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感想・レビュー・書評
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戦時性性暴力に関心をもっていることから、書店でふと目に止まって、ずっと頭から離れずにいた一冊。小林さんの心の声をしっかりと受け止めたい。現代でも、平時でも、恐らく加害する当人の無意識から表出する、性差別意識は、どうやって形作られるのだろうか。日常何気なく見聞きする「当たり前」をも疑っていきたい。
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著者は会社からの帰宅中にレイプされた経験の持ち主で、それから自分がどういう状態になったかを記している。犯人は捕まっていないため裁判などの手続きに関する記述はほぼない(別の人の話が少し出てくる)。主に心身と生活に与えた影響のまとめだ。
男の自分にはなかなかコメントしにくい話題だが、あえてこういう本まで出す著者がすごい人、特殊な人だというのは間違いないだろう。あくまでも一人の経験談であり、安易に普遍化してはならない。しかし心に留めておくべき内容だと思う。
大部分の人は被害にあったことを話すこともできないだろうし、被害の状況は千差万別で、もしもいつか自分の周囲の人が被害に遭ったとして、その人がどういう状態になるかは予測できないし、決めつけるのが一番良くないだろう。うまく受け止められる自信はないが、努力はしたい。しなくてすむならそのほうがいいけど -
以前、本屋で見かけたとき、興味は湧いたが手に取ることができなかったが、いつの間にかキンドル化されていたので読んでみた。
正直言って、重い内容だった。著者は、「周囲の理解」を呼びかけているようだが、本書で著者自身の経験を読むと、犯罪被害者にとっての葛藤の中では周囲の理解も中々本人には届かず、それでも長い期間にわたって周囲が理解し続けるというのは、大変なことで、恐ろしいことのようにも思われる。実際、元カレの「しんちゃん」は頑張った方だと思うが、その気持ちが著者に届くには、長い年月が必要だったらしい。
また、著者の元夫という人も、あまり著者のことを理解はしてくれなったようだが、短い結婚生活の末に離婚を受け入れざるをえなかったという意味では、気の毒だ。
もちろん、被害者本人が一番つらいということは分かるのだが、周囲が次々に不幸になっていくのは悲しい。このような犯罪被害が起きないこと、起きてしまった場合のケアの仕組みが整備されることを祈りたい。