日本は世界5位の農業大国 大嘘だらけの食料自給率 (講談社+α新書) [Kindle]

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  • 「カイロ大学」を著し異色の経歴を持つ著者が、日本の農業政策を痛烈に批判し(自給率の呪縛を解け!)、併せて日本農業のポテンシャルの高さを謳った書。 民主党政権下での農業政策批判の部分は内容がちょっと古い。2010年刊行。

    著者は、農水省のことを貶しまくっている。省益を守るための「エセ国内農業保護」、「世界に誇るべき日本農業、農産物、そして事業農場の存在を矮小化する農業版「自虐史観」」洗脳、「「国民の食を守る」という錦の御旗を掲げたインチキ自給率向上政策」、「減反は日本農業が持ち得る食糧供給能力、国際競争力を減じている悪習」、「国産の飼料米はほとんど誰も求めていない。需要のない米の増産に、国民の税金を投入するほど愚かな政策はない」などなど。

    まあ、農家を過度に保護する戦後農政の負の部分(農村を地盤とする政治家(解けば役人)が利益誘導を図るために描いた構図)が未だに残っている、ていうことなんだろうな。過疎化や世代交代が進むことで徐々に解決していく問題だとは思うのだが…。

    カロリーベースの食糧自給率は、農水省が省益確保せんとするがために弾き出したまやかしの数字なのだという。著者が生産額ベースで自給率を試算したら66%で、主要先進国中3位なのだという。これは立派な数字。

    年収にしても、専業農家(本物のプロ農家)だけでなく、週末農業を楽しむ大多数の趣味的農家・兼業農家を含めるから極端に低い数字になるだけで、プロの専業農家にもだけでみると他産業に全く見劣りしないという。

    農業人口が減少しているのは、生産技術を高め規模を拡大した農家が生産を伸ばす一方、高齢化する零細農家が廃業しているから(そしてその土地は大規模農家に吸収され有効利用されている)。

    日本の農業、実は国際競争力のある成長産業だったんだな(農水省はむしろその足を引っ張っている?)。そして、日本の農業に足りないのは海外に打って出る国際戦略だという。

    本書から10年以上経つのだけれど、日本の農業の状況はどう変わっているのだろう。そういえばTPPもアメリカ抜きで成立して久しいしな。

    本書、日本農業の実態を知ることができて色々と参考になったけど、やはり一番印象に残ったのは、「実際に食世界的な料危機が訪れる可能性はあるのか。私は限りなくゼロに近いと思う。そもそも世界の食料供給量は、人口増加ペースより高い水準で増えているのだ」という著者の楽観的見解だな。そうであればいいんだけど、ホントかな??

  • ふむ

  • 日本の食料自給率は実は高い
    自給率を上げましょうは農林水産省が予算を集めたいための政策

  • 食料自給率のまやかしを中心に、諸外国にも劣らない日本農業の高い生産高について実証し、農林水産省により歪められた農政の姿を論証した良著。

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著者プロフィール

1974年山口県生まれ。作家、翻訳家、ジャーナリスト

「2017年 『これからの地域再生』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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