角砂糖の日

著者 :
  • 深夜叢書社
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感想・レビュー・書評

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  • 山尾悠子唯一の歌集。
    Amazonにシス書店版のデータが無いようで、やむなく旧版を登録したが、購入したのはシス書店から復刊された新装版。
    詩はよく解らないが、短歌ももっと解らない……が、解らないなりに面白い読書体験だった。三十一文字の中に見えるのは確かに山尾悠子の世界で、それがより濃縮されている。
    また、シス書店版には書き下ろしの掌編も収録されている。造本も凝っているのが嬉しい。

  • 後記も読みたかったので深夜叢書社版にて再読。
    饒舌なこころを持て余す夜には過ぎ去ったすべての春への窓を開けて。時のあわいをめぐる風が、外つ国に生まれて滅んでいったものたちの物語を運んでくる。たゆたう残像はやがて腐敗へと沈んでいくのを知っているから、しずかに額縁に封じる。とりかえしのつかないことはいつもうつくしい。

    ごらん、三月の表情をしたあの廃星を。あかるい沈黙を守り通しているよ。

    錆びた日々の残骸を積み重ねてごうごうと鳴るわたしのこころを鎮めるのは、聴きなれた夢の旋律なのだ。百合喇叭を枕にして眠りに就きたい。

  • 繊細な言葉で綴られた短歌集。
    美しく印象的な言葉を追ううち、ふと浮遊感に襲われる。現実と幻想の狭間で、めくるめくひとときを過ごせる。
    一頁に一首という装幀が嬉しい。書体も本の大きさも好き。表題にもなっている角砂糖の歌が一番好き。

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著者プロフィール

山尾悠子(やまお・ゆうこ)
1955年、岡山県生まれ。75年に「仮面舞踏会」(『SFマガジン』早川書房)でデビュー。2018年『飛ぶ孔雀』で泉鏡花賞受賞・芸術選奨文部科学大臣・日本SF大賞を受賞。

「2021年 『須永朝彦小説選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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