掏摸 (河出文庫) [Kindle]

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著者 : 中村文則
  • 河出書房新社 (2013年4月20日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (55ページ)

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掏摸 (河出文庫)の感想・レビュー・書評

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  • もうちょっと軽快な話かと思ったら、
    ダークな感じ。
    スリ方を描いているが、そんなにうまくいくんだろうか?想像出来ない。
    スリの話というよりか、巨大な組織に操られてにっちもさっちもいかない主人公。
    もう少し抵抗して、スカッとするかと思いきや。

    最後は、読者に委ねてる。

  • 中村文則という作家さんは、文章がうまく、描写が細かいのでその情景が自然と目に浮かぶ。売れっ子の作家にありがちな、テレビドラマ化を意識したようなわざとらしい描写でないのがよい。

  • これは純文学の範疇に入るのだろうか。文体や内容は中上健次を思わせる雰囲気で、個人的には好きだ。生き辛い人生を描くいており読んでいて余り気持ちがよいものではないけれど、リアリティがあると思う。普通のミステリー作品を期待する向きには読み辛いと思う。

  • 書評が良かったので読んでみたが、私の趣味ではなかった。純文学?哲学的?形而上学?醒めた文体で淡々とした記述の小説。わかりやすい言葉で、人間の汗や涙が共感できるような小説がいい。まぁ、それは私個人の好みであり、こういう小説もそれはそれで価値があるのであろう。私の感覚で★二つ。

  • うーん、重く息苦しくでも面白かったですね。

    中村文則さんという作家さんは実はよく知りません。この本が初めてで、ほぼ衝動買いでした(電子書籍ですけど)。
    なんとなく、装丁(ネットですけど)と解説短文から、「面白うそう」な感じがしまして。(そう考えると、宣伝文句って大事ですよね・・・)

    いきなり備忘録的にネタバレします。
    主人公は、多分30前後?くらいの男性ですね。スリです。
    詳細はわからないけど、施設とか?不幸な生い立ちですね。
    詳細はわからないけど、多分若いときから万引きとか窃盗とか、そういう犯罪にかかわって、そういうグループに混じって生きてきました。
    なんだけど、ヤンキー的に刹那なわけではなくて、基本、暗くて内向的ですね。静かな感じ。
    むしろはっきり、陽気に明るく協調して集団の中で社会の中で生きていくことに背を向けてるんですね。
    で、いろいろあったけど今は、完全単独スリとして暮らしている。孤独です。
    でも、腕はいいんですね。

    お話としては、

    ①回想。数年前?に巻き込まれた(片棒をかついだ)強盗殺人事件のなりゆき。
     主人公が愛着を持って交流していたスリ仲間の兄貴分?と参加した。
     結果的に、その兄貴分が絡め取られていた、ヤクザ的な力のある組織に、主人公も組み込まれていくきっかけに。

    ②ひょんなことで知り合った、おそらくは近所?の母子家庭。
     貧しくて索漠とした家庭。30前後らしき母親はケバくて堕ちてて、売春婦で、子供の父親ではない情婦がいて、恐らくその情婦は子供を殴ったりしてる。
     母親ももはや子供のことは重荷でしかない。小学生低学年くらいに思える息子に万引きさせてる。
     と、いう可哀想な母息子との、交流っていうかカカワリ。
     要は微妙に助けてしまって、母親には金目当てでからまれてHしちゃうし、息子には妙に頼られてちょっとスリの技を教えたりする。

    ③そうこうする内に、そのヤクザ的な組織の木崎という男に命令される。
     命令として、これこれこういう相手からこういうのをスッって来い。
     失敗したら、殺す。逃げたら、お前が関わってるあの母子も殺す。以上。みたいな。
     で、それを主人公がなしとげられるのか、という成り行き。

    ④全般的に、主人公の憂鬱で淡々としてて、でもハードボイルドな心象風景。

    という四つが軸になって進んでいきます。
    最後の解説で作者が書いてますけど、
    「過酷な運命にもがき戦う弱き個人の物語」という感じですね。
    で、これ、面白いんですけど、どう面白いかというと。
    これまた、最後に「参考文献」の中に何故か映画なのに入っていますが、ブレッソン監督の「スリ」。
    あの映画の感じなんですね。あの映画を小説にしたらこうなります的な。味わいの問題ですけど。
    コトバで言ってみると、ザックリとハードボイルドな筆致なんですけど全然ヒーローものじゃなくて、
    フィリップ・マーローのようだけど、そこまでロマンチックじゃなくて。
    映画「ダークナイト」みたいな、ダークで破滅的に見えて、底流に人間味っていうか、切ない感じとかがあるという。
    で、語り口は、結構、解釈という意味では難解であろうと感じる心象風景描写が多いけど、コリコリと運びは気持ちよく、ダレない。
    中盤からはハッキリと娯楽的な解決課題とサスペンスになっている。
    ラストは地獄落ちに見えるけど、救いの光は残してる。

    だからまあ。
    ドストエフスキーでチャンドラーで、「ダークナイト」で「ブレッソンのスリ」な感じですね。
    ま、あと敢えて言うと荒井晴彦で神代辰巳な日活映画な湿度というか、日本風味があります。
    こうして書いてみると、100%、男子向けの本ですね(笑)。

    という感じです。

    あとまあ、特筆すべきはやっぱり、ヤクザ的な大物な感じの、「木崎」というキャラクターですかね。
    とにかく、強烈に強くて頭がよくて知的で残酷で多弁で自信家で怖いんですよね。カラマーゾフ的というか、いやあ、絶対悪というか。
    なかなか秀逸ですね。
    で、この木崎に一矢報いるエンターテイメントになるのかな、とちょっと期待しましたけど、そういう商品じゃなかったです(笑)。
    そのへんはまあ、新宿鮫とかじゃないってことで(笑)。
    でも、まあ、一矢報いるというと大げさだけど、ちょこっと木崎のプランから逸脱して生き延びる可能性を見せて終わりますね。
    どうやら同じ作者の後年の小説でも、「木崎」というキャラクターは出てくるらしいので、いずれはそれも。

    この語り口の感じで言うと、中村文則さんという小説家さんは、この本のように題材がそこそこエンタテーメントでありサスペンスな舞台であれば、多分僕は結構好きなのではないか、という予感がします。
    ただ、よりより観念的というかハッキリ言うと地味な心理小説になっていってしまうと、チョット好みとしては、ドンピシャではないかも。

    文章、語り口は、上手いと思いました。相当に。
    なんていうか、背筋が伸びて清々しい、いさぎよい筆致。良い意味で単簡。
    スリのアクション描写なんかも、なんていうか、「分からせる」文ではなく、「感じさせる」文っていうか。省略も上手い。
    そういう意味ではホント、ブレッソンの映画を小説で読んでる錯覚を覚えるくらい。
    でも、上記のように時制のごちゃまぜ語りや内面描写など、もう、純然と小説という形式ではないとありえないところに、スッと落ち着いている。
    そういう小説としての居住まいの美しさがあります。
    なんていうか、編集者と話して、「よりウケるように」「売れたいよね」「映像化、来るよね」とかっていう作られ方では、絶対にない、気品みたいなものがあります。
    同時代でそういう、まあ自分の好みの(好みなのではないかという気がする)小説家さんを見つけるのは、面白いですね。

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