人間における勝負の研究 (祥伝社黄金文庫) [Kindle]

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  • いわゆる「米長哲学」と呼ばれている、棋界で最も尊ばれ、すべての棋士たちがその精神的主柱としている矜持、「相手にとって重要で、自分にとってはそうではない対局こそ、全力を持って戦いに挑む」という考え方のテキスト。
    この考えがあるからこそ、人生がかかった勝負に八百長や手抜きなど入る隙間のないまさに真剣勝負のみが繰り広げられる将棋界が維持できているのだろう。

    まさに米長邦雄永世棋聖という稀代の「勝負師」の生き方のエッセンスが余すことなく書かれているバイブルである。名著。

  • 勝負に決定的に重要なことは限られた時間の中で適切な解に辿り着きそれを実行できることで、そこでは勘が物を言う。それを踏まえて、戦う際は相手の時間を奪うよう心がけること、日頃から即断の経験を積むこと、勝負には常に全力を出すこと、勘を鍛えるためにはその事物について集中して考え続けること、勘が鈍ったと感じたら遊びにも打ち込んでみることなどが説かれている。家族に対する姿勢など必ずしも賛同できかねることもあるが、勝負することについては金言が多く誰もが一度は目を通したほうがよいと思えた。

  • 将棋の棋士からみた勝負にまつわる考え方。真剣に取り組むこと。自分にとって消化試合でも相手にとって大事な試合であれば全力で勝負する。局所的には楽できそう得しそうで判断しない。苦しいときうまくいかないときにどれだけ我慢できるかが肝要。私心を去る。大局的に貸しを作るように取り組む。※給料の安さは会社への貸し⇒貸しはいずれ返ってくる。それは自分自身でなくても。⇒分不相応な報酬は借り⇒これまた借りはどこかで返すことになる。いろいろある人生の出来事をどうとらえるか。バランスをとるために削っていくのではなく加えていくというのが面白い。

  • 昭和の時代に名棋士の故・米長氏によって書かれた一冊。

    今読むと古さを感じる箇所もあるものの、運や勝負について米長氏なりの明快な考えがあり、納得させられるだけのものがあった。

  • ・急がば自分で考えろ
    本当に強くなりたいなら、独立心、孤独に耐えられる力が必要。
    最終的に頼れるのは自分自身のチカラだけなんだ、と分かっていないと、本当の成長はできない。

  • 将棋指しの著書は数年ぶり、羽生さん本以来。 『読み』と『大局観』に対する考え方は共通する凄みがある。 “人生での貸しを率先して作る。” “確率、勢い、運。じっと我慢するのもまた勢い。” “相手が必死な一番こそ大事に。” 真剣と反動のバランス。遊びとは仕事の影である。” 迷える不惑のいま、響く言葉多し。

  • 勝負に挑む心構え、全ては自分の責任。環境に振り回されない自分の作り方。自分らしく生きる上でのヒントがたくさん示されている。

  • 以下、印象に残った点

    男らしく生きる指針として、相手に貸しを作る生き方。貸方に回る。

    将棋というのは必ずどこかで泥仕合になり、泥仕合になったら本当の力と力の勝負になる。力の勝負になれば順当に強い人が勝つ。

    遊びは仕事の影。

  • どちらかと言うと昭和的、男性中心な視点が強く、現在の価値観とはそぐわない面も散見される(特に後半)ものの、将棋を媒介にして考え、学び取ったことが上手くまとめられている。

    個々の人間の思考・行動からボトムアップして結論を出す手法を採っている点が、羽生が一般書でよく用いる社会一般の事象から演繹するようなトップダウン手法とは対照的で両者の個性が表れているように感じた。

    生前から毀誉褒貶の激しかった米長前会長だが、棋士の、特に谷川・羽生世代以前の昭和棋士の思考を鑑みる上でも重要な一冊。

  • 共感すること、目から鱗のところなどがたくさんあり、とても楽しくよんでいたのですが、中盤以降の女性観や夫婦観が描かれだすと不快に感じました。
    そういう時代だったというよりも、米長さんが女性を読者の対象としてなかったように思います。案外先見性がなかったんだなと、僭越ながら思ってしまいました。
    ただ、将棋、勝負、人生に対する考え方は素晴らしく、とても参考になりました。

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著者プロフィール

昭和18年6月10日、山梨県増穂町の生まれ。 31年、6級で(故)佐瀬勇次名誉九段門。 38年4月四段。54年4月九段。平成10年5月永世棋聖に就位。15年12月引退。 15年、紫綬褒章受章。17年から日本将棋連盟会長を務める。24年12月18日、現役会長のまま死去。享年69歳。25年、旭日小綬章を受章。 タイトル戦登場は48回、獲得は名人1、十段2、王位1、棋王5、王将3、棋聖7の合計19期。 生涯成績は1103勝800敗1持将棋。

「2015年 『ネット将棋で勝つ米長の奇襲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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