あの頃映画 秋刀魚の味 [DVD]

監督 : 小津安二郎 
出演 : 笠智衆  岩下志麻  佐田啓二  岡田茉莉子  東野英治郎  杉村春子  加東大介  岸田今日子 
  • 松竹
3.69
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感想 : 24
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105066656

感想・レビュー・書評

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  • 小津独特のセリフ回し、執拗なまでに人物を中心に捉える画角、感情を機微しか表現しないミニマリズム。笠智衆がバーで酒飲むシーンが好き。謎のオウム返し多用も。

  • 「秋刀魚の味」笠智衆、岩下志麻他。いいなぁ、こんな父親、という娘視点で観てしまったが、はてさて、こんな父親がやれそうな人って、そりゃあ一応居はするんだろが、周りを見回してもそうそう思いつけない。結婚はいかにも女の夢のように言われるけども、そういう側面もありつつ、女には案外ただの現実である。この作品は「娘の結婚」「理想の父親像」「哀愁漂う男の美学」という男視点のドリームではないか。良かった。

  • TVにて
    上流階級の下辺あたりから醸し出す空気感.父親の立場からのあれこれ,娘の結婚などをさらりとまたしみじみと描いている.この時代にしてはいい父親だ

  • 再度鑑賞する。3回目か4回目。
    何度観ても色褪せずに最高によい。
    平山と瓢箪が最後に重なるわけですね
    娘が残っても寂しいし、嫁入りしても寂しい。
    そして、戦後間もない日本で明確にある経済格差に気づく。
    軍官マーチが流れるAceBARのシーンも素晴らしい。
    何回でも観れる。

  • 週末なので、朝寝坊してたっぷり睡眠を摂ったはずなのですが、、、

    なんだか身体がダルイ感じ… 最近、疲れがとれ難くなった感じがしますね。

    昨日の東京出張に関わる仕事を片付けて、夕方から時間ができたので、LDを出してきて、久しぶりに「小津安二郎」監督作品の映画『秋刀魚の味 /1962』を観ることに… 「小津」作品って、時々、観たくなるんですよねぇ。

    独特の台詞まわしを聞いたり、ローアングルで固定された画面を観ていると、なんだか落ち着きます。

    キャスティングも良くて、「岩下志麻」、「笠智衆」、「佐田啓二」、「岡田茉莉子」、「杉村春子」、「岸田今日子」等々、大好きな昭和の俳優さんが沢山登場しているのもお気に入り… お酒も食事もおいしそうでしたね。

    エンディングで娘が嫁いだあとの寂しそうな「笠智衆」の姿が印象的ですが、、、

    あんまり意味がなさそうな、「岸田今日子」のバーで"軍艦マーチ"が流れ、「笠智衆」と「加東大介」、「岸田今日子」が敬礼するシーンが妙に記憶に残っています。



    『秋刀魚の味』 '62日本

    -----story-------------
    長男の「幸一」夫婦は共稼ぎながら団地に住んで無事に暮しているし、家には娘の「路子」と次男の「和夫」がいて、今のところ「平山」にはこれという不平も不満もない。
    細君と死別して以来、今が一番幸せな時だといえるかもしれない。
    わけても中学時代から仲のよかった「河合」や「堀江」と時折呑む酒の味は文字どおりに天の美禄だった。
    その席でも二十四になる「路子」を嫁にやれと急がされるが、「平山」としてはまだ手放す気になれなかった。
    中学時代の「ヒョータン」こと「佐久間」老先生を迎えてのクラス会の席上、話は老先生の娘「伴子」のことに移っていったが、昔は可愛かったその人が早く母親を亡くしたために今以って独身で、先生の面倒を見ながら場末の中華ソバ屋をやっているという。
    「平山」はその店に行ってみたがまさか「路子」が「伴子」のようになろうとは思えなかったし、それよりも偶然連れていかれた酒場“かおる”のマダムが亡妻に似ていたことの方が心をひかれるのだった。
    馴染の小料理屋へ老先生を誘って呑んだ夜、先生の述懐を聞かされて帰った「平山」は「路子」に結婚の話を切り出した。
    「路子」は父が真剣だとわかると、妙に腹が立ってきた。
    今日まで放っといて急に言いだすなんて勝手すぎる--。
    しかし「和夫」の話だと「路子」は「幸一」の後輩の「三浦」を好きらしい。
    「平山」の相談を受けた「幸一」がそれとなく探ってみると、「三浦」はつい先頃婚約したばかりだという。
    口では強がりを言っていても、「路子」の心がどんなにみじめなものかは「平山」にも「幸一」にもよくわかった。
    秋も深まった日、「路子」は「河合」の細君がすすめる相手のところへ静かに嫁いでいった。
    やっとの思いで重荷をおろしはしたものの「平山」の心は何か寂しかった。
    酒も口に苦く「路子」のいない家はどこかにポッカリ穴があいたように虚しかった。


