想像ラジオ [Kindle]

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  • 河出書房新社 (2013年3月27日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (112ページ)

想像ラジオの感想・レビュー・書評

  •  「患者さんに寄り添う」みたいな言葉が今よりももっともっとうすらさむく感じられていた看護学生の頃、それでも学生だからしかたなく、一世一代の前立腺癌摘出術に臨んだ受け持ち患者さんに、麻酔がかかるその瞬間まで付き添い、さらにその後の手術まで見学させてもらったことがありました。
     麻酔がかかって人が意識を失っていく様を初めて目の当たりにし、そして前立腺の手術は出血が多いという事前学習どおりの出血量まで目の当たりにし、なんだか目の前が真っ暗になって二度も手術室から出ていき、「もうもどってこなくていいよ」という医者さまの言葉にもめげずに手術室にもどってどうにか最後まで見届け、さらには麻酔から覚めるときのうわごとまで目撃した自分の衝撃にくらべて、そんな私のその患者さんに対する存在感のなんとちっぽけなことよ、とあまりのちっぽけさに大した落胆もなく学校にもどり、淡々と実習を続けていたある日に担当教員から聞いたことには、麻酔がかかるその瞬間まで知った人がそばにいてくれたことがとても心強かった、とその患者さまがおっしゃっているそうなのでした。

     知らなければならないことを知らないままではいたくない、というのはどこかで身につけてきたようですが、知っているだけでちがうかもしれないことを何もできないなら知ってもしようがない、と思い込む特技もどこかで身につけてきてしまったようです。
     でも、死にいたるまでのいろいろを知ることで、「死ぬ」という現実の色を変えることができるということも、学生ではなくなったその後の日々で感じてきたはずなのです。
     そしてそれは、「二万人が死んだ一つの事件ではなく、一人が死んだ事件が二万件あったということ」というビートたけしさんのお言葉のようにあの大震災を見るときにも、ほんとうは感じるべきだったのです。

     。。。ということを私は「想像ラジオ」を読みながらいやいや認めさせられましたが、この小説を「よかった」と勧めてくれたのが茨城県に住む私の親友だったということにもまた、いやいや認めさせられるいろいろがある気がしています。

  • よくわかったのは、私の中でいまだに3月11日から時間が止まっている、というか、自分で止めている部分があるという事でした。実際にあの災害を体験したわけでもないのに。せいぜい遠く離れた東京でちょっと大きな揺れに恐怖して、埼玉の避難所でボランティアに参加して善い事したつもりになって、親戚のある大船渡で見た景色に打ちのめされた程度。それなのに、引き摺っている。物語はとても好みで感動もしたけど、同時に震災をダシに商売するなんて。という怒りもあり複雑な心境です。私が読むには、まだ少し時期が早かったかもしれません。

  • 語り口調が苦手だがトーンはキライじゃない。想像することで生き続けるものがある。

  • 芥川賞にノミネートされたときからずっと読みたかった本。

    正直、とっても苦手なタイプの本でした。
    リズムが私には合わずに、ずっと一人語りが続いていく。
    その中の「ひとり突っ込み」みたいなところも読んでいてつらいくらいだった。

    でも日本人であるからには。
    読まずにはいられない、あのときを思い出さずにはいられない。
    そして忘れずにはいられない本になってしまうんだろうな。

    この小説はずるい。

  • 東日本大震災について、改めて考えさせられる本。亡くなったDJが想像力の電波に乗せて語りかけていくという独特な切り口が斬新。賛否わかれるだろうが、空気感がひしひしと伝わってくる本だった。
    筆者は、「亡くなった人の声に時間をかけて耳を傾けて悲しんで悼んで、同時に少しずつ前に歩くんじゃないのか。死者と共に。」(抜粋)という事が一番伝えたかったんじゃないかな。

  • 「想像する」ということを改めて考えさせられた。
    「想像」というとファンタジー、夢物語、たのしいこと というような
    イメージしかなかったけれど
    「想像」が、死者との「会話」になるという発想が斬新だった。

    そして、改めて
    東日本大震災について考えさせられた。
    やっぱり、私はどこか、他人事のように考えているところがある。
    想像力が必要なのかも。

    想像ラジオの特設サイトをみて、
    いとうせいこうが、書く事に対して想い悩み、
    鬱っぽくなっていたことを知った。

    物事に真摯になるほど、何が正しいか分からなくなるんだな。

  • 震災忘れない。

  • 生きてる人からの死んだ人。
    死んだ人からの生きてる人。
    相互に関わるというのは、面白い視点。

  • Kindleで購入。単行本と悩んだけれどこちらのKindleのほうが向いてる気がした。これは本当に久しぶりに当たった本。くり返し読み返す。

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