WILD ADAPTER: 1 (ZERO-SUMコミックス) [Kindle]

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  • 一迅社
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感想・レビュー・書評

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  • 買いなおし
    猫が、死んだ から始まるモノローグをめちゃ覚えてた
    久保田にとって時任は3匹目の猫ちゃんなんだね

  • 一番好きなジャンルがヤクザ物なので、この作品はお気に入りの1つです。
    登場人物がどんどん増えていくストーリーが一番好きなパターンなので、早く続きが読みたくなりました(^o^)

  • 中学時代に友人がハマっていて、当時 私も勧められて1冊くらい(巻数は忘れた)貸してもらって読んでいたのだけれども、やはり中学生の頭で読むより大人になって読むほうが良い作品でしたね。素直に「良い作品だ」と思える。

    大人になって、当時出ていた新装版の6巻まで買って、数年おいて今日まだ1巻しか読み返していないのだけれど、この1巻だけでも満足度の高い1冊に仕上がっている。主に原作者さんも巻末で述べている通り、この巻が「小宮編」として一定のまとまりを持っているからなのだけれども、この小宮とその母親の物語がね、厳しいけれども納得感もある。

    実際よくありますよね、自分ではどうしてよいかわからないから、一時しのぎに相手のためにならないことを、でも相手の望むことをやってしまって、お互いそこから抜け出すすべがわからないで、そこから前進もしない代わりに後退もしない状態に長く留まる、というの。

    中学生当時、私の周囲では久保田というキャラクターは大変な人気だったのだけれど、当時から私は久保田というキャラクターにそこまで魅力を感じられず、何となくよくわからないキャラクターとして理解を流していたようなところがあったのですが、大人になって読むと久保田という男が実に怖い男に思えてくる。

    作中で小宮が「久保田さんの痛みになる人って誰なんスかね……」と眠る久保田に問いかけますが、その答えを読者が得るより前に、小宮はすでに久保田を信じ、慕い、久保田に「生きて」と言い残して死んでしまう。

    読者は小宮の死後の久保田の行動を見て初めて、久保田という男がどういう男か、一定の信頼感をもって確信することができるようになるのだけれども、一方の小宮は読者がそれを知るより前に久保田について確信し、そして物語の核心に近づいて死んでしまう。

    小宮は読者より常に先を歩いていて、そのために死をもって、小宮の見ていた世界の断片を読者に示し、久保田という男と世界観についての理解を助けるキャラクターを演じながら、それでいて彼とその家族の物語の主人公としてきっちりと死んでいく。

    小宮はどうやって久保田が安心できる人物だと知ることができたのかは、作中では語られなかった久保田と小宮の日常の中に潜んでいるのかもしれない。そして久保田が小宮の仇を撃ったのは、小宮が善人だからではなく、久保田が小宮に愛着を感じていたからでしょう。おそらくその愛着を感じるようになっていった理由は、小宮がどこか動物に通じていた、生きているものであると思えた、そういうところなのであって、小宮が善人であるかどうかはおそらく久保田にとっては関係がなかった。

    久保田は懸命に生きている人が好きなのだろうと思いますね。そこに久保田は生きている他者の存在を感じ、自分もまた生きていることを確認する。小宮とその母親からは、彼らの抱える辛苦や葛藤も感じ取れるのですが、それ以上に懸命ですよね、親子ふたり、困窮した中で、弱い立場にある中で、どうやって生きていくか、その状態を維持するために、たとえ自分たちのためにならないとわかっていることでも目先の安寧のためにやってしまう、そのことにお互い苦しんでいるのにお互いにそこから抜け出せない、それでも目先の安寧を確保することで、1分1秒でも時間を進める。見ないふりをしてでも生きる。

    そういう悩み苦しむ役回りを、久保田は演じることがこれまでの人生でできなかったし、だからこそそういう人物を身近に置いて大事にする。

    久保田の最初の敵討ちは、果たして愛着からの敵討ちだったか疑問で、たんに所属先への帰属意識とか、気が向いたからとか、義理とか、そういう可能性をぬぐい切れないのですが、小宮の遺言を聞いて、何人殺してでも小宮の遺言を聞いて足抜けする、あれは明らかに小宮に対する弔いですよね。

    とはいえこの小宮への弔いとしての大量殺人からの足抜けが久保田の怖いところで、もしかしたら殺した相手の中に小宮のように愛着を持てる人物がいたかもしれないじゃないかとか、そんなことを考えない。

    久保田は抵抗なく素性を知らない相手を平気で殺せる人物ではあるけれど、一応の情もあって、隣を通り過ぎた愛着を持てる人物のためになら弔い合戦も演じられる。つまり久保田は初期状態では誰でも殺せる状態にあるのだけれども、そこから相手に何らかの魅力を感じると、愛着を覚え、殺したくない人物リストにその人物を書き加えるということでしょう。だからたとえば初めて小宮に出会った瞬間の久保田は、小宮を平気で殺せたのではないか。久保田にとって人間は初期状態ではすべて「殺しても何も感じない相手」で、そこから関係を重ね、愛着を感じられれば、「できれば殺したくない相手」、そして「絶対に殺したくない相手」に昇格していくのではないか。

    久保田にとって相手を殺すか殺さないかは、この点で大きく運にかかっている。殺すより前に関係を重ねる時間的猶予があるかどうかに まず大きく依存しているし、殺すための条件は特にない。本当に誰でも殺せる。相手の事情や相手を気に入る可能性もすべて度外視して、関係が浅ければ誰でも、必要が生じれば殺してしまえる。これは本当に怖いと思うんですけれどもね。歩くロシアンルーレットのようなもので、運が良ければ関係を築く猶予が得られて殺されないで済むし、場合によっては気に入られて何十人殺してでもお前を守る、というような状態にもなるのだけれども、運が悪ければ特に理由もなく殺されてしまう可能性もある。ほとんど天災のような男です。

    久保田が魅力的なキャラクターであることには同意するのだけれども、やはり中学時代の友人たちのように、あまりキャアキャア言ってありがたがるようなキャラクターには思えないというか、魅力的だけれど怖いよね……善とか悪とか言わないあたりは作中で最も動物的だと思うのに生きている実感がないとか言うのも、案外 動物というのも生きている実感なく生きているのではないのか、気づいたら人生が転がって気づいたら死んでいるのではないかと思うよね……

    まあ怖いけれども久保田は確かに魅力的な男で、そして本作もおもしろい。1巻だけでも充分に読みごたえがある。そういうわけで足かけ15年くらいでようやく、この作品に対してまともに感想を書くことができたような気もするのだけれども、おもしろい作品を紹介してくれてありがとう、当時の友人たちよ。

  • 序章、って感じ?
    小宮さん可愛かった…。切ない。

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