もうすぐ絶滅するという紙の書物について [Kindle]

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  • Amazon.co.jp ・電子書籍 (472ページ)

感想・レビュー・書評

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  • 本棚に入れておくのは、読んでもいい本です。あるいは、読んでもよかった本です。そのまま一生読まないのかもしれませんけどね、それでかまわないんですよ。

  • 大家二人の対談という感じの本。装丁がきれいな本として興味を持ったが、なぜか電子書籍で読んでしまった。霞を追うような印象の本であった。

  • 今更、しかも電子書籍w。高額なのでモジモジしてる内にはや10年、やはり読みたいなと。私はけっしてビブリオではないが幼少から馴染んでいるのでできれば紙本が好ましいと思う。が、古書の匂いや本の重さが辛くもあり電子書籍の身軽さに魅了されつつあるのだが、彼らの対談には言葉の力に"本"の助力も効いており、装丁も素敵なのでコレも紙本が欲しくなった。凡人の私にも知性の何たるかに、ほんの少し触れられた気分にさせてくれて読んでよかった☆

  • p.2020/11/4

  • 【書誌情報】
    原題:N'esperez pas vous debarrasser des livres
    訳者:工藤妙子
    書籍:¥2,800(税別)
    電子書籍:¥2,240(税別)
    四六判変型・上製/472ページ
    ISBN978-4-484-10113-2 C0098
    2010.12発行

    ジャン=クロード・カリエール(Jean-Claude Carrere)
    1931年生まれ。フランスの作家、劇作家、脚本家。ルイス・ブニュエル作品の脚本家として知られ、手がけた脚本は80余、主な脚本に『ブリキの太鼓』『存在の耐えられない軽さ』があり、大島渚監督作品『マックス、モン・アムール』の脚本も担当している。演出家ピーター・ブルックの台本執筆にも30年にわたって携わり、自身の著作も約30点を数える。邦訳された主な著作に『珍説愚説辞典』(国書刊行会)、『万国奇人博覧館』(筑摩書房)、『教えて!! Mr.アインシュタイン』(紀伊國屋書店)などがある。

    ウンベルト・エーコ(Umberto Eco)
    1932年生まれ。イタリアの中世学者、記号学者、哲学者、文芸批評家、小説家。1980年に発表した『薔薇の名前』(東京創元社)がベストセラーとなり、広く読まれるようになる。ボローニャ大学人文科学部長を務め、多数の著書がある。邦訳された主な著作に、小説では『フーコーの振り子』『前日島』(共に文藝春秋)、『バウドリーノ』(岩波書店)があり、試論的エッセイとしては『開かれた作品』(青土社)、『論文作法──調査・研究・執筆の技術と手順』(而立書房)、『美の歴史』『醜の歴史』(共に東洋書林)などがある。

    ジャン=フィリップ・ド・トナック(Jean-Philippe de Tonnac)(進行役)
    1958年生まれ。フランスのエッセイスト、ジャーナリスト。本書では対談のコーディネーターを務めた。詩人ルネ・ドーマルの評伝の著者で、科学、文化、宗教に関する対談のコーディネートを多数行なっている。ロジェ=ポル・ドロワとの共著『ギリシア・ローマの奇人たち──風変わりな哲学入門』(紀伊國屋書店)が邦訳されている。

    訳者
    工藤妙子(くどう・たえこ)
    1974年生まれ。慶應義塾大学文学部文学科仏文学専攻卒業。仏文翻訳家。主な訳書:クロード・シュロー『クローンの国のアリス』(青土社)、サルヴァトーレ・ウォーカー『闇のアンティーク』(扶桑社)、ドゥニ・ロベール『愛撫の手帖』、ローラン・グラフ『ハッピー・デイズ』(角川書店)など。 好きなもの:文学、文鳥、文楽。趣味は飲食文化研究とジョギング。

    ●編集協力/編集室カナール(片桐克博)
    ●ブックデザイン/松田行正+日向麻梨子
    http://books.cccmh.co.jp/list/detail/767/

  • 「裁判の証拠書類を2500点押収するようなときに、電子化されていれば楽」はというのは確かにと思った。また、「テレビやラジオは書物から何も奪えなかった。電子書籍はどうか?」という問いかけは面白い。

  •  邦題は電子書籍との対比を思わせるが、それはあまり大きなウェイトを占めていない。たまに紙の書物との対比で取り上げられるものの、ほとんどはむしろ古書に関する話題だ。

