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感想・レビュー・書評
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ムーミンの物語の中では異色。登場メンバーが少ない。ムーミン谷から離れるということが、こんなに異色の物語になるのかな、と思った。しかし、ムーミン谷の彗星の物語は確かにムーミンの物語だったと思う。長い旅に出ていたけれど。
読み取ることの多い物語だったと思う。寓意にあふれていると言えるのだろう。
それはそれとして、ムーミンパパが「~~だぜ」という口調で話すのは、異色をを通り越して違和感を感じるものだった。そう思い始めると、登場人物の口調がどうもしっくりこない。リトルミイだけがいつもの安定感。あとは話をしないモランが安定感があった。
この物語は、日を置かずに繰り返して読むときっと面白さがじわじわと沁みてくるのではないだろうか。
ムーミンパパは思春期の少年のようで、いつもなら見守ってくれるムーミンママはなんだか上滑りしてしまっているし、登場人物の愛すべきところが、この物語では裏目に出ているような気がする。読者として何を心配してよいのかわからないし、そんなことをするべきではないのかもしれないが、なんだか心配になる。結末に向けて安堵する感覚もあったが、最後の行を読み終えたときにはなんとなく心配が残った。
ムーミン谷がやはり恋しく感じられる一冊となった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ママがいつもと違う雰囲気だった。ママが安定感を持つ存在のムーミンシリーズの中で、この本だけ別世界に逃げたり日常に固執しなくなったりしていてなんとなく危うかった。
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読み始めてすぐに、ああ、ミドルエイジクライシス、と思った。パパが求める自己実現のために、孤島に移り住む一家。ママはムーミン谷を懐かしく思うあまり、壁に絵を描き始める。そして、自分たちのことで精一杯の両親から見えないところで、モランやうみうまと交流し、少しだけおとなになるムーミン。ずけずけと本音を炸裂させることで、現実の生活をひっぱっていくミー。一見、登場人物がみんなてんでんバラバラに動いているようだけれど、それぞれのかかえている課題はよくわかるし、突飛な行動も納得はできる。でもいかんせん不穏。
これは児童文学じゃないやい、と思ったけれど、子どものころから大好きだったという人もいるし、やっぱりムーミンシリーズにはかんたんにレッテルを貼れない深さがあるとあらためて思った。わたしは子どものころ、この暗さと不穏さについていけず、『ムーミン谷の彗星』の途中で脱落しちゃったんだけど、もう一度読んでみようかな。 -
ムーミン一家が家を出てある島へ行く話。パパは無茶するし、ママは島になじめなくて元気がないし、ムーミントロールは色々事件に巻き込まれるけど、ミィはいつもどおり(笑)。心理描写が多いようなムーミンなので、いつものとは雰囲気が違くて読んでると戸惑います。
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翻訳が悪ければ、どんなおもしろい原書もつまらない本に変わってしまうということを、いやというほど思い知らせてくれた一冊。どうしてこんな翻訳者にやらせたの?!