ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [DVD]

監督 : アン・リー 
出演 : スラージ・シャルマ  イルファン・カーン  アディル・フセイン  タブー  レイフ・スポール  ジェラール・ドパルデュー 
  • 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
3.69
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本棚登録 : 713
感想 : 156
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988142952127

感想・レビュー・書評

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  • 「じゃあ物語はハッピーエンド?」
    「それは──君次第だな。もう君の物語だ。」

    船が難破して、一人の青年と一頭のベンガルトラとが一隻のボートで漂流するお話。
    成長した青年が後年それを作家に語るという形の映画です。

    以前CMかなにかで見たときにはトラと仲良く漂流するほのぼのファンタジーかと思っていたけど、食うや食われるやの関係だった…。

    とにかく美麗映像が素晴らしく、海の美しさ雄大さを夢のように描く映画でした。
    夜光虫で光り輝く海と、海底から上がってくる巨大なクジラのシーンはまさに白眉。
    ジンベイザメがボートの下を優雅に通り過ぎるのも素敵。

    突然ガリバー旅行記のようになった人食い島のくだりは、ラストに向けて視聴者に準備をさせようとしたのかな。

    虎のグラフィックレベルに比べて背景が浮きがちだなとは思っていたんですよ。ラストは思わず「ほほ~」と声が出てしまいました。

    備忘のため、映画公式サイトのトラの名(リチャード・パーカー)の由来を置いておきます。http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/synchronicity.html

  • ☆パイとリチャード・パーカーともう一つのストーリー☆

    動物がいっぱ~い出てくる、生きもの伝説の
    「ダーウィンが来た!」みたいで楽しい。

    そして神秘的な宇宙を思わせる夜の海と謎の浮き島が
    ファンタスティックだったなぁ~♪

    あたしは無宗教なので宗教のことは語れないが、
    過酷な状況で生きぬくということは、
    きれいごとでは済まされないという事実のみ分かる。

    この作品はとことん深読みしてもいいし
    単純にトラとのサバイバルファンタジーとしてもいいと思う。

    好きなシーンはトラのリチャード・パーカー君と少年パイが、
    マグロを取り合うシーンが面白かったな、
    トビウオがボートに入れ食い状態なのに目もくれず、
    一匹のマグロを巡ってそれは俺のだ!と争奪戦するのが可笑しかった。

    実は残酷なお伽話

  • 素晴らしい映画です。ユージュアルサスペクツっぽいどんでん返し。超どんでん返しで衝撃を受けます。
    ある日小説家ヤン・マーテルがカナダ在住インド人パイ・パテルのもとを訪れます。彼の青年期の冒険の話を聞くために。

    そしてパイ・パテルの語る幼少時代から青年時代のお話が物語の本筋。
    主人公の青年パイは、、、、アーヤンではないですか。
    アーヤン、、、ホームランドシーズン4でキャリーにもてあそばれ、テロリストのおじにあっけなく殺された、、、、アーヤン。

    彼、スラージ・ジャルマはこのパイ役がデビューでその2年後にアーヤンやったらしい。へ~~~~~~。

    話は戻り、青年パイが家族で動物園の動物とともにカナダへ移住するために日本の貨物船に乗り、船が沈没するところから展開します。

    嵐の中、ライフボートに乗り込む際になぜかパイのみが人間として生き残る。
    ライフボートにはシマウマ、バナナに乗ってきたオランウータン(オレンジジュース)ハイエナ、そしてリチャード・パーカーが乗っていた。

    パイの漂流生活が始まります。
    時としてくすっと笑えるシーンを織り交ぜながら、そして何より透き通るような海など、映像がものすごくきれい。
    トラのCGなんて見事です。素晴らしい。

    リチャード・パーカーと心が通じ合えばいいのに、、と祈るような思いで見ます。ものすごい嵐のときのパーカーの表情を見ると涙があふれます。
    途中、花園のような浮島でまた生きる希望を奮い立たせて一人と一匹は船出し、最後にメキシコに漂着。
    パーカーはパイのことを振り返りもせずに目の前の森に入っていった。。。。
    パイは心が通じたと感じたのに違ったんだ。。とショックを受ける。

