知的幸福の技術 自由な人生のための40の物語 [Kindle]

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  • 幻冬舎
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感想・レビュー・書評

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  • ・富は、人的資本(健康や人間関係を含む)から大半が生まれるので、金融資産などに投資をするより人的資本に投資をして稼ぐ力を伸ばすのが良い。

    ・社会は、得意なスキルの交換で成り立っている。
    →自分の得意なスキルを集中的に伸ばすことで人的資本は効率的に伸ばせる。

    ・自由のために経済的独立が必要なのであれば、与えられた人的資本を最大限活用して最速で独立を目指すと良い。
    →◇生活や精神状態とのバランスはとりつつ

  • 子を有名私立に小学校から入れても将来的に元本回収はできないだろう。それなら教育は親の単なる消費行動では、という指摘に改めて驚いた。それをつい忘れてしまうのが私たちなのかも。

  • 週刊プレイボーイの連載を始め、数多くの著書で知られる橘玲。





    身もふたもない本音を語っていて面白いなあと思う。





    今回の本は、2004年に発行された「雨の降る日曜は幸福について考えよう」を改題したもので、2009年に発行された。




    2023年に読んでもフムフムと思うことが多い。




    例えば「世界の終わりを予言する伝道師たち」では、私たちはみな、破滅が大好きだと述べている。




    小松左京の「日本沈没」と五島勉の「ノストラダムスの大予言」を例に上げている。




    あれから時間がたち、最近(2009年の時点)の定番物語は、日本国の経済破綻であると述べている。





    思いつく人といえば、浅井隆、藤巻健史、森永卓郎あたりだ。




    毎年のように日本経済はもうおしまいだと言い続けている。




    ブレなければどこかで当たるだろうが、真に受ける気にはならない。





    著者は、未来への言いしれぬ不安。それを人は「希望」と呼ぶと述べている。




    生命保険について身もふたもない事を言っている。




    生命保険を売る人たちは、今でも「ご家族への愛情を示すために、大きな保険に入りましょう」と甘く囁(ささや)く。ストーカーも不気味だが、金融商品が愛情表現であることの方が、よほど気持ち悪い。





    全くそのとおりで何も言うことがない。





    老後については以下のような意見を述べている。





    老後は誰もが一人の投資家になる。成功の方程式はもはや役に立たない。その時、金融市場について何の知識もなければ、どうやって自分と家族の生活を守れるというのだろう。私たちが投資を学ぶ理由はここにある。






    成功の方程式とは、この前に書いている高度成長期の日本人の人生設計、つまり会社に入って一生勤め上げて、退職金をもらい、年金ももらって暮らすことだ。





    もはや今では、このような生活を送ることができるのは限られた人たちなので、頭の中をアップデートしないと生きていけないからなあ。




    「自分だけの刃を研ぎ澄まそう」では、他ではあまり見聞きしないことを述べている。




    それは、「自分への投資」として、大学院や専門学校へ通って資格を取得したり、語学学校に通うことが流行している。




    それに対して、こうした投資は往々にして無駄に終わることが多い。資格や能力に価値があることのはそれが稀少だからとハッキリ述べている。





    じゃあどうすればいいのよと思う。




    19世紀の経済学者ディビッド・リカードを例に出している。




    リカードのユートピアでは、国家に限らず、企業でも個人でも、誰もが自分の得意分野で頑張れば全員が幸福になれる。社会は弱肉強食の世界ではなく、人々は自分の得意技を交換しあって豊かになっていく。





    リカードは、どの程度の教育を受けたのかというと、初等教育のみで、株式仲買人として働きながら独自の経済理論を打ち立てた。




    橘玲は、人的資本への投資とは、試験で良い点数を取ったり資格の数を増やしたりすることではない。自分だけの刃を研ぎ澄ますことだと述べている。





    今話題になっているからと言ってプログラミングや、中高年に人気の宅地建物取引士や中小企業診断士に飛びつかない方がいいなあ。








    以前、週刊ダイヤモンドで特集を組んでいたのを思い出した。




    学校に通ったり通信講座を受講して、実際に役立ちお金になればハッピーだが、お金だけどんどん羽ばたいていき、本人は低空飛行では困るからなあ。





    この他にもテレビでは到底、言ってもカットされるようなことを述べている。





    「橘玲」節は、今日も世間の建前を斬っていく。

  • 経済に関するエッセイ集。
    普段の生活に関わるようなテーマを1段深く考察しているような話が集められている。一冊の本としての流れではないので散文的になってしまうが、それぞれ面白い内容。
    仕組みやその背景にある不都合な真実を臆することなく淡々と、(誰かの不都合があったとしても)社会全体としてより良い社会や制度にしていくためにどうしたら良いかが述べられている。
    表立って主張すると煙たがられるだろうが、心の内に留めながら生きていくと、よりよく生きられる。かもしれない内容。

