東京家族 DVD

監督 : 山田洋次 
出演 : 橋爪功  吉行和子  西村雅彦  夏川結衣  中嶋朋子  林家正蔵  妻夫木聡  蒼井優 
  • 松竹 (2013年7月5日発売)
3.63
  • (42)
  • (141)
  • (121)
  • (15)
  • (3)
本棚登録 : 616
感想 : 133
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988105066601

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 006

    山田洋次監督が小津安二郎監督のオマージュとして作った映画として、ネットではかなり賛否両論分かれているイメージだけれども、小津安二郎の全盛期を知らない私のような無知の人間に、小津映画の魅力を伝えるという意味では、非常に優れた映画だと感じる。


    現代映画を見慣れたものとしては、やはり独特の台詞回しは不自然に感じられたが、私には返ってその風情のある話し口が非常に魅力的に聞こえた。また、その中で妻夫木さんの台詞だけ妙に現代風で、本人の高い演技力も相まって、パラレルワールドのような世界観を感じられた。


    ストーリーは単純明快なものだ。しかし、ところどころに老人の視点からみた現代社会の批判が、純粋な祖父母の困惑というかたちで表れ、胸が痛くなる場面も多々ある。


    それに加えて、両親の「息子を想う気持ち」がストレートに表れる場面は観るものの涙を誘い、50年前も今もそういう根本的な価値観は変わらないのだなと考えさせられる。


    一昔前の「家族の理想」「人間の理想」がよく表れている、非常に魅力的な映画であった。

  • カメラワークとかもろに小津映画へのオマージュですが、描かれているのは今の家族。
    台詞回しが古い感じにしてあるので、舞台は現代でももっと昔のことのように一瞬思うけれど、上京しても子供たちは忙しくて居場所がない感じとか、葬式後ふっとドライになるところとか、ほんとリアル。
    俳優さんたちの演技が素晴らしくて、なんてことはない台詞で凄く泣けてきました。
    病院の屋上のシーンとか、東京へは二度と行かないと口にするシーンとか。
    でも、一番好きなのは吉行和子と妻夫木くんがコイバナする場面。
    「東京物語」では戦死した次男がこちらでは今時の優しい若者として登場していて、このアレンジが素晴らしいなと思いました。

    鬱陶しくなることもあるけれど、家族を大切にしたくなる映画でした。

  • 現代版「東京物語」。さすが山田洋次監督作品。

  • 先日、民放で放映していた『東京家族 /2012』を観ました。
    大好きな「小津安二郎」監督の『東京物語』をモチーフにしているということで、以前から観たかった作品です。

    -----story-------------
    『男はつらいよ』シリーズ、『おとうと』の「山田洋次」監督が「小津安二郎」監督の傑作『東京物語』をモチーフに、現代の東京に生きるある家族の姿を厳しくも温かな眼差しで見つめた感動ドラマ。
    当初予定していたクランクイン直前に東日本大震災が発生したため、撮影を約1年延期し、その間に改めて震災と原発事故を踏まえた脚本への描き直しが行われた。
    出演は「橋爪功」、「吉行和子」、「西村雅彦」、「夏川結衣」、「中嶋朋子」、「林家正蔵」、「妻夫木聡」、「蒼井優」。

    2012年5月、瀬戸内海の小島に暮らす「平山周吉」と妻の「とみこ」は、子どもたちに会うために東京へやって来る。
    郊外で開業医を営む長男「幸一」の家では、長女の「滋子」、次男の「昌次」も集まり、家族全員が久々に揃って和やかなひとときが流れる。
    しかし内心では、子どもたちは日々の生活に追われ、長居する両親を厄介者と感じてしまう。
    そんな中、とみこは将来を心配していた「昌次」から恋人の「紀子」を紹介され、上機嫌になるのだが…。
    -----------------------

    時代背景は現代に置き換えてありますが、設定や登場人物、そして独特の構図や台詞まで、『東京物語』のイメージを再現して忠実にリメイクしてある作品、、、

    序盤での開業医を営む長男「幸一」の家でのシーンは、『東京物語』を彷彿させるシーンの連続で思わずニンマリ… その後も、美容院を営む長女「滋子」の家でのシーンでもニンマリ続き。

