暗いところで待ち合わせ [Kindle]

著者 :
  • 幻冬舎
4.09
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本棚登録 : 1118
感想 : 65
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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (211ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 殻に閉じこもった2人が不思議な出会いによって少しずつ心を開いていく。

    お互いの存在がいつしか心の中で大きくなっていって、自分が感じた相手の良い部分をみて噂や偏見に流されないところがとても素敵な関係だと思った。

    表紙はインパクトあるけど、物語自体はゆるやかに流れていくんだなーと思った

  • ああ、こんなに閉じこもってはいけない!と言ってしまうのは現在の私。解るんだなーと思うのは幼き若い頃の私。遠き昔、人を避けてた事があった、あったっけ。

    今だって群れるのは嫌い、けれども楽しく認め合うのも大好き。人と付き合うのはとてもスリルのあることだと思う。めんどくさいこともあるし、考え込むような難しい場面もあるが、どうしたら他人といい付き合いが出来るか、考えるのは前向きで、力強い生きがいとなる不思議。

    つきあい下手な二人の若き男女が一緒に生活することになってしまったが、その結果思わぬ拾い物をすることになる。本間ミチルと大石アキヒロが知り合った場面は異常である。視覚障害すなわち目が見えない人が一人暮らしをしている家に、殺人事件の犯人として追われて、忍び込むアキヒロ。

    私は「網膜はく離」ですんでのところで盲目になる経験をしている。だから見えない人の感覚はものすごくよく知っている。気配は消せない、風のそよぎのような気配はものすごく重要だ。だから忍び込まれたミチルはすぐわかったと思う。そこから物語りは始まる。

    孤独はきびしい。常に対象を求める。研ぎ澄まされた感覚で侵入者を唯々諾々としてしまうヒロインに運命を感じる。誰かを持っていたのかもしれない、それが恐ろしい殺人犯が逃げ隠れにきても。

    その忍び込み犯とのやりとりがスリルでリアルである。けれどミステリーとしてはすぐわかってしまうかもしれない。(私はすぐ解かってしまった)でも、このような場面で人の孤独を描き出すアイデァはやはり斬新だろう。

    あまりにも静かなる、感動の結末が希望を垣間見せる。

  • 視点が斬新であった。 今までにないドキドキ感を感じた。 勇気と思いやりと、暖かさを感じた。 物語の時期が冬だから、冬に読んだら、さらに面白いかも。

  • 3.5

  • 目の不自由な女性が暮らす家にとある殺人事件の容疑者が居座って同居生活を送る、というお話でこれだけ聞くとかなり無理がありそうな設定に思えるのですが、不思議なことに読んでいる間は細かな瑕瑾はあまり気にならなかったです。なんだかんだよくできたミステリーだなあと思う一方で、乙一だったらこのレベルの作品だったらさらっと書けちゃうでしょ、みたいな意地悪な思いも頭をよぎったことは告白しておきます。アキヒロとミチルの初めての交流シーンなんかはすごく切なくていいなあとは思うんですけどね。乙一作品でよくある主人公が自身を自虐的に振り返るという行為も、個人的には少々飽きてきた感がありました。
    ところで今回読んだのはKindleではなく紙の本(幻冬舎文庫)なのですが、ブクログの検索結果に出てこなかったのでKindleのほうに感想をあげています。ちなみにAmazonに出ている本作の表紙はえらく不気味なホラーテイストで何でまたこれを・・・といった具合なのですが、たまたま購入した丸善ジュンク堂オリジナルカバーは漫画家のいくえみ綾氏のイラストで、こちらは作品の雰囲気を上手く引き出していると思います(半分ジャケ買いしたくらいいい感じです)。

  • 映画を見てから原作を読んだ

    映画は絵画みたいに一つの絵の中で登場人物だけが動く、という印象を受けたけど
    原作は当たり前だけど登場人物の心の内が語られていた
    二人の間に滲み出す、緊張感から安心感に変わる過程を、言葉少なに空気感と映像の温度で表現したのだなあと、原作を読んだからこそ気付いた

  • 表紙とタイトルでホラー感がありましたが、読んでみるとホラーではなくどちらかと言うと感動系でした。

  • タイトルが上手。
    なんだろうって手に取りたくなります。


    「この暗闇は永遠に続く。そのことをミチルは、さほど悲観しなかった。暗闇は暖かかった。それに包まれていると、世界には自分しかいないように思える。」


    物語の導入部にあるこのフレーズに安堵した。
    不自由を並べた辛い話なのかと思ったらそうでもなさそうだ。
    もしかしたら暗闇は、押入れに隠れたり布団にもぐって丸まって泣いていた時と同じ、甘く切ない独りぼっちの感覚なのか。玄関の扉さえ閉じていれば柔らかなシェルターのようなものなのかもしれない。母の胎内のような。
    何度か出てくる居間のストーブの赤い炎の描写が象徴的。

    家の中の「静・暗・暖」と外の世界の「騒・明・寒」。読みながら音も温度も感じられた。


    物語は終盤であっと驚く展開になるのだけれど、暗闇の心地よさを共有していた私としては、ちょっとチープな感じがして残念。




  • 表紙と内容のギャップに驚いた作品。読みやすかったが途中で犯人が誰なのか気づいてしまった。ミステリーというよりは不器用に生きる人間の弱さ歯がゆさが描かれていた。もう少しページのボリュームがあってもよかったのかな…少し物足りなかった。

  • 視覚障害をもつ女性とそこに逃げ込んだ
    指名手配中の犯人のはなし。
    中盤まで話がなかなか動かないのが
    ちょっとイライラした(笑)
    けど会話をしなくても空間を共有
    するだけでお互いがじょじょに打ち解け
    あっていく様子がほっこりしました。
    二人が初めて会話するところは
    ほんとによかった。初めてなのに
    すごい違和感なかった。
    だから終盤もっと二人の会話を楽しみ
    たかったんだけども。それが物足りなかった

著者プロフィール

1996年、『夏と花火と私の死体』で第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞しデビュー。2002年『GOTH リストカット事件』で第3回本格ミステリ大賞を受賞。他著に『失はれる物語』など。

「2022年 『さよならに反する現象』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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