  • 人生設計、生命保険、年金、医療、教育、不動産、資産運用、市場経済の罠。必要なのは自らの人生を自らの手で設計する基礎的な知識と技術。2003年に日経新聞で連載した内容プラスアルファ。

  •  かつて証券会社で働いていた時にFPというお金にまつわる資格を取りました。金融はもちろん、保険、税金、不動産、相続など幅広くお金の勉強ができ、知的好奇心を覚えました。

     ところが、本作筆者の橘氏の知識はそんじょそこらのFP知識を遥かに上回ります。こういう人がお客さんだと証券でも保険でも営業マンは逃げていくだろうなあと思いました。それだけ金融商品の本質が見えている人かと思います。
     本作でも医療保険や健康保険、生命保険の話、不動産と教育、年金など、およそ人が生きていれば人生のフェーズのどこかで出会うお金の話を展開しています。

     これまで氏の作品は幾つか読んできましたが、今回読んだ中で一番印象に残ったトピックは年金問題。筆者もこれは早晩破綻すると予測しています。
     そこで筆者が考えるのは、『任意加入・積み立て方式・個人単位の設計を基本とする(P.171)』ものという。未加入問題はもう個人の自由にしましょうということです。
     現在、国民年金は満額納付に対する給付が明確ですが、厚生年金は結局いくらくらい貰えるのかが不明(分かるのかもしれないけど複雑で分からない)だし、曰く『基礎年金の赤字の補填に厚生年金が流用されている(P.52)』ならばそれは払った分より受け取る分は少なくなろうかと思います。確定拠出年金は導入されてしばらく経ちますが、どの程度普及したのでしょうか。年金問題は末恐ろしくて真剣に考えてみる気になりません。。。

    ・・・

     エッセイ形式で綴られるため、個々でなるほど、と思うことがありますが、筆者の考えはちょっとわかりづらいかもしれません。私は筆者の考えはまさに題名にある通り『知的幸福』と『自由』であると考えます。
     家族や親や嫁さんと考えが異なると、なかなかやりたいようにはできません(不動産とか教育とか)。ただ、知らないと呻吟すらできない事実がここにあると思います。保険料が多すぎて困っている方、若くして不動産を購入しようと思っている方、年金が何となく心配な方は読んでみると参考になるかもしれません。考えるヒントになると思います。

  • 人生設計に関するコラム集。もともとはどこかの新聞のコラムらしい。普段あまり意識しない部分について触れられていたので、それなりに新鮮で楽しめた。一方で、なかなか興味が湧いてこない分野だということも再認識した。

    ●The Rules of Happiness 幸福の法則
    ・人生設計 Life Planning
    ・生命保険 Insurance
    ・年金 Pension
    ・医療 Medical Care
    ・教育 Education
    ・不動産 Real Estate
    ・資産運用 Investment
    ・市場経済 The Rules of The Market

    ●Welfare in Japan : What is Right? 正しさの問題

  • 平和すぎた日本では、皆が適度に幸福になれた。
    バブルが弾け、元の世界には戻れないとわかった時、一人ひとりが自立せねばならないが、日本人にはその覚悟はなさそうである。
    国民皆保険も国民年金も、源泉徴収も日本人の思考力を奪っているのではないか。負担増を極度に嫌い、これまでと同等以上のベネフィットを求め続ける日本人。これでは日本は沈没するであろう。個人個人が自立して防衛しなければならない。

  • PART1 幸福の法則
    人生設計
    生命保険
    年金
    医療
    教育
    不動産
    資産運用
    市場経済
    FAQ よくある質問とその回答
    PART2 正しさの問題
    参考文献
    雨の降る日曜は幸福について考えよう

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著者プロフィール

2002年、金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)、『日本の国家破産に備える資産防衛マニュアル』『橘玲の中国私論』(以上ダイヤモンド社)『「言ってはいけない? --残酷すぎる真実』(新潮新書)などがある。メルマガ『世の中の仕組みと人生のデザイン』配信など精力的に活動の場を広げている。

「2023年 『シンプルで合理的な人生設計』 で使われていた紹介文から引用しています。」

橘玲の作品

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