天文台日記 (中公文庫BIBLIO) [Kindle]

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  • 中央公論新社
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感想・レビュー・書評

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  • 山を登る人といい、星を見る人といい、高いところに行きたがる人はどこか詩人の感性を持ち合わせているものらしい。バッハの無伴奏チェロ組曲や、ビル・エバンスや、シャンソンを聴きながら、幽き星の瞬きに目を凝らすというのもなかなか乙だ。1972年の出版だから、およそ半世紀後の現在では天文台での観測方法もデータ解析もまるきり様変わりして、ずっと快適に、ずっと楽になっているのだろうと思いつつ、職人的な技法と忍耐で天空と向き合うというのもそれはそれで楽しいものだったのだろうと思う。
    ぼくだけかも知れないが、寝る前に布団の中で読むと、退屈ではないのにあっという間に眠れるというなかなか貴重が一冊だった。

  • 岡山天体物理観測所での日記。軽やかな文体で非常に心地よく読めて、当時の天文観測におけるたくさんの作業や天候に振り回される様子、そして音楽、小説、料理、国際交流といった文化的な生活の様子が描かれている。
    天文史、天文学で有名な話も沢山掲載されているが、数十年前と現在では表現が異なっていたり、現在では「歴史」の一部である内容が「現在」の出来事として語られているのが面白く、わくわくする。
    この本は天文界隈ではなくて、創作界隈の人がオススメしていて知ったのだけれど、なるほど中身も創作者と相性が良さそうだった。

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著者プロフィール

一九二四年、東京生まれ。東京帝国大学理学部天文学科卒。一九四九年東京大学助手、一九六四年助教授、一九八四年教授を歴任し、同年四月退官。この間、三鷹天文台に一年、麻布狸穴の天文学教室に九年、岡山天体物理観測所に二四年を過す。一九八六年東洋大学教授に就任。一九九二年没。著書に『星の歳時記』『天文屋渡世』など。

「2019年 『星の文人 野尻抱影伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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