    でも、何か物足りない印象。


    オリジナルの『東京物語』では「笠智衆」、「原節子」、「杉村春子」、「香川京子」、「東野英治郎」、「東山千栄子」、「山村聰」、「三宅邦子」等々… 日本を代表する名優が、傑出した演技を見せているので、『東京家族』では登場人物が霞んでしまっている感じ、、、

    そんな中、『東京物語』とは異なった設定になっている「妻夫木聡」、「蒼井優」が演じる、次男「昌次」と、その恋人「紀子」がインパクトある役を演じていましたね。


    あと、広島(尾道)~東京の物理的な距離は当時と変わりませんが、、、

    新幹線の開通や携帯の普及等、60年という期間が経ったことにより、時間的距離は当時の数分の一に縮まりましたよねぇ… そういう意味では、現代において同じテーマで作品を語るのはムリがある感じがします。

    『東京物語』では自然だった設定も、『東京家族』では多少違和感を覚えましたね。

    オリジナルが良い作品だけに評価難しい作品でした。

    -----staff/cast-------------
    監督:山田洋次
    製作:秋元一孝
    製作総指揮:迫本淳一
    プロデューサー:深澤宏
            矢島孝
    脚本:山田洋次
       平松恵美子
    撮影:近森眞史
    美術:出川三男
    衣裳:松田和夫
    編集:石井巌
    音楽:久石譲
    音楽プロデューサー:小野寺重之
    照明:渡邊孝一
    装飾:湯澤幸夫
    録音:岸田和美
    助監督:花輪金一
    スペシャルアドバイザー:横尾忠則
    出演:
     橋爪功 平山周吉
     吉行和子 平山とみこ
     西村雅彦 平山幸一
     夏川結衣 平山文子
     中嶋朋子 金井滋子
     林家正蔵 金井庫造
     妻夫木聡 平山昌次
     蒼井優 間宮紀子
     小林稔侍 沼田三平
     風吹ジュン かよ
     茅島成美 服部京子
     柴田龍一郎 平山実
     丸山歩夢 平山勇
     荒川ちか ユキ
     西田麻衣
     松野太紀
     田中壮太郎
     磯西真喜
     近藤公園
     伊東達広
     福田勝洋
     加藤満
     北山雅康
     鈴木美恵
     貴こずえ
     中村勘九郎(春興鏡獅子)
     中村宜生(春興鏡獅子)
     中村玉太郎(春興鏡獅子)
     中村七之助(春興鏡獅子)

  • 温かほのぼの系かなと思い前から気になっていた本作を見る。『男はつらいよ』や『釣りバカ日誌』の山田洋次監督。
    広島の離島にすむ両親が東京にいる息子、娘に会いに来て親子模様を映す一作。
    前半、ほのぼの系と思っていたが、ほのぼの過ぎだろうとやや退屈気味に見るが、後半ぐぐっと来て、親子の愛、労りに目を潤ませてしまった。
    子供らもそれぞれ家族を持っている中に両親が長期で滞在、気持ちもわかるがありがた迷惑な部分やら。でも幸せな家族の形だと思い、なかなか難しい現実も考えてしまった。
    昭和頑固親父にトラウマを覚えてしまい、自分自身苦笑い。他の作品も見たいと思う。


    小津安二郎監督作 「東京物語」リメイク。
    ※10年に一度、世界の映画監督358人が投票で決める最も優れた映画に『東京物語』が選出。

  • 綺麗な話だった。
    親やパートナーを思いやる気持ちがしっかり足りている登場人物たち。
    おばあちゃん68歳は違和感があるし、家の中も何故かすごく昭和だったけれど、意味があるのだろうか。

