- Amazon.co.jp ・映画
- / ISBN・EAN: 4988105102361
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
親に対する子供のささやかな反抗を通して、グランドホテル方式で描かれる長屋の住人の人間模様。とにかく子供の反抗の仕方が可愛く憎めない。大人と子供の対比を用いた佐田啓二の台詞が些か教訓的すぎるきらいはあるが、無邪気な子供の可愛さ、しょうもなさが全編をおかしみに満ちたものにしている。そして前作『彼岸花』に続き、湯呑みをはじめとした生活に溶け込むには目立ちすぎている美術品の数々とただ只管な赤という色彩への拘りがアグファカラーのフィルムに焼き付けられており、観ていて飽きない。
-
小津映画を一言であらわすなら、「既視感」だと思う。
本作も例にたがわず、「麦春」のシーンが響いている。二人の兄弟が両親に刃向かう場面。
しかも、どちらも弟くんがじつに良い味を出している。
口をきかないと決めた兄にならって、学校でも口をきかない弟くんの、とてもユーモラスな演技が最高。
しかもユーモラスなだけじゃなくて、なんというか、そこに存在していることの懸命さに胸が締め付けられる思い。 -
小津安二郎には珍しく、とてもユーモアに富んでいます。これはなかなか面白い作品です。
抑圧された子どもによる大人へのささやかな抵抗を描いていますが、子どもの要求は「テレビを買って欲しい」というささやかなものだし、彼らの抵抗は「口をきかない」というだけのささやかなもの。子どもたちの姿はほんと微笑ましいです(おならはやりすぎだと思いますが)。
「世の中は無駄なことがあるからいいんだ」という佐田啓二のセリフはおそらくこの映画における一番のメッセージなのですが、それを体現するがごとく、駅のホームで延々と無駄な会話するシーンが見事でした。ここにもユーモアがありますね。
ちなみに、BSでの放送を見たのですが、デジタルリマスターのよる鮮やかな発色はとても印象的でした。 -
TVが欲しくて無言作戦を続ける子供たちを中心に据えて、新興住宅街の人間関係と、何気ない日常会話の存在意義をユーモラスに描いた作品。
途中の意地悪い近所のおばさんたちの態度に、日本人の村社会の嫌なところを見た思いにさせられてしまったが、無言を貫く子供たちが一方で熱中している"おなら遊び"のバカバカしさと、作品に一貫して満ちている子供への温かいまなざしに救われる思い。ラスト、駅での英語教師と意中の叔母の、不器用な日常会話にまたクスリとさせられる。 -
BSシネマにて鑑賞
-
1959年制作の古き良き日常が描かれています。文化住宅の風景が懐かしい。向こう三軒両隣、子供の世界ではお隣同士の行き来が当たり前、回覧板や町会費、汲み取式の便所、白黒テレビや洗濯機がまだ珍しい時代のアイコンがノスタルジーを感じさせます。
-
普通の平和な世界。
住宅地でお隣さんが大きな家族みたいな昔の平和な日本の世界はいまはどこにもないんやなぁと思ってしまった。
おでこを押しておならを出す子供たち、小さい弟が去り際にアイラブユーって言うのが最高に可愛い。
笠智衆ってうまいか下手かわからへんなー。どれも同じなんやけど、雰囲気あるから、やはりすごい俳優なのかもしれないな。佐田啓二が男前過ぎるのと杉村春子と東野英治郎しかわからないのでもう少し昭和の俳優も分かるようになりたい。 -
60年前(あら舞台は八丁畷なんだ!)の映画です。
白黒版とどちらを見るべきか悩みましたが、この映画はリマスター版のポジ調で見てよかった。
細々とした、大事の火種な出来事がぽつぽつ発生するのですが、ポジ調で見ると、おだやかに安心して見れました。
やっぱり小津安二郎のローアングルは、とびきりクールです。