日本でもサービス中のオンラインゲーム、「アーキエイジ」の原作小説第3弾。電子書籍限定配信本です。
主人公、ジンの少年期と、もうひとりの主人公というかヒロインであるキープローザの物語が展開されます。
ジンが人生の師匠と出会い、首都を目指す物語、キープローザが父の道の後を追い、首都を目指す物語の二部構成といったところでしょうか。
ルーンの子供たちもそうだったけれど、この物語も決して明るくはなく、むしろどちらかというと暗いです。
本の最初に、「最初の遠征隊」12人によるお話が収録されていて、それがたまらなく嬉しかったです。私が読みたいのは彼らのお話であって、なぜ彼らの話がメインじゃないのかと思うことしきりです。
そもそもこの第三巻、個人的には最初が最も面白くて、ジンのパートも面白い、けれどキープローザのパートは、ちょっとのめりこめなかったというか、首をかしげてしまったのですよね。
なんだか、ジョン・ミンヒさんらしくないなあと思ってしまったといいますか。
あと、いくらなんでも翻訳が適当すぎるのが気になりました。表記の揺れとか、明らかに日本語としておかしな場所とか。
あと、物語の主役であるキープローザにいまいち感情移入できなかったのが残念です。これはむしろキープローザのおばあさまの物語といった風情ですよね。おばあさまとデニーは、いい味を出していました。あとジェイム(孫)が好きです。
キープローザはどこが慈愛なのかが全然わからなかったです。首都に行って変わるのでしょうが、だとしたら首都に行ってからのお話が読みたかったです。
キャラや設定は、さすがに素晴らしいです。最初の遠征隊12人はとても魅力的だと思いますし。なので、いろいろな意味でとても惜しい作品だなと思ってしまうのですよね。でも、わたしは嫌いじゃないので、機会を見つけて最後まで読みたいと思います。