夏への扉 [Kindle]

  • 早川書房
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感想・レビュー・書評

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  • 妻の挫折本をもったいないから読みました。究極の猫が苦手の私としてはテンション低く読み始めました。序盤のマイルズ、ベル、ダン、ピートの修羅場からはじまる。そこからの冷凍睡眠による復讐はある程度楽しめました。若干、日本語訳がフィットしないのか、少し違和感を感じながら読んだので、一部消化不良。結局は、技術オタク&ロリコンの話し?とも読めなくもない。好きなタイムトリップものは、宮部みゆき「蒲生邸事件」、乾くるみ「リピート」、東野圭吾「時生」ですかね。妻よ何故買った?なぜ読まない?なぜ押し付けた?

  • 舞台は1970年、天才的ロボット技術者のダンと愛猫のピートのコンビが主人公。
    ビジネスで大きな裏切りにあい、アル中寸前になったダンは、現実を捨て冷凍睡眠で30年の未来へいくことを決める。
    最後の復讐に、と裏切った会社の仲間であるベルとマイルズに会いにいくと、ピートの活躍があれど、思わぬ反撃に遭い、目覚めたときには30年後の2000年だった。
    持ち前の機械工学への情熱で21世紀に適応を果たしながら、30年の歴史をたどり、慈愛を注ぐマイルズの継娘・リッキィに会いにいき、衝撃の事実を知る。そして秘密のタイムマシーンの存在を知り、過去に戻って「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ばりの立ち回りで30年前の宿題を片付けていく。

    コールド・スリープと過去か未来かのどちらにいくかわからないタイムマシンによる時間旅行はうまくいきすぎ感はあるものの、1950年代に書かれたとは思えない読みやすさとエンタメ感満載で楽しめました。
    ダンが開発を構想するさまざまな便利ロボットは意外と現実になりませんね。個々の機能をより効率的に果たす機械は出てきたものの、統合的にいろんな処理をさせるのが、ダンが言うほど簡単じゃないんでしょう。
    コールド・スリープは実現してもあんまりやりたくないかなぁ。この本が書かれた時ほど将来にポジティブな期待を抱く人は多くないでしょうね。
    さて、日本版で公開される映画はどんな作品になるんだろう、ちょっと怖い気がしますが、映画向けのストーリーと思うので観てみます。

  • 1956年に描かれた本らしく、でもまったく古い小説という感じがしなかった。
    小説内の設定は、1970年ぐらいとその30年後の2000年を少し行き来する、SF小説。
    SFをあまり読んだことがなかったのと、普通の小説のように読んでいたので、筋書が新鮮でもあった。

    主人公のダニエル・デイヴィスが、ストーリーの初めからハメられて冷凍睡眠することになるから、本当に大丈夫かと思ったけれど、あとあと彼自身、機転の利くところがあったことを知り、さすが主人公だった。ずっと猫のピートが気になってたけれど、終わりも一緒でよかった。

    タイムトラベルへの想像力は、小説内だけじゃなくて実際の科学でも広げられていることを最近の新聞記事で知った。実験中なのは冬眠らしいけれど、冷凍睡眠ととても似てるなーと思った。
    今、を変えたいから、人間はタイムトラベルに憧れ、想像を膨らますのかなーと思った。

  • 一人の男が罠に嵌められて落ちた後に復活する物語は王道であり、面白くないわけがない。しかも、そこに時間転移というSFの要素が入ってくると、さらに面白くなる。タイムトラベルものでは何かしらの矛盾が発生することが多いので、本作品もよくよく読めば何かおかしいところがあるかもしれない。でも、そんなの探して面白い? 楽しく読もうよ! って感じで読めば、読者は幸せになれると思う。猫のピートのことがずっと気になっていたが、最後の方に忘れられずに出て来て安心。

  • サスペンスで始まって、SFを通り、最後は恋愛ものになった感じ。なんかすごい

    ダンが科学者脳でついていけない感じもSFっぽい。

  • 色んな仕掛けがあって、ネコが粋な役を演じていて、読み物としてもストーリーとしても面白い!自分のつくったロボットが未来で形を変えて生き続けていたら嬉しいだろうな。

