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感想・レビュー・書評
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キャリアの教科書
著:佐々木 直彦
エンプロイアビリティとは、「雇用される能力」である。「雇用可能性」「転職能力」や「自分の市場価値」あるいは「どこでもやっていける力」とも訳される。
プロとして自立してビジネスをやっていく能力を身につけることは、組織から望まれて雇われつづけることにつながるだけではなく、他社に好条件で転職できる可能性を高め、さらに、独立してやっていくという選択肢をもたらす。
これらのことを考えるとき、エンプロイアビリティという言葉の意味は、全てのビジネスパーソンにとって、単に組織から雇われる能力という意味をこえて、非常に豊かなものになってくる。
本書の構成は以下の5章から成っている。
①雇われる力・エンプロイアビリティとは何か?
②人生をひらく5つの質問
③自己価値をつくりだす場所を得る
④自己探求し未来を構想する
⑤自己表現し人間関係を発展させる
エンプロイアビリティを高めることは、自身にとってもプラスあるが、今属している組織にとっても大きくプラスのことでもある。これだけ先が読めない時代において、現状のビジネスの延長線上だけで、組織としての発展と継続が簡単にできるとは思わない。
状況に応じては新しいビジネスモデルの構築は現状を脱却した中でのイノベーションが必要となる中で、現状の枠にとらわれた能力や考え方の人間だけではそれを成し遂げることは難しい。
即効性と長期的な視点のバランスが必要になる中で、それを意識した自己スキルなり仲間の成長や考えを昇華させる中で見えない備えを行うことは必要となる。
目の前のことをしっかりと行う中で、虎視眈々と枠を超えた、それに対応することで人としての市場価値は格段にあがる。外部調達にはない、社風・空気感を理解した心と成し遂げる力がある人材は外部にはなかなかいない。
どれが正解かはわからないものの、悶々とするだけではなく、挑戦的な側面も持ちながら毎日を過ごしたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
エンプロイアビリティ=雇用される能力。ただし、雇用されずともプロフェッショナルとして活躍できる能力も含まれる。
エンプロイアビリティの4つの能力
・専門能力→専門知識経験だけでなく、対人関係、創造性なども
・自己表現力→自分が何ができ、どういう能力があるのかを表現できる
・情報力→自分の能力がどの程度評価されるかを知る。webだけでなく人脈も重要
・適応力→雇用主の要求に合うか。雇用のみならず、フリーランス等も同じ
3つの観点
・雇われ続ける→優秀な人材であれば企業は手放したくない。転職にも有利になる
・好条件で転職可能→エンプロイアビリティが高いと好条件で転職でき、さらに能力が高まり好条件で転職できる
・やりたい仕事を続ける→やりたい仕事を見つけ、やり続け実績をあげることで様々な可能性が生まれる
エンプロイアビリティが高い人は「キャリアの仮説(ビジョン、ストーリー)」を持っている。
→その人に何ができ、なぜそれをやっているのかが分かる。またビジョンがあることで中長期的にキャリアを考えられる
キャリアの仮説の5つの問い
・自分が何ができるか
・自分は何をしてきたか
・自分は何をやりたいのか
・自分はなぜそれをやりたいのか
・自分の人生をどのようにしていきたいのか
→キャリアアンカー(価値観)に深く関係する。これらを「語れる」ことが重要
エンプロイアビリティを高めるワーク※相互に関係するのでどれから始めてもいい
①コンセプトワーク(考える)→仮説。
②フィールドワーク(経験する)→仮説の検証。「何ができるのか」が語れるだけでなく、原体験によってビジョン設計につながる
③ネットワーク(人と繋がる)→情報収集
→これらをやって初めて有効なキャリア仮説となる
①のワーク
・自分の歴史を整理(原体験)
・自分が追求すべきテーマ
・ビジョンの設定
・ビジョン実現のための行動計画
・なぜそのビジョンなのか?を整理
→個人的な体験から社会にどのように関わっていくか、まで昇華させると説得力(共感)がでる
p166のようなワークを行えば全てが1つの絵として把握できる
過去の体験とビジョンを考えるポイント
・自分の能力と可能性を示している(事実だけでなく、その時のこだわり
など)
・自分の性格を象徴している(こういうことが好き)
・思い出すと感動する(忘れられない経験)
・アンチテーゼ(こういう現状を変えたい)
→こうしたエピソードから自分が追求すべきテーマを設定する
そして、テーマからどのような仕事をしたいかに昇華させ、行動計画に落とし込む
★自分のコアが分かれば「人生が何のためにはあるのか」を見つけることができる。これは就職、転生などあらゆる場合において軸となるので重要
【感想】
原体験から未来をつないでいくためのワークの内容が充実しており、このまま使えそう。
ただし、学生向けに活用するのであればどの段階で利用するのがいいか、検討が必要そう。
プレゼン能力(自己表現)や人脈を強調しているあたりはテクニカルな感じがし、エンプロイアビリティの本質としては?という印象を受けた部分もあるので、他のエンプロイアビリティに関する本もチェックしたい。(著者の企業向けサービスが影響しているぽい)