ロマンス小説の七日間 (角川文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 作中のロマンス小説、本当は翻訳家の主人公が翻訳すべき物語だが、そのストーリーに飽き足らず自ら創作してしまうロマンス小説が、とても面白かった。ただ運命に流されていく女領主ではなくて、自らの決断と行動で切り開いていくのがいいじゃん、と思った。そんな風に創作したいと思った主人公の翻訳家と恋人との関係も、「あるある」だなあと思いながら読みました。

  • 想像していた恋愛小説とちがって、すごく現実主義だなと驚きました。女の人の乙女心って複雑。普段はそんな言葉気休めにもならねーよ、ちげぇーよと思いながらも、すごく不安な時には求めてしまう。結局、創作ロマンス小説の主人公も、あかりも、女として今自分が持てる武器や力を使って、自分の人生を切り開いていく。女って強い。

  • 作中のロマンス小説と、実際の恋愛小説があまりうまくかみ合わなくて、どちらも消化不良な感じが続いたけど、ロマンス小説については、翻訳者が創作した展開がとても興味深かった。

    三浦しおんさんのエッセイ的なあとがきに少々びっくり…小説家と言えども、普通の人間なんだと妙に納得してしまった。

  • だれだってそりゃあ、5年つきあった相手が、30を目前にして突然『会社を辞めてきた。でへへ』とか言ったら動揺するよな。うん。する。してよし。

    そりゃ動揺するわ。。

  • 面白かった!し、読みやすかった!んだけども、結末はどっちの物語も私的にはすっきりせず…
    シャンドスと寝ちゃうアリエノールはあり得ないし、神名と待つのか別れるのかはっきりしない感じもすっきりしない!
    でもそれが余韻になるのかなあ。

    他の方もおっしゃってましたが星間商事株式会社社史編纂室に設定そっくり、かも。
    私はそっちの方が面白かったなあ…

  • 翻訳家のあかりは、イギリス中世騎士と美人な領主のロマンス小説を訳している。その小説とあかり自身の恋愛が交互に出てくる7日間の物語。
    三浦しをんファンの私は、一気読みすることが多いが、今回最初は遅遅として進まなかった。でも、二つの物語の人間関係が分かってくると、俄然面白くなります。
    翻訳の方は、女子は大好きな展開で、キャー、そんな〜、ちょっとエッチ〜、です。あかりが、突っ走って、超訳というか違う展開に筋を変えた体ですが、途中の布石にも読者は引っかかって予想通りの運び。これも作者ので計算なんでしょうね。
    あかりの恋愛ので方は、彼氏の神名(かんな)が、素敵。実際こんな彼氏だと疲れてイヤだろうけど、とても魅力的です。
    しをん様の自虐入りの長めのあとがきも楽しめます。

  • おもしろかったなぁ。
    翻訳家であるあかりの日常と、翻訳中のロマンス小説のストーリーが交互に進む、今まで読んだことのないスタイルがとても新鮮で、一冊で二つの物語を読んでいるようなお得な気分にもなれた。

    現実世界でのあかりの気持ちの浮き沈みが小説の翻訳に影響し、勝手にどんどん創作してしまい自分でも止められない。
    読んでいるこちらまでどこか後ろめたいような気持ちになり、これからどうなっていくんだろうとスリルも満点。

    どちらのストーリーも中盤あたりから勢いを増してきて、このまま続きが読みたいというところでもう一方の物語へ移り、またそちらに引き込まれていったところでもう一方へ移る、といった具合でだいぶ弄ばれました。
    現実のどこかライトな感じと小説のどっぷり感との重量差?も良かった。

    登場人物のキャラがみんな濃く、リアリティを感じる話というよりは自らそっちの世界に入っていって読んだ感が強かったけど、あかりの「共に過ごした時間の長さと、互いへの理解の深まりとが、必ずしも比例しないのはなぜだろう」という言葉にはうんうんと共感した。
    時間ではなく過ごし方なんだろうなぁ。

    よくよく見たら15年以上も前、20代のときに書いた作品のよう。
    あとがきも面白く、三浦しをんさんをますます好きになりました。

  • ふたつの物語を一度に読めたと思えば得した感じという本編はさておき、著者によるあとがきがとってもよかった。三浦しをんさんの人柄がでていて自然体の文章という気がしてとても好感が持てた。

  • 再読

  • ロマンス小説の翻訳家と、その彼氏を中心としたドラマ。突然会社をやめてしまった彼氏と、その周辺のゴタゴタに加えて、作中作で翻訳中の作品も紹介されるのだが…。

    ぬるい。ぬるすぎる。
    甘いってわけでもなく、とにかくぬるい。作中作の内容が途中で展開してくるところがポイントなものの、それが「長い」と感じさせられてしまうので、やっぱり出来がイマイチなんじゃないでしょうかね。

    で、現実の方も事件らしい事件が起こらないのが三浦しをんらしいところかもしれない。でもまあ、もうちょっと悩んだり落ち込んだり、葛藤があってもいいんじゃないでしょうかね。「こういう作品は、ヒロインとヒーローがすぐケンカをして」というのであれば、もっと喧嘩してややこしい話になっても良かったんじゃないですかね。

    「あとがき」のほうが面白かったりしてね。ダラダラでしたけど。

    電子書籍で購入したのだけど、必要ない目次で読み始めようとしたら五章に飛ばされたりしてイライラしたり。

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著者プロフィール

1976年東京生まれ。2000年『格闘する者に○』で、デビュー。06年『まほろ駅前多田便利軒』で「直木賞」、12年『舟を編む』で「本屋大賞」、15年『あの家に暮らす四人の女』で「織田作之助賞」、18年『ののはな通信』で「島清恋愛文学賞」19年に「河合隼雄物語賞」、同年『愛なき世界』で「日本植物学会賞特別賞」を受賞する。その他小説に、『風が強く吹いている』『光』『神去なあなあ日常』『きみはポラリス』、エッセイ集に『乙女なげやり』『のっけから失礼します』『好きになってしまいました。』等がある。

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