  •  噂には聞いていたけど,見ていて小津安二郎監督の『東京物語』を思い出していた。それもそのはず,映画の最後には「小津安二郎監督に捧ぐ」なんてエンドロールが出てきたから,もう山田監督はそのために作ったんですよね。
     まさに「山田監督が,山田監督の視点で,小津安二郎監督の『東京物語』を描いたとすると…」みたいになっているので,まだ小津安二郎の『東京物語』を見ていない人は,是非ご覧になり,比べてみることをお薦めします。わたしももう一度『東京物語』が見たくなりました。
     『東京物語』では,老夫婦のことを気にかけてくれるのが次男のお嫁さんの紀子でしたが,『東京家族』でも,その役は妻夫木くん扮する3人兄姉弟の末っ子の次男昌司のガールフレンド紀子(蒼井優さん)です。この蒼井優さんが,とてもいい味出していて,素直さが好きです。そうだよなあ,こんな対応するよな。でも,どっかに必ず優しさはあるし…。
     もともと山田洋次監督の作品が好きなので,いい評価になるのはしかたないね。これだけ,大好きな先輩監督の作品を徹底的にマネしていくってのもおもしろいなと思います。

  • 小津版オリジナルは既に何度か鑑賞させてもらっているが故に物語の終着点は見えてしまっている状態で鑑賞しているわけであり、ついどこがどう差し替えてあるのかを気にしながら観てしまったのが残念。


    朝10時に出て夕方には着いている旅なんてのに疲れてしまったり、携帯があるのに待ち合わせに四苦八苦したりしている様子を見ているとよほど人間が退化したようにしかみえない場面が多々あって驚かされる。そうした経済的な観点と人間の心情との両方にある「豊かさの中の乏しさ」をうまくとらえているようにも思わされた次第。オリジナルにはあった「貧しさの中の健気さ」というのは平成の世ではうまく描けないだろうし、そうした対極をついたアイデアには自身も納得。

    うまく震災の話題を取り入れているなぁとおもったらそれによって公開時期、脚本、配役等が変更になったことをあとで知った。またその結果実現した杉村センセ vs. 中嶋・蛍・朋子 戦も楽しませていただいた。原節子 vs. 蒼井優 戦はどちらかというと異種格闘技戦のような感あり (笑)

  • 副題通り、親と子供たちの微妙な距離感がよく描かれている。近親者だからこそぶつかる事も多く、それでいて本心が伝わり難い。決して家族をほったらかしにしているわけではないのに。

    絆しを超えて絆となる。

  • 福岡の離島から田舎の両親が突然出てきた。亡くなった友人の家を訪ねる目的もあるという。
    東京で暮らす開業医の長男夫婦と孫たち、ヘアーサロンを営む長女夫婦、舞台美術の仕事をする三男。それぞれ喜びながらも忙しく滞在期間の読めない両親にやがて手を焼き始める。
    横浜の高級ホテルをプレゼントされても所在なく、戻ってきた両親は祭りの準備で忙しい長女夫婦に追い出され、友人の家や三男の家に泊まろうとするが…。

    三男の狭いアパートで感じのいい彼女を紹介された母は翌朝、上機嫌で戻ってくるが、そこで母が倒れ帰らぬ人になってしまう。
    島までみんなで来て、葬儀の後も残ってくれた三男と彼女。
    以前は酒飲みでみんなから煙たがられていた父は彼女の優しさに深く感謝し、形見分けをする。

    家族はつらいよ、の後に見るとデリカシーのない父と違ってそんなに嫌なお父さんじゃないし、居酒屋の女将さんに煙たがられてて少しかわいそう。
    あまり山田洋次感はない。

    有名な小津安二郎の名作・東京物語のリメイクで、断片的にしか見たことなかったので、原節子の有名なシーンのシチュエーションはこんなシーンだったのかと得心。
    横浜のホテルは近いからいいけど、熱海はかなり遠いし戻るの大変そう。どんな話なのか気になってきた。
    最近見たドラマ「離婚なふたり」や家族はつらいよでも出てきて、その昔岩井俊二のエッセイでも出てきたし、見るべき一本なのだろうなと思いつつ…そろそろ見る時期なのかも。

全133件中 11 - 20件を表示

著者プロフィール

1931年大阪府生まれ。54年、東京大学法学部卒。同年、助監督として松竹入社。61年『二階の他人』で監督デビュー。69年『男はつらいよ』シリーズ開始。他に代表作として『家族』(70)、『幸福の黄色いハンカチ』(77)、『たそがれ清兵衛』(02)、『家族はつらいよ』(16)など。2012年に文化勲章を受章。

「2019年 『男はつらいよ お帰り 寅さん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×