月と蟹 [Kindle]

著者 :
  • 文藝春秋
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感想・レビュー・書評

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  • なんで道夫さんはこんなにも少年期の心の変容を描くのが上手いんだろう。
    心理学でもやってるの?って思うくらい。

    序盤~中盤は情景描写多めでなので慣れるまで読むのがちょっと大変。読んでるうちに「あれ、今なんの話だっけ」となって読み返すのを何度かやった。
    ヤドカリの描写もかなりグロめで生理的にキツい。
    が、終盤のスピード感は凄まじく、少年たちの転がり落ちていく先が本人たちにも見えていない様がハラハラする。

    あの水溜まりではヤドカリは神ではなく「彼ら」で、ヤドカリを殺す彼らが「神」であり「大人」なのだろう。
    ヤドカリを殺す儀式はある種自傷行為のようにも思えた。

    『向日葵の咲かない夏』でも感じたが、道尾秀介さんの作品は現実味のないグロテスクな話に見えて、誰しも身に覚えのある生々しい少年の心理が見事に描かれている。

  • あまりこういう内容の本は読んだことなかった。特に大きな出来事が起こる訳ではなく、人に言えない秘密を抱えた主人公達の話が続いていく。全体的に暗いんだけど読む手が止まらない。なんだろうこの感覚は。主人公が子どもだからこそ、どんな行動に出るかわからない危うさがあり、大きな出来事がないけどハラハラしてクライマックスは胸が締め付けられる思いで読んだ。


著者プロフィール

1975年生まれ。2004年『背の眼』で「ホラーサスペンス大賞特別賞」を受賞し、作家デビュー。同年刊行の『向日葵の咲かない夏』が100万部超えのベストセラーとなる。07年『シャドウ』で「本格ミステリー大賞」、09年『カラスの親指』で「日本推理作家協会賞」、10年『龍神の雨』で「大藪春彦賞」、同年『光媒の花』で「山本周五郎賞」を受賞する。11年『月と蟹』が、史上初の5連続候補を経ての「直木賞」を受賞した。その他著書に、『鬼の跫音』『球体の蛇』『スタフ』『サーモン・キャッチャー the Novel』『満月の泥枕』『風神の手』『N』『カエルの小指』『いけない』『きこえる』等がある。

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