邪魅の雫(3)【電子百鬼夜行】 (講談社文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • これが今回のテーマというか味噌なんだろうけど、誰かが誰かになりすましていて、キャラクターがみんなそれに振り回されている。そしてそのキャラクターたちがみんなそこそこ賢いので、みんなそれっぽい想像や推理をして語っていく。が、当然それが正しいケースは少ないので、そういうのはあんまり読まなくていいんじゃないかなと思ってついついななめ読みになってしまうのだった。青木くんのセリフは結構そういう扱いになりがちで申し訳無さがある。

    そして文庫本の一巻と、二巻の半分くらいまではそういう展開が続きに続くのでもうわけがわからない。一巻を読み終わった後、あまりにわかっていなかったのでざっと読み直してそれぞれのキャラクターの動きをまとめる羽目になった。特に江藤!お前だよ!行動原理がよくわからんのになぜかキーアイテムを持ってたりしやがってからに。

    それにしても大鷹!出てくる度にイライラする!明らかに操られているわけだが、本当に扱いきれているのか?と思ってたら事態がどんどん大鷹的に不穏な感じになってきてとうとう殺されてしまう…!
    と思いきや実は別人… だったけどやっぱり死んでた、というなぜか一回フェイントをかましてからだった。最後までバカのまま死んでしまった。哀れではあるし、過去作からの続投人物が死ぬのは結構珍しいので、案外死なないのかと思ってたが現実は非情である。

    しかし、毎章の始まりが「殺されてしまいました」な感じで始まって、読者も麻痺してくる。あー、また死んだのねはいはい、ってなる。うーむ、常識を壊されていく。
    ただ、今作は結構主要に動いている人たちがしっかり死んでいくのがこれまでとちょっと違ったかもしれない。ただ、死んでない人も含め、赤木以外はおかしい人ばかりだったな… とはいえ全員が別に人を殺したくて仕方がない人たちというわけではもちろんなく、それまでは普通に生きていた。ただ、過去作で京極堂が言ってた気がする、逢魔が刻が訪れた、というかあの雫のせいで逢魔が刻の方からやってきた感じ。

    でもなー、これまでと違って全ての諸悪の根源と言える人物がこれほどの殺人を全然意図しておらず(ちょっとはしていたところもあるのが困るわけだが)、むしろ大鷹には困らされていたというのがわかるのがちょっと笑ってしまうというか、悲しい。
    ってか、全部澤井がクソすぎたせいじゃねえか!最初は完全に不幸にも殺されてしまった無害なサラリーマンという雰囲気を醸し出していたのに。いろんな人が自分は邪悪なのではないかと悩んでいたのに、おそらく一度もそんなことを悩んだこともなさそう、というかほぼ唯一本編でモノローグがなかった澤井が一番邪悪で、全ての原因だったというのがなんかこう、切ないなぁ。

    今作、読んだことがないと思っていたが、なぜかエンディング部分だけ既視感があった。

  • 陰摩羅鬼もそうでしたが、すごい切ない。
    まぁ、神こと榎さんの心中を慮るのは不敬なんでしょうけど彼こそ被害者な感じあるよね。

  • 取り敢えず京極堂シリーズの長編既刊本再読終了。
    一旦京極夏彦祭りも終了。
    いつも以上に哀しい結末が待っていたようです。
    なんだかんだ言って京極堂は友達思いですな。。。

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著者プロフィール

1963年、北海道生まれ。小説家、意匠家。94年、『姑獲鳥の夏』でデビュー。96年『魍魎の匣』で日本推理作家協会賞、97年『嗤う伊右衛門』で泉鏡花文学賞、2003年『覘き小平次』で山本周五郎賞、04年『後巷説百物語』で直木賞、11年『西巷説百物語』で柴田錬三郎賞、22年『遠巷説百物語』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『死ねばいいのに』『数えずの井戸』『オジいサン』『ヒトごろし』『書楼弔堂 破暁』『遠野物語Remix』『虚実妖怪百物語 序/破/急』 ほか多数。

「2023年 『遠巷説百物語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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