    と、入院先に保険の調査員がやってきて、
    「そんなおとぎ話でなく、真実を話してくれ。なぜ船は沈没したのか」と。
    ここからどんでん返し。

    実は生き残ったのはパイと、パイのお母さん、そして意地悪なコックと船員。
    船員はボートに移った時に骨折し、コックが足を切らないと死ぬから、と船員の足を切断。その足を魚を釣るための餌にした。
    パイの母が怒ると口論になり、コックは母を殺害、海に死体を投げ捨て、母はサメに食べられる。
    怒り狂ったパイはコックを殺し、そして一人で漂流したと。


    そう、泣きながらパイは調査員に話します。

    こっちの話が真実なんですね。そして、どっちを信じるかは勝手だと。
    リチャード・パーカーが後ろをふりかりもせずに森に入って行ったのは、過去にどんなことがあったにせよ、神様がついているから前を見て生きるんだと。
    そういうことなのかな?

    このお話にはベースとなる事件があって、それは「ミニョネット号事件」といい、1884年イギリスの船「ミニョネット号」が難波し、船員3人と給仕1人が救命ボートで脱出。でも船には食料がほとんど無く、弱った給仕を殺害し食料にしたという事件。この給仕の名前がなんと「リチャード・パーカー」。

    そしてこの事件を予言するような小説が事件から50年近く前に出ています。
    「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」こちらは海を漂流中に食糧が尽きた4人の男が、「生贄」となる一人をくじで決めるという物語。くじの結果生贄となったのはなんと「リチャード・パーカー」という給仕だった。

    寒気するような偶然なお話。
    びっくりですね。
    びっくりですが、哲学的な映画でした。神の存在をものすごく意識して作られています。だからか、パイはヒンズー教とキリスト教とイスラム教を同時信仰しています。
    パイはひどいことを恐ろしいことをしてしまったけどもそのことをパーカーと漂流した話にすることでパイの目線を少し違うところに持っていくことでその後の人生をまっとうに歩むことができた。
    ってことでしょうかね?


    考えさせられる深い作品でした。

  • 嘘くさい物語にまったく入り込めずにいた。不自然で人偽的な主人公のエピソード。名前の由来や、ありがちないじめ設定、家業が動物園という特殊すぎる環境に幼いのに宗教に3つも入信するなんて…。船が遭難して救命ボートに乗り込むのがシマウマ、ハイエナ、オランウータン、それにトラだったという展開になってもう「プーさんかよっ? 100エーカーの森かよっ!?」と、そのバカらしさに観るのを辞めようかと思った。その後もCGに頼りまくったありえない映像美に、矛盾した主人公の行動、細部の齟齬は数知れず(なぜバナナ拾わない? あの狭い船でトラはどこに隠れていた? 動物の死骸はなぜ急になくなる? 船縁を登れないトラをなぜ助けた? etc…)もう興は削がれて行くばかり。ところがっ、最後にして、してやられた。『ユージュアル・サスペクツ』並の大どんでん返し。ミステリーの技法で言えばUnreliableNarratorってヤツ。しかもそれがこの映画全体のテーマとなっていて、「人は自分の見たいようにしか現実を見ることはできない」という事実を突きつける。だから人は現実とは別の物語を求め、宗教に救いを見い出す。さすがジェームズ・キャメロンが絶賛しただけのことはある傑作。僕自身もこのテーマを解釈し咀嚼するにはしばらく時間がかかりそう。それにしても、もう少しミスリード部分も鑑賞に耐えうる仕上がりにもできたろうに。そこがもったいない。☆4.5

  • 素晴らしい映画だった。
    単純に素晴らしい映像、圧倒的な海、そして生き生きとした動物たち。
    もちろんそれら映像以上に、非常に深いメッセージ性を内包したこの映画全体を通して素晴らしかった。