     解説によればそもそも原題を直訳すると「本から離れようったってそうはいかない」というような意味らしい。内容はほぼ全編、二人の愛書家による書籍談義だ。エーコ氏の蔵書は5万冊あるらしい。

     正直なところ、これを読んで特に何が理解できるわけでもない。穿った見方をすれば、二人がひたすら知識をひけらかすのを眺めていたような気分だ。かと言って嫌な感じもない。なぜならそこには間違いなく対象への愛情があふれているからだ。だから、微笑ましくもある。

  • 読みかけてそのままだった本をエーコの訃報を聞いて読了。エーコとカリエールの対談書き起こし。文字について、本について、映画の視点移動について、知識のフィルタリングについて、稀覯書について、あそこもここも抜き書きしたい内容が語られている。仕事帰りに夜歩いていたらゴミ箱にパスカル本人が作った12台の計算機のうち1台があるのを見つけた古書肆の話など、ものや本との出会いのエピソードもいちいち面白い。
    エーコは自宅にある5万冊の蔵書(うち稀覯書は1200冊)をどういう人が欲しがるか分からないと言っているけれど、どうなるのか。

  • 良い本は読み手と時間の洗練を受けて書かれたときからさらに深みを増し、主にスペイン人の野蛮さのせいでアメリカ大陸の書物の多くは失われ、読書そのものが偏執的になる人もいるけれど、それにしてもとにかく本はかさばるよねつらいよね、というとても長くて知的な対談本だった。本棚にある本を全て読む必要なんてそもそもないんだよってところには救われた。

  • 【目的】 電子書籍の登場を根底におけるテーマとして、文化や書物のあり方について様々な対談を行う。

    【収穫】 彼らの考えをもとに、自身の意見が何であるかを考える契機となった。

    【概要】 ■新しい技術と学習: 新しい技術が登場すると、あたかもそれが過去の制約や規則を無効にし、先行技術を一掃して便利なものに変えてくれるという感覚があるが、実際には、新しい技術が出てくるたびに、新しい「言語」を習得するための長い長い入門期間が必要になる。技術は手間を省いてくれるものではなく、手間を増やすだけ。しかし、我々はたえず未来に備える努力を強いられる。
    ■あらゆる情報を得られる時代で必要な能力: 「知ること」ではなく、「知っていること」から考えをまとめて結論を導く技術。さらに、習得するという行為そのもの。覚えたり学んだりということ自体、学ばないと見につかない。例えば、与えられたテーマに対して、出所の違う10の情報を集め、それらを比べ合わせて、何を導けるか。
    ■文化とフィルタリング: インターネット以前は、文化が保存すべきものと忘れるべきものを示すことでフィルタリングを行い、何が正しく何が間違っているか、という暗黙裡の共通基盤を提供していた。しかし、インターネットは、文化というフィルタリングにかけることなく、各個人の意見や経験が直接共有されるため、自分自身の頭でフィルタリングしなければならない。
    ■書物が傑作となるための条件: 多くの読者に読まれ、解釈されること。そして読まれることで互いに影響を与え合うこと。例えば、ダ・ヴィンチの中には、「モナ・リザ」よりも美しい作品はあるかもしれないが、「モナ・リザ」はそれら以上に解釈されてきた。
    ■愚かしさの定義: 馬鹿は時宜をわきまえず言うべきでない軽率なことを言う人、阿呆は論理的に間違った思考をする人、愚かさとはぬけぬけと一貫して阿呆な発言をする人。

    【感想】 タイトルに興味を惹かれて読了。電子書籍の登場をひとつのきっかけとして、話を展開しているが、実際は文化や芸術に関わるあらゆる話題に脱線しながら、2人(+1人)の教養人が対談を行うというもの。自分の知識や経験では全く知らないような書物や歴史の話が出てくるが、彼らの文化や書物に対する考えは他で触れることがないために新鮮であり、色々と興味深いものだった。教養について考えてみたい人には、面白いと思う。

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著者プロフィール

1932年イタリア・アレッサンドリアに生れる。小説家・記号論者。
トリノ大学で中世美学を専攻、1956年に本書の基となる『聖トマスにおける美学問題』を刊行。1962年に発表した前衛芸術論『開かれた作品』で一躍欧米の注目を集める。1980年、中世の修道院を舞台にした小説第一作『薔薇の名前』により世界的大ベストセラー作家となる。以降も多数の小説や評論を発表。2016年2月没。

「2022年 『中世の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ウンベルト・エーコの作品

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