新装版 ムーミンパパの思い出 (講談社文庫) [Kindle]

制作 : トーベ・ヤンソン 
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感想・レビュー・書評

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  • ムーミンパパの若い頃が語られる。管理が厳しい孤児院を出て旅に出た。管理への反感は共感する。

  • 誰でも最初から今の状態ではなく、誰にでも必ず今に至る冒険譚があるものと心得てはいましたが、それにしても、ムーミンパパにこんな思い出があろうとは想像もしませんでした。読後、これを映像にしたらインディジョーンズになるのではないか、と思うくらいの活劇、スピード感、運命的な出会いと別れ、実に楽しい読書の時間を過ごしました。
    スニフ、リトルミー、スナフキン、親類しらべではないといいながら、彼らにつながる人物の面白さ、衝撃的で謎いっぱいのムーミンママとの出会い。
    こんな経験が相次ぐと、そうか、みんなご存知のムーミンパパとなりムーミン一家となるんだなあと納得。
    もっともっと物語が広がっていきそう。今後、広がっていくことはないのだろうか、と望んでいる読後の自分がいました。

  • ムーミンパパが自分の思い出を小説にして、それをムーミン、スニフ、スナフキンに読んで聞かせるというもの。ムーミンパパの意外な出生の秘密に驚きました。「思い出」の部分は時間的には「小さなトロールと大きな洪水」よりも前の話ですかね。
    ムーミンパパがスニフの父やスナフキンの父と一緒に冒険の旅をする話が中心で最後はムーミンママとの出会いも書かれています。
    スナフキンがリトルミ―の父親違いの弟ということは知っていましたが、ミムラ夫人がヨクサルと知り合ったよりも後に、ミーが生まれていることに驚きました。するとミーは・・・そこは深く考えてはいけないのですかね(^^;)。
    ミーが生まれるのは、物語の終盤ですが、いきなりの悪戯や、セリフには存在感があります。

  • まだ何者でもない若者が可能性を信じて無闇やたらに進んでゆく姿は、側からみると危うく滑稽に見えたりする。でも、その過程でしっかりと仲間を見つけ、学び、本当の意味で自分自身となって行くのだなと、改めて思った。

    小さかったムーミンパパが自分を天才だと信じ、もしかしたら王様の子供かもしれないなどと豊かに空想しているのも、未熟さの表れというよりはむしろ子供の特権なのではないか。それは帆が受ける風のような、前へと進むための力なのだ。

    万能感に満ちて空想したり、出会う世界に大興奮したり、落ち込んだり、友達を敬愛したり、精神的な危機をむかえて一人で淡々と乗り越えてゆく姿がいちいちとても素直で、親近感が持てた。年を取った自分には、どれも身に覚えのある出来事だった。

    ファンタジックな展開が続くけれど、決して子供だましではない、大人にとっても意味の深い物語だった。

  • * パパの衝撃的な出生秘話…まさかの孤児だったとは。
    * 勝手に一人旅に出て開放感に高揚するパパ。
    * パパが昔話をしてくれるという物語ですが、現実でも最後にちょっとしたサプライズがありますよ。
    * ママとの出会いはちょっと意味不明でした。
    * 設定がところどころ不明です。ロッドユールの親たちは大掃除中に失踪とか。
    * 今回はスナフキンに代わってヨクサルの名言が多数飛び出します。笑いもたくさんあって面白い作品でした。

  • 「ミイがスナフキンのお姉ちゃん」と言われ、全く覚えていなかったのでこの本だけ再読してみました。お話はみなし子だったムーミンパパが孤児院を抜け出し、大冒険の末ムーミンママと出会うまでの「思い出の記」を書き、子供たちに読み聞かせることで進みます。実は他のムーミンの本はそれほど好きじゃありません。アニメみたいに優しい日々や優しい関係ばかりではないからです。でもこれはスニフとスナフキンの父親にあたるロッドユールやヨクサルとも旅を共にし、出会う人々とのやり取りも素敵な素晴らしいファンタジーでした。つくりも綺麗でエピローグまでとても楽しかったです。リトルミイとスナフキンの関係はちゃーんとわかるように出ていました。/友人によると日本向けのアニメになったスナフキンは煙草を吸う関係で大人設定になっているそうです。原作者の国では合法だそうですが日本で子供に煙草を吸わせるわけにはいかなかったのでしょう。ストーリー上で話を聞いているムーミントロール、スナフキン、スニフは本当にほんの子供なのでイメージは変わるかもしれません。

  • ムーミンパパの孤児であった幼少時代から、ムーミンママとの出会いまで。
    なんか夢想家のパパを上手く誘導するムーミンママの手腕がイイ。

  • ムーミンパパの知られざる過去。
    親って子どもにとっていちばん付き合いの長い人間なのに、子どもは意外とその半生を知らないですよね(って、人によるのかな)。
    断片的なエピソードは聞いたことがあっても、さあ聞けと人生物語を語ってくれたり、さあ話してとせがんだりする機会はなかなかない。なんだか大袈裟な感じもして照れくさいし。
    親は昔から変わらず親だったような気がしてしまう。
    ムーミンパパ然り、サザエさん然り、みさえとヒロシ然り。

    ムーミンパパはあるとき、自分にとって大切なある置物が、どんな由来でどうして大切なのかを家族の誰も知らないのだということに気付いて、思い出の記を著して子どもたちに読んでやることを決意します。
    捨て子だった悲しい過去、自由を求めて施設を飛び出した夜、友人たちとの出会い、海のオーケストラ号での大冒険、ムーミンママとの出会いなど。
    スニフやスナフキンの両親も登場するので、聴衆である彼らも大喜び。ムーミンパパよりも自分たちの父親の活躍を聞きたがる様子も楽しい。
    パパの思い出の記は、パパの気持ちに関する記述はけっこううまくて、寂しい子ども時代のことや、自由を勝ち得たときの晴れやかさや、親友を得た幸福や、冒険を求める心など、びんびん伝わってくるのだけれど、何が起こったのかについてはわりととりとめなくて、いまいちわからなかったりする。実際に世界観がナンセンスなせいなのか、私の読解力のなさのせいなのか、パパの筆癖なのか、翻訳の問題なのか、謎です。

  • ムーミンパパの語る思い出話はなぜか現在と不思議な形でリンクしている。過去の話なのに、今でもあるような。永遠を生きる、物語の中の登場人物たちには、時間の順序は意味がないのだろうか。

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著者プロフィール

翻訳家。1906年、東京生まれ。東京女子高等師範学校附属高等女学校専攻科卒。公使館付武官の夫の赴任にともない、ラトビア、スウェーデンに長期滞在する。戦後はスウェーデン文化普及に努め、1981年、スウェーデン国王から勲一等北極星女性勲章を受章。翻訳は他に『ムーミンパパ海へいく』『エーミールと60ぴきのざりがに』(共に講談社刊)など、著書に『バルト海のほとりにて』(共同通信社刊)がある。

「2020年 『ムーミン全集[新版]7 ムーミンパパ海へいく』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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