失敗の本質 [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • これから何度も読み返す一冊になりそう。既視感による痛みをもてたあたり、これまでの職場にいた意味があった気がする。文庫版あとがきがとてもよかった。個人として何を、どのように影響を与え、また与えられながら成していくのかを問いながら生きてゆけという、遺言に思えた。

  • 失敗を抽出して書いた本というのもあるが、日本軍が絵に描いたようなダメ組織で驚いた
    そしてそのダメな部分はしっかりと現代の組織まで受け継がれている
    ダメな部分を鼻で笑うのではなく、明日は我が身と思って同じ失敗をしないよう心がけていきたい。

  • 密な情報共有・組織内の風通しの良さ・解釈の余白を残さない明瞭な指示・教科書に書いてない状況下での柔軟性等の重要性が一つ一つの事例から導き出されている。

    いずれもコモディティではあるが、いざ組織の中に入ると実践できていないことは現代でも多々あるだろうと推すに、いずれも舐めてはいけない反省。

  • 大東亜戦争の日本軍末期の失敗について、事実を詳説し分析を加えた本。有名な名著である。

    組織論を中心とした研究者・大学教授が、大東亜戦争でのターニングポイントとなったそれぞれの局面について、事実を複数の文献から整理したうえで詳説し、組織論的観点から分析を加えた本。
    一般に言われているよりも多くの情報が含まれていると感じた。一読しただけでは、十分に理解できていないかもしれない。

    日本的組織について語られており、現状の日本の閉塞感を予知しているともいえる。日本的組織で成功するヒントも述べられており、大変興味深い。

    amazonレビューから拝借した目次。
    ------------------------------
    目次
    はしがき
    序章 日本軍の失敗から何を学ぶか
    本書のねらい
    本書のアプローチと構成

    1章 失敗の事例研究
    1ノモンハン事件――失敗の序曲
    プロローグ
    第一次ノモンハン事件
    第二次ノモンハン事件
    タムスク爆撃
    ハルハ河渡河作戦
    砲兵戦
    「事件処理要綱」
    持久防禦
    ソ連軍の八月攻勢
    アナリシス

    2ミッドウェー作戦――海戦のターニング・ポイント
    プロローグ
    作戦の目的とシナリオ
    日本海軍の戦略思想
    ミッドウェー作戦の目的とシナリオ
    米海軍のシナリオ
    海戦の経過
    序幕――索敵の開始
    第一機動部隊VS.ミッドウェー航空基地
    南雲司令長官の意思決定
    フレッチャーとスプルーアンスの意思決定
    加賀、赤城、蒼龍の被弾
    山口司令官の意思決定
    閉幕――全空母喪失と作戦の中止
    アナリシス
    後知恵と錯誤
    連合艦隊司令部の錯誤
    第一機動部隊の錯誤
    日本海軍の戦略・用兵思想

    3ガダルカナル作戦――陸戦のターニング・ポイント
    プロローグ
    作戦の経過
    一木支隊急行
    第一回総攻撃
    第二回総攻撃
    撤退
    アナリシス
    戦略的グランド・デザインの欠如
    攻勢終末点の逸脱
    統合作戦の欠如
    第一線部隊の自律性抑圧と情報フィードバックの欠如

    4インパール作戦――賭の失敗
    プロローグ
    作戦構想
    東部インド進攻作戦構想
    ビルマ情勢の変化
    牟田口のインド進攻構想
    作戦計画決定の経緯
    作戦目的および計画をめぐる対立
    大本営の認可
    作戦の準備と実施
    鵯越戦法
    作戦の準備
    作戦の発動
    作戦の実施と中止
    アナリシス

    5レイテ海戦――自己認識の失敗
    プロローグ
    捷一号作戦計画の策定経過
    サイパン島陥落後
    連合艦隊の捷号作戦要領
    マニラでの作戦打合せ
    捷号作戦計画策定後の状況推移
    ダバオ誤報事件とその余波
    沖縄空襲
    台湾沖航空戦
    捷一号作戦の展開――レイテ海戦
    捷一号作戦発動
    レイテ湾突入計画
    ブルネイ出撃
    栗田艦隊「反転」
    アナリシス
    作戦目的・任務の錯誤
    戦略的不適応
    情報・通信システムの不備
    高度の平凡性の欠如