    -----staff/cast-------------
    監督:小津安二郎
    製作:山内静夫
    脚本:野田高梧
       小津安二郎
    撮影:厚田雄春
    美術:浜田辰雄
    編集:浜村義康
    音楽:斎藤高順
    出演:
     岩下志麻 平山路子
     笠智衆 平山周平
     佐田啓二 平山幸一
     岡田茉莉子 平山秋子
     三上真一郎 平山和夫
     吉田輝雄 三浦豊
     牧紀子 田口房子
     中村伸郎 河合秀三
     三宅邦子 河合のぶ子
     東野英治郎 佐久間清太郎
     杉村春子 佐久間伴子
     加東大介 坂本芳太郎
     北竜二 堀江晋
     環三千世 堀江タマ子
     岸田今日子 「かおる」のマダム
     高橋とよ 「若松」の女将
     浅茅しのぶ 佐々木洋子
     須賀不二男 酔客
     織田政雄 同窓生の渡辺
     菅原通済 同窓生の菅井
     緒方安雄 同窓生の緒方

  • 2022/05/02

  • 小津作品は20歳代ころ、一時期よく観ていた記憶がある。
    『東京物語』なんか3回は観たと思う。
    あの頃は本当に好きで観ていたのだろうが、今考えると小津作品の良さがわかる自分♪てのに酔っていたのかもしれない。
    今回改めて観なおして、なぜこれを良いと思ったのだろうと。

    映画は同じ作品でも、その時々によって見方や感じ方が変わる。
    『秋刀魚の味』は、今の私には合わなかった。
    最初から最後まで、笠智衆演じる平山と、その周りの男たちに嫌悪感しか感じなかった。

    昔の恩師であるひょうたんは、妻を早くに亡くし、娘と二人で細々とラーメン屋で生計を立てている。
    「娘を、つい自分のいい様に使ってしまい、嫁に出すことが出来なかった」
    独り身のまま中年になってしまったひょうたんの娘を杉村春子が演じているが、岩下志麻演じる平山の娘・路子と違って、ギスギスしたいかにもな感じで描いている。
    そして河合のセリフ
    「路子ちゃんがヒョータンの娘みたいになったら、どうするんだ」

    娘とたいして歳の違わない若い後妻をもらった堀江が平山に
    堀江「今度はお前の番だな」
    平山「何が?」
    堀江「若いの。どうだい、若いの」
    河合(堀江に)「おクスリ呑んでか」
    堀江「アア、もらっちゃえ、もらっちゃえ」

    ……下品すぎる。

    私が上品すぎるから、こう感じてしまうのだろうか。
    出てくる男が常に酒を飲んで品のない下ネタ会話を交わしているだけ。
    バーでは軍艦マーチをかけてもらってご機嫌に。
    嫁に行かせられなければ「恥」、家に居るうちは家事全般をやらせ、娘に「自分がいなくなるとお父さんが困る」と思わせ、いざ嫁にやれば寂しいと愚痴り、しまいには
    平山「いやア・・・女の子はつまらん・・・」

    小津はわざとこのように老醜を描いているのだろうが、全く共感できなかった。
    老境のわびしさもしかり。コミカルさも感じなかった。
    ホントごめんなさい、タランティーノ。

