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感想・レビュー・書評
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神聖ローマ帝国、オーストリア=ハンガリー二重帝国を統治したハプスブルク家についての通史。家系の中でも重要な位置にある王、皇帝の評伝を軸にして読みやすい物語として仕上がっている。ただし、思い入れがあるためなのか、あとがきで筆者自身が述べているように、この本が刊行された当時に研究が少なかったために強調せざるを得ないと判断したためなのか、マリア=テレジアに関して妙に高評価を与えている点は気になる。また、同一人物名の表記ゆれが突然起きたり、(多分)四字熟語を間違ったりしているのは、何か急ぎの編集でもしていたためだろうか。現在ではハプスブルク家に関して概説的に読める本は新書でも数冊あるので、この本と比較してみると面白いかもしれない。
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ウィーン包囲や会議は踊る、など記憶の片隅にあった印象的なワードが出てきたりして、西洋史への興味が深まりました。
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世界史という科目の取っつき難さは、地球上の様々な地域の歴史がパラレルに語られるがために(だからこそ「世界史」なのだけど)時代が行きつ戻りつせざるを得ないところ。
また政治史・経済史・文化史など同じ地域でも流れが複数走り、且つ、それぞれが結びつきを持っているがために、ちょっと齧ったくらいだとなかなかその全体像をイメージするのが困難であるところにあると思います。
基本的に一本のシリアルな流れで概観することのできる日本史とは大きく異なるところ。
その取っつき難さを解消するための方策として、基軸を一本決めてその軸を中心に周辺を眺めることにより、シリアルな視点を導入してみるというのが効果的なやり方の一つになるのではないかと思います。
その点では、ハプスブルク家というのは格好の基軸になってくれる存在。
なんたって、王朝の始祖・ルードルフ一世が神聖ローマ帝国の王位に就いたのが1273年、そして最後の皇帝フランツ・ヨーゼフが逝去して王朝が途絶えたのが1916年、13世紀から20世紀まで欧州国際政治のメインプレーヤーを務めたのだから。
欧州の近代史イコールハプスブルク家の歴史といっても過言ではないほどであります。
16世紀、神聖ローマ帝国の領土に留まらずスペインやイタリアまで版図に収めたハプスブルク家は、最大のライバル・フランス王家と激しく争うことになりますが、その過程で、フランスはハプスブルク家に対抗するために本来宗教的に相容れないはずの新教徒勢力やトルコとまで結ぼうとする。
敵の敵は味方、という国際政治の本性を実感させられます。
しかし、本書を読んでから『もう一度読む山川世界史』を読み返してみると、世界史教科書におけるハプスブルク家の皇帝たちの存在感が意外なほど薄いことに驚かされます。
マクシミリアン一世、カール五世、フェリペ二世、マリア・テレジアがそれぞれ一箇所ずつ登場するくらいで、ルードルフ一世やフランツ・ヨーゼフなど名前すら出てこないんだよね。
こうやって通史的に語られれば新書一冊分の大河ドラマになるというのに。
本書は、1990年に初版が出たものですが半数を重ねて読み継がれているようです(著者は故人)。
自分のような素人が歴史の流れを大掴みにするには最適の一冊であります。 -
言わずと知れたヨーロッパの名門、ハプスブルク家の歴史。おとぎ話のようであり、血なまぐさい政争の連続であり、しかし戦いより結婚で勢力を伸ばしたとは面白い。これまで名前しか知らなかったようなものだが、興味深く読むことができた。選帝侯という制度がどうやって成立したのか興味深いので、いつかそちらに関する本も読んでみたい。
どちらかと言えば「強大な支配者」とか「豪華な暮らしの王侯貴族」という姿で描かれることが多いが、本書を読むと常に苦労や心配の絶えない人たちだったと思われる。もちろん物質的には(当時としては)恵まれていたのだろうが、血筋は選べないし、なんだかんだで殺される危険も多々あったわけで、ご苦労なことだ。 -
スペインに行く前にダウンロードしてたんだなぁーと。やっと読了。
ヨーロッパにおけるオーストリアの立ち位置みたいなのがわかる。
その後、中欧東欧は混乱へと向かうのである。 -
ハプスブルグ家の歴史を平易に記述。