    6沖縄戦――終局段階での失敗
    プロローグ
    沖繩作戦の準備段階
    第三二軍の創設
    台北会議
    第九師団の抽出と配備変更
    第八四師団派遣の内示と中止
    作戦の実施
    沖縄作戦初動の航空作戦
    米軍上陸
    北・中飛行場喪失に対する反響
    第三二軍司令部の内部論争
    アナリシス

    2章失敗の本質――戦略・組織における日本軍の失敗の分析
    六つの作戦に共通する性格
    戦略上の失敗要因分析
    あいまいな戦略目的
    短期決戦の戦略志向
    主観的で「帰納的」な戦略策定――空気の支配
    狭くて進化のない戦略オプション
    アンバランスな戦闘技術体系
    組織上の失敗要因分析
    人的ネットワーク偏重の組織構造
    属人的な組織の統合
    学習を軽視した組織
    プロセスや動機を重視した評価
    要約

    3章失敗の教訓――日本軍の失敗の本質と今日的課題
    軍事組織の環境適応
    日本軍の環境適応
    戦略・戦術
    資源
    組織特性
    組織学習
    組織文化
    自己革新組織の原則と日本軍の失敗
    不均衡の創造
    自律性の確保
    創造的破壊による突出
    異端・偶然との共存
    知識の淘汰と蓄積
    統合的価値の共有
    日本軍の失敗の本質とその連続性
    ------------------------------

  • 現代の組織論などの専門家が、第二次世界大戦同時での主要作戦に於いて日本軍の意志判断などから何が失敗の本質だったのかを分析する本。この本を手に取って背景として、日本企業は土壇場における現場のマンパワーは凄いのに、なぜ組織レベルに於いてはイケてないのだろうか?と思っていろんな書籍を調べていたら本書に辿りついた。
    旧日本軍の主要作戦に於ける失敗の原因系を要約すると
     ・目的がはっきりしておらず、手段が目的と化している
     ・目的と手段を明文化せず、曖昧な表現=察しと思いやりの分化
     ・感情論と精神論を中心とした楽観主義

    こんなとこです。良くも悪くも、日本人らしさが影響しているようにも感じます。
    しかし、ではアメリカ人が日本人よりも優れているのでしょうか?
    それはNo!だと断言できます。日本人はどうも近視眼的なとこがありますが、アメリカ人の借金体質からも、双曲割引き=近視眼的な傾向に差異はありません。
    どちらかというと、言語の違いな気がします。

    さて、ここまでの書評だと自分に何も活かせることができないので、違った視点で。
    本書の中で印象的だったフレーズに「血の通った仲間を、死ぬと分かっている作戦に行ってこいとは言えない」的な表現がありました。ここはとても心打たれた観点で、後から後知恵的に問題点を指摘したとしても、刻一刻と自分も仲間も家族も死が迫っている状況で、何でもかんでも論理的な判断と行動ってできないでしょ。
    要は、当人たちと同じリスクを負っていないのに、問題点だけ指摘するのは何だかな~?とも思います。しかし、先人たちが命がけで戦った歴史から、我々は学ぶべき観点がたくさんあるということです。良い一冊でした

