カペー朝 フランス王朝史1 (講談社現代新書) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  •  受験で世界史で学んだ際にフワッとしていたカロリングからカペーへの権力遷移をやっと知ることができた。
     フランス王国とカペー朝の権力伸長は健全な後継が続くと言う奇跡によるものだった。

  • さすがに佐藤賢一さんだ。西洋史の新書のイメージを覆す本だと思う。987年〜1328年まで続いたフランス・カペー朝並びに歴代王について、まるで橋田壽賀子さんのドラマを観るように楽しみながら学べる。ちなみに佐藤さんは地元山形県出身で山形大学教育学部卒でもある。
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  •  世界史を勉強しています。私の先生は、古代ギリシア・ローマが終わると、ゲルマン大移動や十字軍、そして神聖ローマ帝国へとすすみ、あれよあれよとという間に中世ヨーロッパへと進んでしまいました。カロリング朝、カペー朝はノルマン公国はじめイギリス史と併せて流れを理解するうえでは結構重要そうなのに、さらっと触れるだけでした。もう少し知りたいなあと思い購入。

     驚きましたが(失礼!)、非常に面白かったです。
     自分が歴史好きというのはあるかもしれませんが、やはり筆者の腕によるところが大きいと思います。と調べてみると、なんと直木賞作家でもあったのですね。

     さて、私の印象ではカペー朝時代は、日本の戦国時代に似ています。つまり休まることのない戦乱。一方、王朝そのものは約350年に渡り続き、そのすべてが直系男子が戴冠するという奇跡的かつ印象的な王朝であります(徳川と比較するとそのレア度が実感できます)。そんなフランス王について、それぞれの人となりやエピソードを史実と絡めて丹念に描写しています。

     やはり面白かったのは王の女性問題です笑 奥さんが居るのに他の女性を好きになっちゃう(フィリップ1世)とか、奥さんの浮気を疑って夫婦仲が悪くなる(ルイ7世紀とアリエノール)とか、奥さんとデキない(フィリップ2世とインゲボルグ)とか、はたまた奥さんが強すぎる(ルイ8世とブランシュ・ドゥ・カスティーユ)とか、そういう話です笑。
     王様といってもやはり人間ですし、その奥さんも同様。だから、悩むことと言えば今私たちが考えること大方違いはないはずで、お金とか名誉とかはたまた家族とか、あるいは想いを寄せる人とか笑。こういう話が、バックグラウンド含め説明してもらえるのでとても面白く感じます。

     また当時は極々当たり前ではありましたが、フランスを含め、イギリスやスペイン、はたまたドイツの領邦の領主らが、互いの勢力や保身を考慮して婚姻関係を行っていたわけですが、夫々の王家同士のつながりについては、もう少し勉強していきたいと思います。もう、親戚関係の理解がスパゲティ状態になりました笑

     もう一つ、注意を引いたもの。テンプル騎士団の話です。フィリップ4世がテンプル騎士団を殲滅しましたが、その呪いにより、その後4代の王が短命に終わったとか何とか。このテンプル騎士団がフリーメーソンの原型という話もあるようです。十字軍や騎士団の歴史と併せて、キリスト教の亜流の集団についても勉強してみたいと思います。

    ・・・

     そういうわけで総括します。
     この本、かなりお勧めできます。カペー朝というごく限られた範囲を対象にした本ですので大分対象が狭そうに見えます。しかし世界史について詳しくない人でも、本作は人物にフォーカスを当てて書いてあるので興味をもって読めると思います。受験生などテストのために勉強している方にもきっと楽しく読んでもらえると思います。
     もちろん楽しく読めるだけで、人物名や年号は本を読んだだけでは覚えられません(私も速攻名前とか忘れています)。しかし、現在あるフランスの成立要素(民族、イギリスとの関係、ローマ教会との関連)などの大枠の理解を促すのには非常によい読み物だと思いました。歴史に興味がある方にはだいぶお勧めしたいところです。

著者プロフィール

佐藤賢一
1968年山形県鶴岡市生まれ。93年「ジャガーになった男」で第6回小説すばる新人賞を受賞。98年東北大学大学院文学研究科を満期単位取得し、作家業に専念。99年『王妃の離婚』(集英社)で第121回直木賞を、14年『小説フランス革命』(集英社/全12巻)で第68回毎日出版文化賞特別賞を、2020年『ナポレオン』(集英社/全3巻)で第24回司馬遼太郎賞を受賞。他の著書に『カエサルを撃て』『剣闘士スパルタクス』『ハンニバル戦争』のローマ三部作、モハメド・アリの生涯を描いた『ファイト』(以上、中央公論新社)、『傭兵ピエール』『カルチェ・ラタン』(集英社)、『二人のガスコン』『ジャンヌ・ダルクまたはロメ』『黒王妃』(講談社)、『黒い悪魔』『褐色の文豪』『象牙色の賢者』『ラ・ミッション』(文藝春秋)、『カポネ』『ペリー』(角川書店)、『女信長』(新潮社)、『かの名はポンパドール』(世界文化社)などがある。

「2023年 『チャンバラ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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