歌好きの女の子3人組の栄光と失望の軌跡。
何と言っても、数々の歌の迫力に圧倒されました。
ミュージカルです。
スプリームスとモータウンの歴史になぞらえた物語は、史実とは異なる部分が多いですが、想像を掻き立てられ興味深かったです。
ダイアナ・ロス、モータウン創業者の知られざる物語は勿論、ダイアナ・ロスに憧れる幼きマイケルジャクソンや、50'60'の女性蔑視、人種差別の雰囲気など、時代を映す鏡のひとつです。
サクセスストーリーの少数の光と多数の影。
どちらかというと影が多く描かれます。
ラストステージは、解雇されたエフィを舞台に上げて初代メンバーが揃います。
誇りと友情を取り戻すラストシーンは良かったです。
しかし史実ではエフィはその前にヘロイン中毒で世を去っていたらしいので、現実を捻じ曲げ、夢を叶えたシーンで感動を与えようとする辺りが、いかにもショービジネスを思い起こさせ、作品で描かれたシビアな現実を思い、複雑な気持ちになりました。
映画みたいな話は作り物の物語なのですよね。
現実の物語はたいして何も起こらないですからね。
ドラマチックなことは起こらないし起こさない。
いいこともよくないことも受け入れるんですよね。
映画みたいな人生、気の休む間もなく大変よ!
だから人はエンタテインメントを楽しむ。
などと考えて複雑な気持ちになったのでした。
「ドリームガールズ」 Dreamgirls(2006、アメリカ)
監督︰ビル・コンドン
脚本︰ビル・コンドン
原作︰トム・アイン「ドリームガールズ」(ミュージカル)
製作︰ローレンス・マーク
製作総指揮︰パトリシア・ウィッシャー
音楽︰ヘンリー・クリーガー
作詞︰トム・アイン
撮影︰トビアス・シュリッスラー
編集︰ヴァージニア・カッツ
出演︰
カーティス(モータウン・レコードの創設者ベリー・ゴーディ・ジュニア)︰ジェイミー・フォックス
ディーナ(ダイアナ・ロス)︰ビヨンセ・ノウルズ
エフィ(初代スプリームス フローレンス・バラード)︰ジェニファー・ハドソン
ローレル(初代スプリームス メアリー・ウィルソン)︰アニカ・ノニ・ローズ
ミシェル(スプリームスの新メンバー シンディ・バードソング)︰シャロン・リール
ソングライター、エフィの兄C.C.ホワイト(スモーキー・ロビンソン)︰キース・ロビンソン
ジミー・アーリー(デトロイトが誇るソウルシンガー)︰エディ・マーフィ
ジミーの老マネジャー マーティー︰ダニー・グローヴァー
あらすじ︰
1960年代のアメリカいちの車の町であるデトロイト。その町のとあるライブハウスに、ディーナ・エフィ・ローレルの3人からなる「ドリーメッツ」がライブハウスの出演を賭けてオーディションを受けていた。その3人に目をつけたのが中古車ディーラーを営み、かつジミー・"サンダー"・アーリーのプロデューサーをしていたカーティス・テイラー・ジュニア。ジミーの女癖の悪さから彼のバックコーラスを失い、新しいバックコーラスを探していた。そこでドリーメッツの声を聞き、バックコーラスとして週$400で彼女たちを雇う。C. C.(エフィの兄)の作曲した"Cadillac Car"を聞き、これは売れると思ったカーティスは、レーベル「レインボー・レコード」を立ち上げる。
黒人ラジオ局のみで流されたこの歌は、R&Bランクで1桁台の順位をたたき出すなどヒットとなったが、白人によって曲を盗まれる。カーティスはこのことから「金を使って白人ラジオ局にも流してもらおう」と、所有していた中古車を全て売り払い、ディーラーの跡地を本格的なスタジオとし、"Steppin' To The Bad Side" を発売する。その後ジミーのバックコーラスをしていたドリーメッツの3人は単独グループのザ・ドリームズとして活動し始める。しかしこの頃からエフィとその他のレインボー・レコードのメンバーの中に亀裂が走り始める。後日ある大事なショーのリハーサルを休んだエフィに業を煮やしたカーティスは、彼女を脱退させ、代わりに新メンバーを加入させてしまう。
新生ザ・ドリームズとなって数年後、ヒット曲を飛ばし続けるディーナたちはさらに人気となり、カーティスはアメリカ音楽界で名を馳せる存在となっていた。一方でカーティスはジミーの時代はもう終わったと彼に路線変更をさせイメージから作り変えることを画策する。ところが全国ネットの番組のステージでジミーは予定の歌を途中でキャンセルしラップに勝手に変更。かつてのジミーを演じ、挙句の果てにズボンまで下げてしまう。この失態からカーティスはジミーをクビにする。時を同じくしてC. C. はカーティスの横暴なやり方に反発して彼の元を去ってしまう。同じ頃、ソロ歌手として細々と活動を再開したエフィが、C. C. がエフィのためにと書いたとっておきの曲を歌い出すと、黒人ラジオ局で流れだしヒットの兆しを見せる。
しかしそれを快く思わないカーティスは、エフィの曲がまだ知名度が低いことにつけ込んで曲を盗み、曲の存在を知らないディーナの新曲として大々的に売り出す。数日後、映画出演のオファーが舞い込むディーナだったが、カーティスと意見が分かれて徐々にギクシャクし始める。その直後、ディーナは自身の新曲がエフィの曲を盗んだものだと知り電話で彼女に謝罪した後、カーティスから独り立ちすることを決める。そしてその数日後、多くのファンに惜しまれる中でザ・ドリームズの解散コンサートが開かれ、ディーナたちは最後のステージに上がる。