  • 大東亜戦争の日本軍敗北から、失敗する組織戦略を考察した一冊。

    ・大東亜戦争はそもそも勝てない戦いだった
    ・日本軍は、戦争全体を通して目的が不明瞭だった
    ・各作戦で、あまりにも現場任せだったり、目的が指示系統によって異なったりしていた
    ・米軍に比べて資源がなかったため、攻撃重視の戦略。ただし情報収集、兵力の補充、連絡系統にリソースをあまりにも割かなかった
    ・帰納的な発想で戦略を策定していた。帰納的戦略策定では、柔軟な対応を可能にするという利点があるが、日本軍の場合は、個別の事例を科学的に検証することなしに戦略に反映していた。
    ・基本的に、行ってこい、なんとかなるという精神論が先行していた
    ・米軍は、演繹的な戦略策定。徹底した情報収集などを元にまず本筋の戦略を規定。その後その戦略を実施し、PDCAを回して行った。
    ・偶然性や、異端な発想を認めなかった(現代で言うプランドハプンススタンスを重視しなかったどころか棄却した)
    ・日露戦争で成功を収めた白兵戦重視、船隊重視な姿勢のまま戦争に望んだ(新しい時代に適応できなかった)。つまり、成功体験を捨てられなかった。
    ・過去の成功を正解として、戦争という複雑な要素が絡みあう環境では答えが変わり続けることを認識できていなかった。
    ・組織内に多様性を認めなかった。故に、組織の自己革新が起こらなかった。
    ・多様性を認めなかったが故に、組織自体を自己否定する機運が生まれなかった(自己革新は自己否定から始まる)
    ・指揮官が現場をしらないまま指示をしていた(現場に行かないし、現場を知っているリーダーとの対話の時間すら作らなかった)
    ・部下や現場の兵士が全員、「空気を読む」ことを重視しすぐて、誰も反対意見などを言わなかった

  • 大企業病の本質が示されている。
    第一章は読みづらい。しかし第二章、第三章は大企業で新規事業開発に携わってる方は納得感が高い内容ばかりではないか?
    読み返す価値がある内容である。
    ただし失敗しない観点は理解できても、失敗しない組織をどのように構築していくのかは具体的な示唆は少ない。
    自ら考え試行錯誤実践していかなくてはいけない。

  • これはやられた。
    60年前に起こった日本軍の失敗と、
    現代の日本企業に置いて起こっている諸所の失敗の本質が同じだとは思わなかった。

    この本が出て30年、第二次世界大戦から約70年。
    日本は本質的に変化していなかった。

    そりゃあ、世界に置いて行かれるわこの国は。

  • 約40年前に世に出た、組織論の古典にして名著。
    偶然ながら、自分自身が社会人として世に出たタイミングと全く同時に登場した本であり、自分の仕事がたまたま経営や組織に関わるものだったことから、その当時から本書の価値と重要性は重々承知して来たつもりだが、実際に初めて読んだのは、それから約40年を経た現在となってしまった。
    一読して思ったのは、こりゃぁ難解だ。経営や組織を生業にして来た自分ですら、一読しただけで腹に落ちたとは言い難い。
    その理由の一つとしては、これは著者(たち)が企図したわけでは決して無かろうが、「戦争」での敗戦を通じて「日本軍」組織の問題を論じる本書を本当に正しく理解し咀嚼するためには、実は、「戦争」や「日本軍」を実体験として経験、理解、検討した者であることが不可欠なのではないか、と思われたことがある。要は、戦争を知らぬ年代・世代の我々には、著者らの研究の対象そのものが「未知」なるものなのだ。これじゃワカランわなあ。
    極論すれば、本書を「経営組織論の名著」等と高評する識者も、その多くは恐らく戦争経験者に違いない。そう考えるのは、やはり狭量が過ぎるか。

  • 学習する組織の話。経営学的組織論の現代的課題ですね。
    昭和の時代にもうこんなことが論じられていたのですね。
    驚嘆します。

  • いわゆる日本人らしさの要素の多くが作戦失敗の原因であり、現代の働き方、スポーツ、教育などにも通じる日本の悪い習慣だと思った。特に合理的な判断が必要な場面で人情や阿吽の呼吸、性善説・希望的観測に基づき曖昧な指示をするなどだ。状況の変化に対する計画の見直しもされず、無理な計画に対する否定的な意見は逆に指揮への影響を理由に除外されてしまっている。これは一種の日本古来の言霊思想の弊害だと思う。日本は米軍に暗号を解読されるほど情報戦に弱かった上に、得た情報も活かされていない。本作は現代への教訓になる良作だ。

