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感想・レビュー・書評
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木村政彦対力道山を柔道側から綴った傑作『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』は、ワタシがこれまでに読んだ本の中でまちがいなくベスト3に入る。その本の著者が、自身の北海道大学柔道部時代のことをモチーフに書きあげたのが本書だ。
本書のタイトルにある「七帝」とは旧帝大七校のことで、ここで行われる柔道は「高専柔道」と言われる寝技中心の「待った」がかからない柔道である。北大柔道部に捧げた日々を描いた本書は、もちろん青春小説として読むこともできるが、それで済ますにはあまりに重い。暑くむさくるしく、狂気を帯びた崇高ささえ感じるこの圧力に、ときに言葉を失い、ときに涙腺を緩ませる。多少展開が雑なところもあるが、この本全体から伝わる力がそれを補って余りある。
本書を読んで、著者が『木村政彦は…』を書いたその理由が分かり、そしてその大著を書きあげた気力・体力は、この北大柔道部時代に培われたものであることを確信した。
kindleの角川本セールでわずか540円で購入したが、著者に申し訳ないと心から思う。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今「柔道」といえばオリンピックで観られる立ち技中心で、一般視聴者にもわかりやすいようなルールです。 ただそれ以前に日本には寝技中心の泥臭い柔道(高専柔道)があったのです。。 立ち技はダイナミックさと一発勝負的などんな強者も油断したら負けるという展開があるのに際して 寝技中心の高専柔道はひたすら地味で苦しく「どんな初心者でも鬼のような努力した分だけ強くなる」という柔道。
主人公はこれに惹かれ、北海道大学に入り、学生柔道の団体戦(七帝戦)で個性的な仲間/先輩と共に苦しい練習を乗り越えて戦っていく姿を描きます。
ものすごく苦しい練習描写が多く、途中で飽きるのですが、それでも大学4年間を描くものかとおもいきや。。。。主人公が「練習次第で必ず強くなる」という高専柔道に惚れ込んだのも個人的に理解できますが、それでも定期戦で全然勝てなくて思い悩む姿も対照的です。
これこそが人生・・・ 成功した人はある程度努力してますが、努力したからといって必ず成功するわけではないのです。。。。。 -
「七帝柔道記」増田俊也著 読了。熱い。熱すぎる。そして二年目の七帝戦で終わってしまう物語。主人公(増田)が靱帯切って離脱中なのに。つづきを読みたい。おすすめ。
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壮絶なスポ根です。読み手までが息苦しくなるくらいの、主人公の苦行の中から生まれる物語です。
雰囲気としては、小林まことの名作「柔道部物語」を思い出すものがありましたが、熱量が全然違いました。とにかく壮絶で熱い!
しかも、自伝的小説という性質からか、努力は必ず報われる、みたいな安易な展開でないのも何ともやるせなく、独特の世界観を形成しています。
ただ気になるのは、これは続編があるんですか??
これで終わりにするには、あまりに寂しいというか、結末らしい結末はなかったような。
ということで次巻に期待です! 信じます! -
ちょっとでも「あの頃、辛かったけど楽しいこともあったなぁ〜」っていう体育会系な思い出を持つ人なら読むべき!