  • 主人公がどんどんビジネスパートナーであり親友に裏切られたり恋人に裏切られたりするシーンにドキドキさせられました。

    その運命から逃げるように冷凍睡眠に30年間入る主人公ですが、医師が言った、「君は人生から逃げるんだな」と彼に言った言葉がとても響きました。

    私も冷凍睡眠に入りたいぐらいだなんて思うことが多々あります。
    でもそれって自分の人生からの逃げなんだなぁと思います。

    主人公は冷凍睡眠をして30年後の未来に行き、そこからタイムマシンに乗って30年前に戻り、色々と失敗を修正しますが…なんだかそれって人生の醍醐味を台無しにしているような気さえします。

    あの時、ああしていれば…なんて思うことや後悔することは多々ありますが、過去は修正できないからこそ失敗から多くのことを学び成長するんじゃないかなぁと思います。

    もし未来にタイムマシンや冷凍睡眠などができるようになれば恐ろしいなぁと感じました。

    最後の章はあまり私の好きな終わり方ではありませんでしたが、最初の方はとても面白かったです。

    翻訳で使われている言葉なんかも、古風で知的な言い回しが多くよかったです。

  • 夏への扉というタイトルの遊び心が好きだ。
    物語としては後半の時間旅行と冷凍睡眠によるタイムスリップがおもしろいが、初回の冷凍睡眠までのアレコレが伏線回収されていない気がして、もやっ。車とかピートとか文化女器機とかはでてたかな。
    あとはリッキィが主人公と結婚するのもファンタジーすぎてついていけなかったなぁ。冷凍睡眠までして、当時11歳・21歳の女の子が叔父さんと結婚したいと思い続けられるだろうか。

    後半のタイムスリップの部分をもっと楽しみたかったなぁ。

    日本で映画化されるらしく、興味はあるが小説の印象崩れそうで少し怖い。

  • 『夏への扉』、なんと日本で映画が作られるというので話題になっている。中身を全然知らないのでネタバレをくらわないよう、古典的名作とされる本書を読むことにした。

    タイトルからして思春期の少年のひと夏の出来事だろうと読みすすめると、その想像とは猫が出ること以外全く合っていなかった。主人公は30歳の技術者で違うにもほどがある。

    この思い違いは竹宮恵子の『夏への扉』のアニメ化のときに聞きかじった情報が自分の脳を支配していたためらしい。

    名作であるが、悪女の罠にはめられ何もかも失う主人公、の展開は、社会人になる前に読んだらいまいち感情移入できなかっただろう。ある程度歳がいけばこそ、ベルがどれだけやばい女かを理解できる。

    主人公の境遇が理解でき、感情移入できないとこの作品の評価は全然違うものになる。いくつかの偶然が物語を動かす上での必然と思えず、都合のいい展開に見えてしまうかもしれない。

    しかし、そのいくつかの奇跡のような偶然が、胸のすく展開に導いていく。作者はこのように偶然を操らなければいけないのか。そんなことも学べたと思う。

    なお、この小説はガチのSFだが、どちらかと言うとコメディ寄りで、いくつもギャグシーンがある。「レナード・ヴィンチェント」という名前などクソ笑う。いくらでもシリアスにできるだろうに、ぶれずにギャグに振るところも見習いたい。

    「猫好きの人間にむかって、猫好きのふりをすることは難しい。」これもまさに真実である。作者が猫好きであることには一点の疑いもない。

    ズィム軍曹もきっと猫好きで、たまに制服に猫の毛がついているのではないか、ぐらいまで想像した。

  • 1956年の小説です。時代のせいか、翻訳のせいか、ちょっと読みづらいところもありましたが、楽しめました。

    この時代の人が考えた2000年は実際とはずいぶん違っていて、近未来感があり、面白かったです。文化女中器はルンバではないか!とルンバを持ってないけど楽しくなりました。

    冷凍睡眠だったり、タイムトラベルだったり、今の時代には色々な物語が出回ってますが、この当時の人には物凄いSF感で衝撃的だったんだろうなと思います。

    強いて言えば、この当時の人の感覚なのか、老いた女性に対して厳しい物言いが気になります。リッキーをちょうどよい年齢にタイムトラベルさせるところも、オイオイと思いました。
    まあ、ハッピーエンドでよかったです。

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