春琴抄 [Kindle]

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著者 : 谷崎潤一郎
  • 新潮社 (1951年2月2日発売)
  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (106ページ)

春琴抄の感想・レビュー・書評

  • 谷崎潤一郎さんの中編である大変に面白かった電子書籍、スマートフォンで読了。明治から大正昭和にかけての大阪の豪商のお嬢さん「春琴」とその奉公人にして事実上の夫だった「佐助」の物語です春琴は美貌で音曲の才があったしかし少女期に視力を失い全盲になった。奉公人の佐助が春琴の琴三味線の稽古に手を曳いていく役に就きます以降、結婚はしないものの、男女の仲でもありながら、ひたすら尽す佐助と尽くされる春琴のふたりの歳月が描かれます春琴は決して優しい訳ではなく、厳しい一面もあります何しろお嬢様です両親の計らいで三味線琴の師匠になります佐助もその弟子にして奉公人にして夫、として一家を構える粗筋としては春琴が恨みをかって、顔面にやけどさせられる春琴は醜い顔を佐助にだけは、どうしても見られたくないと言います佐助も見たくないと思います。そこで佐助は自ら目をつぶす・・・というお話ですね。

    自ら目潰し、という事件が有名ですが、それだけじゃなくて、すごく面白かったです何よりもまず文章が美しい気持ちいい独特のリズムがあります何とこの中編小説は、あるべきところに句点がないのです此れは凄い、と思えばたまにあります其の基準はさっぱり分からず此れはある種のコトバの実験小説なのであります要するに、この文章のような文体。だがしかし、物凄く内容にマッチしている気がします其れに加えて地の文ばかりですつまり体裁としては、「かつてそういう二人が実在して、それについて聞き書きを書いておくよ」という文体なのです所謂小説物語風ではなくて、一種歴史書風に書かれている其れもこれも何とも言えずに美しく、はまっています。

    解説としてしばしば批評家に語られ、また谷崎本人が何かで語っているのは晩年春琴が心が折れてきて結婚やふたりの間柄について軟化したときに佐助が断固として自分のことは下僕扱いである、というかたちにこだわったということです其の事からある種のマゾヒズムという観点で論じられることが多いようです確かにそれはそれで正しいのでしょうが其れはこの中編の魅力のたった一部分でしかないのです証拠に僕は前半から文章のリズムと味わい、そして春琴という障害者すなわち世間の生産活動からはじき出された立場の生活営みへの眼差しがとても興味深く面白く感じました兎にも角にも谷崎という人の筆にかかると生産的社会的な「健全なる活動」からもっとも外れたところのヒトの営為というのがとても味わい深いのです其のような場所にこそヒトのヒトたる美しさが宿っているのではないかという作者の眼差しを感じます。

    其れにつけても日本語が美しいです加えて此れは本質ではありませんが大阪市中を舞台としているがゆえ現在大阪に暮らす自分としては感じるところ多く楽しめる読書となりました又どうやらこの小説には遠いモデルとなる芸人さんがいた模様ですが、ほとんど100%、そんな人はいなかったのだけど実在の人物について書いているような体裁に書かれた小説だそうです。脱帽。

  • 日本語がとことん美しい!

    愛する春琴のことを語りながらも、話の実の主人公は佐助だ。彼の、それこそ盲目的な愛と忠誠心は、理解こそできないけど、そこまでいくと、尊敬しなければならないな。

    「春琴抄」の日本語に魅せられ、谷崎潤一郎の他の作品も読んでみたけど、やっぱりこれが私的には、傑作。

  • 佐助の重すぎる愛に困惑。

    春琴は色々と酷い目に遭ってるが、性格が高慢かつ清廉すぎて、佐助以外から同情されないところがいい。
    たぶん佐助も深層心理の中ではそれを分かってて春琴を甘やかした節あるよね。

  • 高校生の時に読んだが、あらためて読んでみた。文体は古く句読点改行も少なく、最初は読みにくいと思うが、すぐに文章のリズムが気持ちよくなる。さすが文豪。「この世に生まれてから後にも先にもこの沈黙の数分間ほど楽しい時を生きたことがなかった」という文章から発せられる自他同一となった佐助の喜びがなによりも伝わってくる。マゾ的な感情とは究極は崇め奉るものと一体になりたいというエゴイズムなのかもしれない。究極の愛とか陳腐なことは言いたくない。男と女の一体となるための葛藤の物語だと思う。

  • 今ならわかることがある。

  • 幼児の春琴がかわいい。この小説のことを理解できないっていう感想があるらしく逆に驚いた。なんで理解できないのか理解できない。足を抱きしめてぬくぬくするところがとっても素敵だった。

  • 殴られようと罵倒されようと一人の女性を自分の中で絶対的な美として愛しむ気持ちに共感できた(できてしまった

  • 2015年に読了。改行なし、読点はほとんどなし。読み応えはあり。

  • 春琴と彼女に仕えた佐助の生涯とは。「文章読本」を読んだ後に読むと尚更感慨深い。最小限の単語でスリムにまとめ上がっており、変則的な文章に関わらず予想以上に読み易かった。直接的な心理描写がなくとも、二人の様々なエピソードを通じて、互いへの深い愛と信頼が伝わって来る。智恵に溢れる文章と隅々まで感じられる技巧に脱帽。作者の他の作品も早く読みたい。

  • 2016.1.10
    青空文庫で読めるようになっていた
    すごい時代

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