  • 第2次世界大戦の各種作戦を丁寧に説明するとともに失敗の過程が分かりやすく説明されている。各作戦の課題が挙げられているだけでなく、組織の欠点が作戦の失敗につながり、ジリ貧になったところに組織の欠点によって悪化度合いがさらに強まるという連続的な悪循環もまた勉強になります。

  • 耳が痛い。

  • 組織としても敗けるべくして敗けたことがよく分かった。

  • 歴史から日本組織を振り返ることが有名な書籍です。
    日本人にはわかる部分が多いのではないでしょうか。

  • 電子書籍。太平洋戦争時の日本敗戦について、6つの戦いをもとに分析をするとともに、そこに横たわっている失敗の本質に迫る。。。という内容ですが、いやいや面白かったです。というか、この本が出たのが1984年。戦後約40年。現代がそこから約30年。全然かわってねーじゃん!!って突っ込みたくなるくらい日本人の本質って変わってないなと思えるところが多々ありました。指示の不徹底、いわなくてもいってくるだろう→いわなくてもわかるでしょ的な考え、忖度。技術の極限追及の結果、巧の技量を持たないと機能発揮できない戦闘機(ゼロ戦)、さらに声の大きい人間の意見が通ってしまう組織(陸軍)。。。いやあ全く変わってないですね。これはもう再読必須だ!!と思いました。

  • 一言でいうには、あまりにも多くのことが書かれた本だと思う。面白かったねぇ。以前、佐藤優氏が今読むなら『失敗の本質』より菊澤研宗氏の『組織の不条理』の分析の方が当たっているのではないか、と言っていたものだけどさ。両方を読んでみると、どちらも面白かったと思う。どちらも読むべき本だ。

     多くの学びが、本書から得られると思った。

    "教官や各種の操典が指示するところを半ば機械的に暗記し、それを忠実に再現することが、最も評価され、奨励されさえした。いわば「模範解答」が用意され、その解答への近さが評価基準となっている"

    "日本軍の組織学習は、目標と問題構造を所与ないし一定としたうえで、最適解を選び出すという学習プロセス、つまり「シングル・ループ学習( single loop learning)」であった。"

    "学習する主体としての自己自体をつくり変えていくという自己革新的ないし自己超越的な行動を含んだ「ダブル・ループ学習( double loop learning)」が不可欠である。日本軍は、この点で決定的な欠陥を持っていたといえる。"

     ここでいうシングル・ループ学習って、今の教育現場でも指摘される問題じゃないか。

     読むほどに、『失敗の本質』の中で語られる大日本帝国の失敗の本質は、今の日本社会の問題点として語られることとの共通点が多い。

     終わりの方の分析で、戦後日本の奇跡の復活は、戦争によってそれまで重石になっていた上の世代の多くがいなくなったことによって、社会の活力が生まれたのではないかというくだりがあった。

     最近読んだ白井聡、望月衣塑子共著の『日本解体論』のなかで、もう日本は落ちるところまで落ちるしか、反転する道はないんじゃないか、なんてゆってる場面があって、そのときは、もうそこまで来てるのかもね、なんて思ったものだけどさ。

     その落ちるところというのは、太平洋戦争の敗戦くらいのショックというのであるなら、それは勘弁してほしいと思う。

  • 2022年の今読んでもなお色褪せない、日本軍の失敗分析から今日の日本企業への警鐘を鳴らす一冊。ただこの本が色褪せないということは今なお日本軍と同じ轍を踏んでいる組織が多いということで、残念な気持ちにもなる。せめて自分の影響及ぶ範囲で自己革新能力を創造していきたい。

  • いろいろな人のおすすめ著書になっていたけど、ようやく読了!
    敗戦した6つの戦いを軸になぜ負けたのかを分析。
    今の企業や政治体制にも通じる組織のあり方の課題を洗い出していて、納得感しかなかった…
    歴史は繰り返すと言われているけど、今日本企業がある意味負けているのはこういうところにあるんだろうなと痛感した…
    人はなかなか過去から学べないんだなぁ…

  • 今なお色褪せず、むしろより迫ってくる。

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著者プロフィール

国際日本文化研究センター名誉教授

「2020年 『戦争のなかの日本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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