- Amazon.co.jp ・電子書籍 (383ページ)
感想・レビュー・書評
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一人の男が罠に嵌められて落ちた後に復活する物語は王道であり、面白くないわけがない。しかも、そこに時間転移というSFの要素が入ってくると、さらに面白くなる。タイムトラベルものでは何かしらの矛盾が発生することが多いので、本作品もよくよく読めば何かおかしいところがあるかもしれない。でも、そんなの探して面白い? 楽しく読もうよ! って感じで読めば、読者は幸せになれると思う。猫のピートのことがずっと気になっていたが、最後の方に忘れられずに出て来て安心。
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サスペンスで始まって、SFを通り、最後は恋愛ものになった感じ。なんかすごい
ダンが科学者脳でついていけない感じもSFっぽい。 -
色んな仕掛けがあって、ネコが粋な役を演じていて、読み物としてもストーリーとしても面白い!自分のつくったロボットが未来で形を変えて生き続けていたら嬉しいだろうな。
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主人公がどんどんビジネスパートナーであり親友に裏切られたり恋人に裏切られたりするシーンにドキドキさせられました。
その運命から逃げるように冷凍睡眠に30年間入る主人公ですが、医師が言った、「君は人生から逃げるんだな」と彼に言った言葉がとても響きました。
私も冷凍睡眠に入りたいぐらいだなんて思うことが多々あります。
でもそれって自分の人生からの逃げなんだなぁと思います。
主人公は冷凍睡眠をして30年後の未来に行き、そこからタイムマシンに乗って30年前に戻り、色々と失敗を修正しますが…なんだかそれって人生の醍醐味を台無しにしているような気さえします。
あの時、ああしていれば…なんて思うことや後悔することは多々ありますが、過去は修正できないからこそ失敗から多くのことを学び成長するんじゃないかなぁと思います。
もし未来にタイムマシンや冷凍睡眠などができるようになれば恐ろしいなぁと感じました。
最後の章はあまり私の好きな終わり方ではありませんでしたが、最初の方はとても面白かったです。
翻訳で使われている言葉なんかも、古風で知的な言い回しが多くよかったです。 -
『夏への扉』、なんと日本で映画が作られるというので話題になっている。中身を全然知らないのでネタバレをくらわないよう、古典的名作とされる本書を読むことにした。
タイトルからして思春期の少年のひと夏の出来事だろうと読みすすめると、その想像とは猫が出ること以外全く合っていなかった。主人公は30歳の技術者で違うにもほどがある。
この思い違いは竹宮恵子の『夏への扉』のアニメ化のときに聞きかじった情報が自分の脳を支配していたためらしい。
名作であるが、悪女の罠にはめられ何もかも失う主人公、の展開は、社会人になる前に読んだらいまいち感情移入できなかっただろう。ある程度歳がいけばこそ、ベルがどれだけやばい女かを理解できる。
主人公の境遇が理解でき、感情移入できないとこの作品の評価は全然違うものになる。いくつかの偶然が物語を動かす上での必然と思えず、都合のいい展開に見えてしまうかもしれない。
しかし、そのいくつかの奇跡のような偶然が、胸のすく展開に導いていく。作者はこのように偶然を操らなければいけないのか。そんなことも学べたと思う。
なお、この小説はガチのSFだが、どちらかと言うとコメディ寄りで、いくつもギャグシーンがある。「レナード・ヴィンチェント」という名前などクソ笑う。いくらでもシリアスにできるだろうに、ぶれずにギャグに振るところも見習いたい。
「猫好きの人間にむかって、猫好きのふりをすることは難しい。」これもまさに真実である。作者が猫好きであることには一点の疑いもない。
ズィム軍曹もきっと猫好きで、たまに制服に猫の毛がついているのではないか、ぐらいまで想像した。