天使の分け前 [DVD]

監督 : ケン・ローチ 
出演 : ポール・ブラニガン  ジョン・ヘンショー  ガリー・メイトランド 
  • 角川書店
3.32
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・映画
  • / ISBN・EAN: 4988111245052

感想・レビュー・書評

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  • まず、私はウィスキーが好きなので、ウィスキーに関する映画というだけで、中々好感を持ってしまう。

    この映画で果たすウィスキーの役割はグルメの役割ではなく、田舎の不良のしがらみから抜けられない悪循環に陥っている主人公を救うための役割として登場する。
    そして天使の分け前というタイトルにそれはつながる。

    ケンローチ監督、SweetSixteenもそうだったけど、やさぐれた、ちっぽけな不良少年達の描き方が絶妙。主人公の周りの世界が、どうしようもなく絶望的で。希望が持てなくあえいでいることを描きだす。

    そのリアルな痛々しさが背景にあるからこそ、この物語の最後の救いのような部分が活きてくる。

    主人公の周りの役との関係性がやはりよくできていて、有機的に主人公の関係を描き出せている。

  • ケン・ローチの作品としては異色かも。
    徹底したリアリズムで底辺の人のささやかな喜びと、貧困から抜け出せない苦しみを描く人だと思っていたので、ちょっと裏切られた気がする。

    前半の機能不全の家庭に育ち暴力とドラッグにもまれて育った主人公と、奉仕活動をさせられている仲間たちはイギリス(スコットランド)の底辺を体現しており、彼らを愛情込めて描いているあたりもさすがケン・ローチと思ったのだが、意外なハッピーエンドで、これでいいの?と思った。

    主人公はちょっとナインティナインの岡村に似ていた。

  • ウィスキーの本に出ていてずっと観たかった映画。
    登場人物が前科者の人ばかりということもあり、前半がとにかく暗い。暴力と罵詈雑言で気分が暗くなってくる。
    最後は恩返しもして少しいい話になるが、結局盗んだ結果やんとか、逃げただけやんとかポジティブな終わり方でもなかった気がする。
    途中の蒸留所の風景がステキで、みんな美味しそうにウィスキーを飲んでいたのが印象的だった。CM映像が一番良かった。

  • 最初から4本必要だったのはハリーの分を含んでたからってのが良い。

  • スコットランドのグラスゴーで暮らすロビーは
    暴力に明け暮れる青年。

    暴力事件を起こし社会奉仕活動を命じられることになるが
    そこで指導員のハリーと出会うことで徐々に正しい道へと
    進んでいくようになる。

    ロビーの隠れた才能を見つけたハリー。
    貧困と暴力の連鎖から抜け出すための一発逆転。
    ささやかな人生に幸あれ!って感じでしょうか。

  • ケン・ローチ監督。天使の分け前とは、ウィスキーが樽の中での熟成中、年に2パーセントほど蒸発するその減り分のことを言う。

    主人公は、喧嘩っ早く、車の止め方が悪いというだけで暴行を働いた罪で捕まる。懲役は免れたけど、ケンカ仲間からは狙われている。もしまた暴力事件を起こすと刑務所という状況だ。子どもが出来たことでなんとか普通の生活をしたいと思っているが、不良グループに狙われている。意に反してまた暴力事件を起こすという悲劇のドラマかと思ったら、ウィスキー泥棒の話になる。どうあがいても負の連鎖から抜け出せないという話でも成りなっている作りだ。社会奉仕活動をする少し間抜けな仲間や親身に世話をする社会活動の監督ハリーのキャラが立っている。

    傷害事件の被害者の状況がかなり悲惨であるとか、間違えて他の人の単車を壊ししまって平気とか、メインの話のウィスキー窃盗も立派な犯罪であるとか、一方的にキレイごととしては描いていない。彼に批判的な見方もできると思う。
    天使の分け前で、ハリーに盗んだ酒をあげということでいい話にしてしまって、終わりよければ全てよしである。少し脱力系のイギリスらしいいい話でした。
    これはアマゾンプライムで見る。アマゾンプライムがなかったらまずは見なかった作品だろう。アマゾンプライムの存在に感謝。
    - カンヌ国際映画祭、審査員賞

  • ☆☆☆☆
    ロビーと彼の周りにいる仲間たちの関係に憧れる。
    ふと私の人生を振り返ると、
    大人になって“社会”(小さな意味での)にでるとそこに適応して、成功していくこと、あるいはそこで生計を立てていくことに四苦八苦するベルトコンベアに乗せられて、“幼なじみ”や“仲間”は、社会での苦役をねぎらい合う存在になってしまっていた。

    私が失った温かさが漂う映画。

    このスコットランドのどうしょうもない仲間たちは、確かに犯罪を犯しても反省もしないし、まともに働くこと、にではない別の方法で、どうにか生きていこうという方法を探そうとする。
    でも、そんな彼らからしたら、我々日本人のほうが“変”に映っているに違いない。
    勤勉であることが美徳としてフレーム設定されているために、自らが絡め取られ、ベルトコンベアから自ら降りる選択ができなくなっている人々。そうして、そういう人々が集まって作った社会、そこには人々が発する観念が底流に流れていてビリーたちが住む世の中である『豊かではないけど、喜び溢れる』居場所はない。

    岡村隆史似のビリーも妻も子どものルークも前途多難だけど、彼には安住はない代わりに、強く、深い幸福感は約束されている。

    2017/03/25

  • (The Angels' Share; 2012/英・仏・ベルギー・伊、106min.)

    舞台はスコットランドのグラスゴー。労働者階級の青年の非行/更生/社会格差と失業問題といった社会問題に、スコッチ・ウイスキーがエッセンスとなって話が進んでいく。
    結局は犯罪行為なんだけどなぁ.. 倫理的には「良い」とは言い難いのだけれども、味わい深い人間味と&いろんなお国事情が垣間見れて楽しめた。

    ハリウッドでは作れない映画。

    2012年
    - カンヌ国際映画祭、審査員賞(ケン・ローチ)

  • パッケージにあった「ウイスキーの才能に開花して」みたいなのにたどり着くまでの「僕たちこんな境遇なんです」が長いので、なんだかダマされた気分ではあったが、「グッド・ウィル・ハンティング」に「トレインスポッティング」と「フーリガン」を足して割ったような感じで地元の若者を描いた映画としてはなかなか面白いものでした。仕事を得るには犯罪を犯さなきゃならないのね、大変だね。
    周りの助けてくれ方も含め、青年は彼女と子どもができると変わるのだ、というわけですね。ロマンですねぇ。

  • 問題を抱える憎めないバカ達が進める非効率な話が面白い。

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著者プロフィール

映画監督。
1936年、イングランド中部・ウォリックシャー州生まれ。「キャシー・カム・ホーム」で初めてTVドラマを監督、『夜空に星のあるように』で長編映画監督デビューを果たし、『ケス』でカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭グランプリを受賞。その後、世界三大映画祭などで高い評価を受け続けており、カンヌ国際映画祭では『麦の穂をゆらす風』『わたしは、ダニエル・ブレイク』の2作でパルム・ドールを受賞。

「2020年 『家族と社会が壊れるとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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