ビブリア古書堂の事件手帖4 ~栞子さんと二つの顔~ (メディアワークス文庫) [Kindle]

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感想・レビュー・書評

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  • 栞子の母親が現れ、江戸川乱歩の幻の小説があると思ったがなかった。だが母はあるはずだと本を探しに旅にでてしまった。江戸川乱歩の小説を読みたくなった

  • KindleUnlimitedで読了

    久しぶりのラノベ。3までをやはりUnlimitedで読んで、そのままになっていた。今回はシリーズ全巻が対象になっていて、それでは、と読むことに。本をよすがに、持ち込まれた謎を解くというのは、野村美月さんの『文学少女』シリーズと、本作『ビブリア古書堂の事件手帖』、ちょっと色が違うが、雰囲気の似た作品なら、米澤穂信さんの『氷菓』シリーズあたりが思い浮かぶ。本についての知識が縦横に開陳される楽しさと、ブッキッシュで美しいヒロインの魅力を味わうなら前の2作。青春ドラマそのものを楽しむなら、『氷菓』がいいと言う方も多いだろう。私は、業の深いことに、前2作を深く愛している。さっさとこのシリーズも読み切ればよかったのだが、美味しいものをこっそり隠しておいて、そーっと食べているような楽しみだった。

    北鎌倉の駅前にある、小さな古書店『ビブリア古書堂』の店主、栞子さんは、若く儚げで人見知りな美人。主人公は、その栞子さんに思いを寄せる、五浦大輔くん。古書の知識は素人だが、彼女が本について語る時の情熱を良いなと思っている。目下、絶賛片思い中。栞子さん以上の読書マニアである、出奔した母あてに、風変わりな古書の調査依頼が舞い込んだ―。

    今回の事件を解く鍵は『江戸川乱歩』。惜しげもなく乱歩作品の出版や内容にまつわる知識が語られる。もう読書好きなら最高だろう。ポプラ社の児童書から『D坂』『二銭銅貨』『人間椅子』『押絵と旅する男』…あれやこれや。

    作品知識の活かし方もすごいけど、ギミック考えたり謎とその答えを用意したり。物語を創り出した作者、三上さんの考証や勉強ぶりも、本当にすごい。

    先ほど比較した、野村美月さんが、感性のきらめきや読者としての『読みの腕』で作品を盛り上げ、心情こまやかな小説世界を作られるとしたら、三上さんは、研究者のように丹念な文献調査をし、好きな作品を個人の『好き』から一度解き放って、小説を構築する礎にされている。そのどちらの方法も、素晴らしいし、どっちがどうというものではない。どちらもすごくすごくすごーく!
    たくさん読んで、好きな作品、いっぱいお持ちなんだって解る。それって本当に尊敬できるし、よく読まない人がよく書けるはずもない、って納得がいく。

    三上さんが、きちんとした一流の古書店に協力を仰いでおられるのも、乱歩の資料も正確を期して調べてらっしゃるのも。丁寧な参考文献リストをつけてらっしゃるのも、本当に好もしい。ここまでする作家さん、そうそうおられないもの。

    作品のお話に戻ると、このシリーズ、ラノベの中では主人公たちの年齢が高くて、新文芸寄りの設定なので、浮つき過ぎていないのも良いところ。乱歩マニアだった恋人の残した暗号を解いてと依頼してくるのも、怜悧だけど中年の女性で、ワケアリの関係だし。ただ、どんな事情のカップルを描いても、一本筋は通っていて、人生正解だけが通るのではないが、真剣なものだけは残る、という姿勢が感じられて、不潔でないのが良いところ。

    シリーズ最初で栞子さんとひと悶着あったひとり書房の井上さんが、意外にも良いところを見せるし…。そして、前作まで、その影がチラチラしていた、栞子さんの母、篠川智恵子もやっと登場する。

    このひと、すごくいい女だし、ちゃんと子どもたちにも愛情はある。夫も離婚はしていない。死別だ。おそらく両親の間にも、まだ特殊だけど絆はあった。ただ、普通の『奥さん』『お母さん』という枠に収まる人でない。子供持たない方が、子供に迷惑かけずにすむタイプだ。

    恵美子にしてみれば、栞子さんの成長は愛おしく誇らしいだろう。彼女が成長すればするほど、商売敵になる確率は高いし、ちいさなビブリア古書堂の中に閉じこもっているより、世界中で良書奇書を扱う相棒にしたいのも無理はない。

    大輔くんは、栞子さんと合うかもしれないけど、彼女を『普通の世界』に留めてしまうだろう。それはそれで幸せだろうけど、智恵子さんは、その才能を惜しいと思っていそうだ。結婚の先輩としても、『どこでつまずきそうか』嫌というほど解っているだろう。大輔くんも、篠川夫も、普通の人だから。そうなると、途中で上手くいかなくなる悲しみ、家庭を捨てて、古書を追って出奔するというバッドエンドを、辿らせたくないのかもしれない。フル物語の、知恵ある謎の魔女みたいだ。

    大輔くんも私から見ると、ちょっと圧が強くて、正直、ちょっと亭主ヅラを大きくしそうで、友達で終わっておきたいタイプのひとなのだが…いい人なのはいい人で。栞子さんはきっと、好きなんじゃないのかなあ…。ま、小説のヒロインの男見る目にまで、口出しても仕方ないけど…どうせならふたり、上手くいって幸せになって欲しい。

  • こちらの教養不足かもしれないが、動機がマニアックで共感しづらい。でも、作品のために、いろいろ調べる中で、知らなかったことがわかっていくのはとても楽しいことだろうと思う。

  • ビブリア古書堂シリーズ4

    1冊まるごと「江戸川乱歩」に関する謎。
    開かずの金庫の中に隠されていたものは。

    ついに栞子さんの母親登場
    古書のためなら手段を選ばない感じが
    栞子さんの上をいく。

    大輔の恋も一歩前進!(笑)

  • 江戸川乱歩

  • シリーズ4冊目
    今回は全編江戸川乱歩でした。
    乱歩作品はあまり読んでいないし、子供の頃は全く読書をしなかったので、少年探偵団シリーズなど児童向けは全く読んだことがない。
    それでも色んなエピソードが楽しめたし、読んでみたくなった。

    そして、とうとう篠川家の母親が登場した。
    今回は対決という感じではなかったが、今後の展開が楽しみ。

  • ついに……!という感じ。
    江戸川乱歩の作品が読みたいと思える作品。

  • 古書店の店主とアルバイトの二人組が古書に関わる謎を解くミステリー第4弾。

    3作目から長いこと寝かせて読んだのでいつの間にか栞子さんが年下になってた……。シンプルに悲しい。
    それはさておき、江戸川乱歩特集の一冊でした。
    読んでいて二十面相シリーズにハマっていた頃を思い出して、すごくワクワクして一気に読んでしまった。
    当時、めちゃくちゃ憧れたよなぁ。ちょっとしたイタズラみたいな仕掛けとか、あっと驚くような大胆な隠し扉とか。
    家を建てるときは絶対隠し部屋と面白い隠し場所とかどこかに作りたいなー!

  • 栞子と大輔のこれからが楽しみです!

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著者プロフィール

『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズが累計700万部を超えるベストセラーとなる。同シリーズで、文庫作品初の『本屋大賞』候補、『本の雑誌』が選ぶ「この40年の書籍 第1位」に選ばれるなど、幅広い層からの支持を集める。

「2022年 『ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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