせられる。
私は自分の抱いた感情が少女に対する同情なのか、世界観に対する恐怖なのか、少女が気持ち的に救われたことに対する安堵なのかわからないが、エンドロールでしゃくりあげて泣いてしまった。
しゃくりあげるまでした作品は滅多にない笑
レビューを見ていると、なぜぶどうを食べたのかと感じている方が多いようだが、あの戦時中にぶどうという甘くて美味しい食べ物は喉から手が出るほど食べたいものであるだろうし、あんなにもたくさんの食べ物があったら魔がさしそう…あくまで少女は子供なので
その過ちを受け止めきれない余裕のなさも子供ならではかなーと思う
でもあの手に目がある怪物は怖い… -
主人公の女の子が魔法の国の王女となるために試練を、っていうファンタジーと見せかけてほとんどがゲリラ戦真っ只中のスペイン内戦。まあ子供の頃にしか信じられないファンタジーの世界、みたいなところなんだろうけどなかなかの胸糞ストーリーでした。それにしても父親であり敵役の大佐、タフガイすぎない?
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やっぱ、想定してたように、良かった
ただ、いいもんと悪いもん?の差がわかりやすすぎて、そこはちょっと
という感じかな -
グロテスクだけれど美しく、あるいは悲しいけれど美しい。ファンタジーといえばファンタジーだけれど、現実の世界が交差するとき、ファンタジーの世界に新たな扉が開かれる。その意味で私としては、本作は単純にファンタジーとも言いきれない気がした。オフェリアにとって王国の世界は過酷な生を生き抜くために必要な心の逃げ道だったように思うし、現実が過酷であるほど、その世界は豊かさを増していった。そしていつしかその境界は曖昧になる。子供特有の限りない想像力が厳しさを乗り越える力を与えたのではないか。それだけに、私はこの結末を単なるバッドエンドとはとらえられなかった。これはある意味、想像力の勝ちだ。
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スペイン内乱後の政情不安定な時代が舞台。
ゲリラと一触即発のフランコ将軍側の将校である新しい父親の家へ身重の母親と一緒に引っ越した少女が、森のなかに不思議な迷宮を見つけ、そこにいる「パン」という怪しげな生き物から実は少女は地底の国の王女さまで3つのミッションをクリアーすればその世界に戻れると誘う。
最初から最後まで冷酷極まりない義父の元で少女とその母親は徹底的に不幸であり、その現実から抜け出したい少女が幻想を見ている…とも取れるし、そうではない現実であるとも取れる。
ゲリラと現権力との対立、義父と母と娘の家族の物語、そしてファンタジー。
これらが混沌と混じり合い、怪しげな重奏が続くカオス的な物語となっていました。
でも、カオスの割には最後はなんだかわかったような結末になっているんだわ。
徹底的なファンタジーってその世界のルールを覚えて、自分もその世界の住人にならなくてはならないようなところが苦手なのだけど、このお話はビジュアルからして作り物感がありありで、むしろ安心して創作であることを客観的に眺められるので良かったです。
実はかなりの良作なのかもしれない不思議な感性の作品でした。 -
音大の変わり者の先輩がTwitterで”あれはある意味ハッピーエンドだと思ってる”と呟いていて気になった。
結果、私は断然ハッピーエンドだと思った。
少女が見ていたのが妖精でも空想であっても、あの苦しい状況のまま生き続けるよりも死ぬ事で救われることがあると思う。
ナイフで口を引き裂く様子、応急処置をしながらも牛乳を飲んで吹き出てしまう描写、銃で顔面を撃たれた際に目玉がぐりんとひっくり返る帰る姿が口裂け女のようにリアルで強い衝撃を受けた。
監督が戦場で実際に目撃したのを忠実に再現したらしい。
痛々しくて直視できない。
拷問の生々しさも気持ちが悪くて吐き気がした。強いショックを受けたのでこれから先もずっとこのシーンは忘れられないと思う。