  • 1962年,小津安二郎の最後の作品.
    笠智衆と初々しい岩下志麻が親子.
    娘を嫁がせるまでの親の心が,そして親から離れていく娘の心がとてもよく描かれている.
    岩下志麻が嫁ぐ朝に,父にあいさつしようとすると,父は
    「ああわかってる,わかってる.まあしっかりおやり.幸せにな」と答える.父は結婚式にあと相当酔って岸田今日子のやっているバーに行って飲む.そこにかかる軍艦マーチ(笠智衆の役柄は元海軍将校である).以前来たときに元部下に話した「戦争に負けてよかったんじゃないか」という言葉がよみがえる.このシーン,おもわず涙ぐんでしまった.
    サイドエピソードも豊富.息子の中井貴一と同一人物じゃないかと思ってしまうような佐田啓二は岩下志麻の兄役.岡田茉莉子と団地に住む夫婦役を演じている.小さな喧嘩がユーモラスにうつる.岡田茉莉子が一枚上手だな.

    あとは雑談.
    佐田啓二の会社の屋上にはゴルフ練習場があって昼休みにクラブを振る.高度成長期の会社ってこんな感じだったのかな.

    笠智衆の同級生の仲良し3人組,互いの会社にも顔を出すし,夜はしょっちゅう一緒に飲み,昼休みにまでビールを一緒に飲んでる.こんな時代に働いてみたかった気がする.

  • 『東京物語』ほど露骨ではないにせよ、シンメトリーを駆使した場面構成と埋まらない空白による喪失表現は実に見事。欲しいものが買えずにふてくされたり、下ネタで盛り上がったりする男性陣の子供っぽさが可笑しい。度々、映り込む時計が気になる。

  • 長男夫妻の会話など、人物のちょっとした言動がかわいらしいのは他の小津作品同様。退屈しがちな日常の風景を用いて人物を描くにあたって、観客を退屈させない引き出しがとても多彩。
    式の後のシーンは老いがとてもよく表現されている。酔いが回る前から取り残される老人というセリフを用意しておき、酔って繰り言ばかりのしおれた様子を出し、さらにはすでに出てきたバーで先立った妻と軍隊にいた若き頃の2点の追憶という形で老いにつなげていく運びの上手さには感銘しかない。そして最後のシーンににじみ出る情感は何ともいえない余韻を残し、完璧な終わり方。
    タイトルにある秋刀魚が一度も作中の描写にないが、これは娘を嫁にやることと秋刀魚のはらわた、つまり喜ばしいが甘美なだけではない、ほろ苦さを重ねているものと私は思う。

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著者プロフィール

1903年東京深川に生まれる。1923年、松竹キネマ蒲田撮影所に撮影部助手として入社。大久保忠素組の助監督を経て1927年、時代劇『懺悔の刃』で監督デビュー。以来1962年公開の『秋刀魚の味』まで、全54作品でメガホンをとり、サイレント、トーキー、モノクロ、カラーそれぞれのフィルムに匠の技を焼き付けた。1963年腮源性癌腫により死去。1958年紫綬褒章受章、1959年芸術院賞受賞、1962年芸術院会員。作品『生れてはみたけれど』(1931)、『出来ごころ』(1933。以上、松竹蒲田)、『戸田家の兄妹』(1941)、『晩春』(1949、芸術祭文部大臣賞)、『麦秋』(1951、芸術祭文部大臣賞)、『東京物語』(1953、芸術祭文部大臣賞、ロンドン映画祭サザランド賞、アドルフ・ズーカー賞)、『早春』(1956)、『東京暮色』(1957)、『彼岸花』(1958、芸術祭文部大臣賞)、『秋日和』(1960、芸術選奨文部大臣賞。以上、松竹大船)、『宗方姉妹』(新東宝、1950)、『浮草』(大映、1959)、『小早川家の秋』(宝塚作品、1961)ほか。

「2020年 『小津安二郎「東京物語」ほか【新装版】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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