    この物語は最初、虎と少年の友情の物語だと思っていたが、内容は全く違った。
    それこそ映画の初めから伏線は張られているのだが、それは何なのかというと「物語を、フィクションをなぜ人は必要とするのか?」ということである。あるいは「物語が持つ性質」や「物語の役割」みたいなものを、最後のどんでん返しとともに投げかけられる。
    世界は非常に理不尽で、残酷であり、人間には容易に理解できないものである。
    例えば、旧約聖書の『創世記』(岩波文庫)はその当時エルサレムの地で当時、移民や棄民、難民として周辺の国から排除されてきた人びとの話だという見方がある。その『創世記』においてヤハウェの神は非常に理不尽な存在である。すぐに人を殺す、部族を殺す、規定を守らない人びとを簡単に皆殺しにしてしまう。
    このヤハウェの神は、つまりは「理不尽」そのものなのだ。
    とうじ周辺国から排除された人々というのは、まさに理不尽な理由によって排除されたのだから、そうした世界の理不尽さを物語にして納得する必要があったのだと思う。
    世界の理不尽さや不条理をかろうじて理解するために、かろうじて納得するために、そしてそれらを踏まえて生きていくために、「物語」を紡ぎだすのだ。

    この映画で感じたことは「物語の役割」である。それは世界の理不尽さに対する「武器」なのだと思った。
    いかにしてこの世の中のどうしようもない残酷さや理不尽さ。逆に美しさと折り合いをつけるのか。
    その方法の一つが「物語」を紡ぐという行為なのだと思う。

  • 家族と共に船に乗り込んだパイ。
    そこには動物園で飼っていたたくさんの動物たちも乗っていた。
     
    ある日、船が嵐に見舞われる。
    沈没寸前の船からボートに飛び乗り、命からがら脱出したパイだったが……
    そこには一緒に逃げ込んできたトラがいた。
     
    やがてトラは一緒に船に乗り込んだシマウマを食べ、猿を倒し……
     
    途中、カナダに向かっていたはずの船がプレーリードッグだらけのジャングルのある島に漂着。
    正直、こんなところにプレーリードッグがいるわけないよね、とそのときはこの映画にダメ出しを出そうと思ったのですが……
     
    最後のパイの発言を聞いて納得。
    たしかに正直なストーリーを映像にしたら、普通の人には観れたモノじゃなくなるな、と合点がいきました。
     
    美しいCGも見もののこの映画。
    万人におすすめできる内容ではありませんが、『生きる』意味を考えてみたい、なんてシリアスな思いを抱いたときにぜひ観てみてください。

  • 映像の美しさに魅了された。ストーリーうんぬんよりも、映像美。

  • ひたすら映像が美しい、児童文学のような冒険映画。
    漂流を描いた冒険映画というよりもファンタジー映画という印象の方が強い。
    いろいろ比喩で構成されているけれども、素直にファンタジー冒険映画として楽しんだ。
    そういう意味でラスト、トラと友情を育まなかった、という点に最大の賛辞を送りたい。
    でもそれもやっぱり比喩なのかしら?

  • 「トラと漂流」「映像が綺麗」という情報だけで、よくある冒険譚かと軽い気持ちで観たのだけれど、最後思いがけないラストにうならされた。
    ところどころリアルだけど実感のわかない描写や夢のような映像にひっかかってはいたが、最後に語るふたつめの物語にそういうことかー!と。
    弱っているトラや別れのシーンでじんわりいい話だ…とか思って観ていたがそうじゃないんだこの話は! あれもこれもものすごい比喩なんだとわかって目からウロコが落ちた。
    そして観ているひとにゆだねる締めかたが嫌味じゃなくていい。
    自分は観終わったあとのほうがいろいろ考えさせられておもしろかった。

  • だいぶ前に原作を読んでいたので大まかなストーリーは知っていたけれど、映画化でどのようになるか楽しみだった。途中がやや冗長にも感じたが、なかなかに美しい映像作品に仕上がったようにも思えたので、映画化して良かったのではないだろうか。

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