元素周期表で世界はすべて読み解ける~宇宙、地球、人体の成り立ち~ (光文社新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 周期表というと、学生時代にふれたっきり、もう順番もほとんど忘れてしまったけれど、当時からこの本を読むまでは、ただの元素の一覧表でしょうと思っていた。

    「周期表の本質は、科学が到達した曼荼羅である。」
    本書のフレーズとして、印象に残っているのだけれど、タイトルの「世界はすべて読み解ける」というのは、さすがにありがちな、ちょっとだけ誇大広告だとしても、周期表には、本来複雑な元素の関係性が、その位置関係からわかるようにできているとわかり、なかなかおもしろかった。

    普段あまり関係ないと思える人体と宇宙の関係性についても、人体を構成する元素の比率と宇宙や地球上に存在する元素の比率はよく似ていたり、
    人体は手近な元素をうまく使っていたり、一方で、だからこそ、周期表で同じ縦列に位置する、似た性質をもつ元素を間違って、取り込んでしまって毒になったり、
    元素に対する色んなことが周期表を通して見えてくることが、本書では、わかりやすく、面白く書かれていた。

    学生の時に読んでいたら、高校の理科は化学を選択したかもしれない。

  • 周期表は語呂合わせなどして、機械的に覚えただけだったが、深い意味があることに気づけた。放射線被爆の仕組みや、医学との結びつきなども興味深かった。

  • ちょっと、タイトル倒れぎみだが、そこそこ読める
    ☆遷移金属は横に性質が似ている。最外殻の電子数が一緒で、その内側の電子数が異なるため

  • 周期表がなんであのようなチャートになっているのか、高校時代の化学で教えてくれていれば、もっと化学が好きになっていたに違いない。でも30年以上も前だと、先生も詳しいことはよくわかっていなかったのかもしれれない。

  • とても面白かった。周期表への取っ掛かりにちょうどいい。
    本屋で量子化学という言葉を見かけたことがあってなんだろうと思っていたが、よもやここで出てくるとは。曰く、「電子の軌道を理論的に計算することにより、実験に頼ることなく化学反応の本質を解き明かす学問」。実験観測ではなく理論か。私好み。
    また、周期表について筆者はこう表現する。
    「周期表とは、量子化学の結論を、数式に頼らず表すものである。」

    電子配置については本書だけでは把握できなかったので、今後勉強していきたいと思った。

    人体の構成元素は、宇宙に存在する元素の構成比に準じているとのことだったが、ということは、地球外生命体もその構成元素は地球の生物と大きく変わらないことになるのではないだろうか。SFでよくあるような金属や鉱物で構成された生物というのは進化し得ないのではなかろうか。

  • 大学受験で文系に行ってしまった自分だが、教科としての「化学」にはそんなに拒否感を抱いたことはない。
    ただし、化学の何が面白いのかはまったくピンとこないままで終わった。
    化学といえば、やっぱり化学実験の印象が強く、色が変わったり泡や煙が発生したりして、これはこういう化学反応なんですよ、と化学式で説明されると、それはそれで解るのだが、なんだか現象を元に理論を説明するという帰納的なアプローチが個人的にはしっくりこなくて。
    まず体系的な理論があって、その理論によって、身近なものも含めて様々な現象を説明する、という演繹的なアプローチの方が全体感が見えて安心(感心)するのだが。

    この本は「宇宙、地球、人体の成り立ち」まで「世界はすべて読み解ける」と銘打っているので、自分が求めているアプローチに応えてくれるのではとの期待をもって読んでみた。
    が、結局は断片的な事例を元に遠大な世界を導こうとする帰納法に終始した印象で、ちょっと期待はずれ。
    まあ新書版の入門書ということを考えれば、無理もないのだが。

    著者(元NHKのアナウンサーで医師、タレント活動もしてるらしい。知らんけど)によれば、「周期表とは、量子化学の結論を、数式に頼らず表すもの」とのこと。
    面白い、と思えるまで深く理解するには、量子化学についてある程度見識を持たなければいかんのだろう。
    少なくとも、この本の【発展コラム】で解説されている「電子の軌道を決める4つの原則」くらいは腹に落とさないと。
    あと、文中にも何度か出てくる「エネルギーが安定」とか「原子核が不安定」とかいう「安定」という概念がよくわからん。

    ただ、興味深く読んだ部分もいくつもあって、たとえばナトリウムとカリウムは、いずれも周期表上で一番左の縦列(アルカリ金属)にある元素で性質が似ている。
    人体はその類似性を活かして、筋肉や神経の働きにナトリウムとカリウムを利用している。
    また、同じアルカリ金属に属するセシウムをカリウムと間違って体内に取り込み内部被曝を引き起こしやすい。
    …なんて話を読むと、なるほどと思わされるし、興味も惹かれる。
    こうやって理屈から入ってくれると化学の面白さもわかりそうな気がするのだが、難解でない説明で理屈の全体感を教えてくれるような本がどこかに無いだろうか。

  •  著者は大学院で量子化学を専攻して卒業後にNHKのアナウンサーになり、それから医学部に入って開業医になったという経歴の持ち主。その病院も「受験生専門外来」という、これまた聞いたことのない独特なものらしい。相当な変人だろう(いい意味で)。

     本書の内容はタイトルのままで、元素周期表をベースに様々な事象を説明していく。私自身は大学で金属材料学を専攻して鉄鋼メーカーで働く技術者なので元素の話は馴染み深いが、この本では人間の体における各種元素の働きもかなりのページを割いており、これは新鮮でとても面白かった。

     語り口も良く、理系にも文系にも大人にも子供にも楽しめる良書だと思う。おすすめしたい。

  • 周期表というシステムの礎を作ったメンデレーエフの凄さを痛感した本でした。システムを作るだけでなく、そのシステムを補完する元素を予想する、見事としか言いようがありません。

    弁理士の受験生だった頃、知財四法をA4一枚くらいで俯瞰できる表みたいな物が作れないか考えました。四法対照法がうまくまとまっていると思いましたが、やはり四法全てを掲載しているだけに、一目で分かる物ではないと思います。

    そんなことを考えて続けている内に、自然と自分の頭の中で四法がまとまってしまい、結局途中でやめてしまいました。

    変に見える形でまとめるよりも、自分で理解できるレベルまでまとめようとする思考の過程が大事、ということだと思います。

  • 内部被曝のしくみについてはわかりやすかった。

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著者プロフィール

医学博士・心療内科医師。本郷赤門前クリニック院長。新宿ストレスクリニック顧問。1964年生まれ。灘高校、東京大学卒業。東京大学大学院医学博士課程を修了。現在、脳科学とメンタル医学を活用した診療に携わる一方、TV・ラジオ・雑誌・WEBなどメディアに多数出演中。

「2019年 『「ついつい先送りしてしまう」がなくなる本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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